yoiエディターのK&Tと、ライターRの3人が、個人的に「yoi!」と思うアイテムやエンタメを紹介する連載「yoiチョイス!」。第4回は、「刺激を受けたマンガ」。3人が鼓舞された9作品をご紹介します。

yoiチョイス yoiエディター 漫画

♡メンバープロフィール♡
エディターT:1993年生まれ。長編大作系よりはライトに読める漫画が好み。好きなものが近い人に勧められたものを手に取ることが多い。
エディターK:1992年生まれ。小学生の頃に1970〜1980年代の少女マンガにどハマり。現在は、ジャンルも年代も問わず気になったものはなんでも読む。
ライターR:1991年生まれ。エッセイ漫画好き。特に、海外文化を学べるマンガを手に取りがち。人生で初めて買った漫画は『赤ずきんチャチャ』。

エディターT推薦「とにかく泣ける。言語化できなかった“もどかしさ”から救い出してくれる作品」

「かしこくて勇気ある子ども」山本美希著/リイド社 マンガ

「かしこくて勇気ある子ども」山本美希著/リイド社

エディターT:私がエンパワメントされた漫画は、漫画サイト「トーチ」と「GINZA」のウェブサイトで連載されていた、山本美希さんの『かしこくて勇気ある子どもです。物語の主人公は、第一子を妊娠し、生まれてくる我が子を“賢くて勇気のある子ども”に育てようとあれこれ期待をふくらませる夫婦。でも出産を目前に控えたある日、妻は賢くて勇気があるゆえに襲撃された少女のニュースを見て、動揺し思い悩むんです。

私は子どもがいないけれど、産まれてくる子どもがこの不確かな世を生きていけるように、あれこれさせたいと願う気持ちはちょっとわかるなと。この漫画の主人公が、「生まれてくる子どもが賢くて、勇気がある必要があるのか?」と考えあぐねて出す結論は、自然と涙があふれ出てきます。数十分で読めてしまう作品なので、ぜひ読んでみてほしい!

ふたつ目は、「&Sofa」で連載中の泥ノ田犬彦さんの『君と宇宙を歩くためにです。いわゆる“普通”ができない高校生の二人の友情譚。

以前、yoiで大人の発達障害を特集したのですが、この記事に共感したという方はこの漫画を読んでみてほしいです。「こういう思いをしているのは、私だけじゃなかった」と心が軽くなるかも。1話から涙なしには読めない注目作です。

「その「おこだわり」、俺にもくれよ‼︎」清野とおる/講談社

『その「おこだわり」、俺にもくれよ‼︎』清野とおる/講談社

エディターT:3冊目は、清野とおるさんのノンフィクション漫画『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!。いろんな人の“おこだわり”をルポ形式で描いた作品で、個性的な人がいっぱい出てくるんです。私は、2話のホテルで眠りこけることが好きな人を描いた「寝る男」と、7話の家への“帰り方”を極めた人を取り上げた「帰る男」がツボで大好き! 寝る前によく読んでいて、頭をリセットしたいときにピッタリの一冊。

エディターK推薦「“誇りを持って生きる”“自分で選択する”ことの大切さを教えてくれた色褪せない名作」

『ベルサイユのばら』池田理代子著/集英社 マンガ

『ベルサイユのばら』池田理代子著/集英社

エディターK:私のおすすめは、9歳のときに母が買ってくれて読んだ名作、池田理代子先生の『ベルサイユのばら。フランス革命前後のベルサイユを舞台にくり広げられる人間ドラマが素晴らしい! 登場人物がみんな魅力的で、それぞれが激動の時代のなかで“自分はどう生きたいのか”というのを考えている。特に、女性だけど男性として育てられた主人公・オスカルが誇りを持って、主体的に生きていく姿にすごく刺激を受けました。私が人生で大切にしている価値観のベースになっているかも。全10巻ですぐに読めるし、週刊連載だったからすごくテンポもいい。1970年代に書かれた作品とは思えないジェンダー観にも驚かされるはず!

『正しい恋愛のススメ』一条ゆかり著/集英社 マンガ

『正しい恋愛のススメ』一条ゆかり著/集英社

エディターK:私に“誇りを持つこと”の大切さを教えてくれた作品がもうひとつ。それが、一条ゆかり先生の『正しい恋愛のススメ主人公は、ルックスの良い普通の高校生・竹田博明と、表の顔は秀才の委員長・裏の顔は出張ホストという護国寺洸。二人が、いろいろな女性との出会いや恋愛を経て成長していく…というお話なのですが、登場する女性たちがとにかくカッコよすぎる! ダメ恋愛をしているときに読むと、「こんなことしてちゃダメ! 自分が下がる恋愛ではなく、自分が高まる恋愛をしないと!」と目が覚めます(笑)。

一条ゆかり先生は、『有閑倶楽部』や『プライド』をはじめ、たくさん作品を発表されているけれど、どれもエンパワメントされる名言のオンパレード。読めば今欲しい言葉がきっと見つかると思います。

『キングダム』原泰久著/集英社 マンガ

『キングダム』原泰久著/集英社

エディターK:3冊目は、寝食を忘れてハマった原泰久先生の『キングダム。中国・秦国に生まれた一人の少年が、天下の大将軍になるまでの道筋を描いた中国史をベースにした作品。とにかく泣けるし、登場人物たちのアツい想いに触れるたびに体が内側から燃える感じがして、「私も頑張らなきゃ!」と思えます。読むエナジードリンクのような感じですね(笑)。

特に、有能な人たちが、自分の理想を語り合うシーンや、理想を実現させるために戦いに向かう姿はめっちゃシビれます! いろんなキャラが出てくるので、感情移入できる人がきっと見つかるはず。

ライターR推薦 「異文化に触れられる漫画で、日々の閉塞感から抜け出す」

『ベルリンうわの空』香山哲著/イースト・プレス マンガ

『ベルリンうわの空』香山哲著/イースト・プレス

ライターR:私はクォーターライフクライシスに直面し、人生に閉塞感を感じていた2年前から視野を広げてくれる異文化を描いた漫画にハマっていて。その中でも、何度も読み返した作品が、イラストレーター・香山哲さんのドイツ・ベルリン移住記『ベルリンうわの空です。誰一人取り残さない街や人の在り方に刺激を受けたし、自分が理想とする暮らし方や働き方、住みたい場所ってどういうところだろう? と考えるきっかけになりました。

この間、読み返したときに刺さったエピソードは、シリーズ3作目『ベルリンうわの空 ランゲシュランゲ』の第9話「自分のメンテナンス」。“ケアマイセルフ”について書かれていて、ワークライフバランスを見直し中の人に読んでほしいページです。

高 妍(ガオ・イェン)著『緑の歌 - 収集群風 -』/KADOKAWA マンガ

『緑の歌 - 収集群風 -』高 妍(ガオ・イェン)著/KADOKAWA
(C)高妍/KADOKAWA

ライターR:2作目は、台湾出身の高 妍(ガオ・イェン)さんの漫画『緑の歌 - 収集群風 -。台湾で暮らす少女が、はっぴいえんどの『風街ろまん』やYMO、村上春樹の『海辺のカフカ』、『ノルウェイの森』といった日本のカルチャーとの出合いと、恋愛を通して成長する姿を描いた作品です。まず、なんといっても高さんが描く、繊細で美しい絵に心奪われる。優しい気持ちになれるので、心がささくれだっているときに手に取りたくなる一冊です。あと、自分の心がときめくものをピュアに追い続ける主人公の姿は、日々の生活に追われて見失っていた自分の“好き”を思い出させてくれます。

『大邱の夜、ソウルの夜』ソン・アラム著・吉良佳奈江訳/ころから マンガ

『大邱の夜、ソウルの夜』ソン・アラム著・吉良佳奈江訳/ころから

ライターR:3冊目は、韓国の人気漫画家、ソン・アラムさんの『大邱の夜、ソウルの夜』。大都会・ソウルで奔放に育ったホンヨンと、家父長制が根強く残る地方都市・大邱(テグ)から抜け出そうとするコンジュ。二人の友情譚で、結婚生活やキャリアの重ね方、親との関係などに悩みを抱えている方は、共感できるポイントがあるんじゃないかな。正直、現代女性にのしかかる重い現実が絵が描かれているので、気分爽快になれる漫画ではなくて…。でも、主人公の二人が、悩みを葛藤を語り合うことで連帯し、不条理な世の中を生きていく姿には力をもらえるはず。

エディターK:みなさん、気になる作品はありましたか? 3人の漫画プレゼンはここまで。次回は、「おすすめのNetflix配信作品」(9月27日配信予定)をお届けします。お楽しみに!

文/海渡理恵 企画・編集・イラスト/木村美紀(yoi)