暑い夏は体だけでなく、目にも多くの負担がかかり「目の夏バテ」に…。その要因は、日頃何げなく使っている身近なアイテムや、よかれと思ってやっていたことなど、日常の中に潜んでいました。実は目にダメージを与えているそうした要因とともに、秋に向けて目の疲労をリセットするための対策をご紹介します!

夏の日差しを浴びる女性

目の夏バテ、その思いがけない要因とは?

眼科医とともに、目と角膜の健康に関する啓発活動を行っている「現代人の角膜ケア研究室」によると、要因はおもに4つ。何が「目の夏バテ」を引き起こすのかを知ることで、目に蓄積する疲労やダメージを予防することができます。

●要因その1:ハンディ扇風機
夏の定番アイテムとして多くの人が愛用しているハンディ扇風機。手軽に持ち運ぶことができ、外でもスイッチひとつで涼むことができますが、使い方によっては目を傷つけてしまう可能性が! 実際に、「現代人の角膜ケア研究室」の実験により、顔に1分間ハンディ扇風機の風を当てると、涙が蒸発して角膜がむき出しになって傷つきやすくなってしまうことがわかりました。角膜に傷がつくと、目の不快感や疲れ、かすみにつながります。同様に、エアコンの冷風を30分あびることでも涙が蒸発してしまうので要注意です。

マスクをしてハンディ扇風機をあてる女性

●要因その2:紫外線
夏の紫外線によって、目も日焼けしてダメージを受けます。強い紫外線に長時間さらされることで、角膜の上皮細胞が少しずつ死んでしまい、ひどい場合には視力にも影響が出ることも…。屋外ではUVカットのサングラスや帽子を着用し、紫外線を直接浴びない工夫が大切です。ちなみに、サングラスはレンズの色が濃いほど光を取り入れようとして瞳孔が開き、目の奥まで紫外線が入ってしまうおそれがあるので、UVカット機能がついたレンズの色が薄いものがおすすめだそう。

●要因その3:海やプール後の洗眼
海やプールで泳いだあとに目を洗うことによって、角膜を守っている涙を洗い流してしまい、角膜がむき出しになるため、逆に目を傷つけてしまう要因に。海水浴後や入水後は、洗眼ではなく点眼薬をさしたり、目を温めてケアしましょう。

●要因その4:マスク
目とは関係のないように思われるマスクですが、実はマスクの隙間から漏れる空気が目にダメージを与えていることがわかっています。要因その1で紹介したハンディ扇風機による目への影響と同様に、空気が目にかかることで涙が蒸発し、角膜がむき出しになり傷つきやすくなります。

上記4つの要因は、角膜へのダメージだけでなく、目のかすみや細菌感染などの原因にもなり得ます。ハンディ扇風機やマスクは、「ほぼ毎日使用している」という人も多いのではないでしょうか。使用する際は角度を変えるなどして、目が乾かないように対策してみてくださいね。

角膜が傷つくメカニズム

角膜を守ってくれている涙が乾くと、むき出しになった角膜は異物により傷つきやすくなります。

眼科医おすすめ! 今すぐできる3つの簡単アイケア

ハンディ扇風機など、日常の意外な要因で生じやすい「目の夏バテ」。そこで、今すぐ簡単にできるアイケアを眼科医の有田玲子先生に教えていただきました。

1.点眼薬は用法・容量を守り、うるおい感が続くものを選ぶ
点眼薬を選ぶ際は、うるおい感が持続するタイプかどうかをポイントに選んでみて。角膜にやさしい防腐剤無添加のものだとよりおすすめです。点眼薬を使用する際には、タイミングと使い方が重要。症状が軽いうちにさし、一度に何滴もささないようにします。

2.正しく目を温める
温めることで目の疲労を改善することができます。ただし、目に当てる際は、あずきで温めるアイマスクやビニール袋に入れた蒸しタオルなど、まぶたがぬれないものを選びましょう。

3.1日1分(5セット)でOK! まばたきエクササイズ
まぶた付近の筋肉「眼輪筋」を鍛えることでまばたきがしっかりできるようになり、涙の蒸発を防ぐマイボーム腺の働きを活性化することができます。

【エクササイズのやり方】
①2秒間、目を閉じる
②軽くまばたきを2回
③ギューっと2秒間、目を閉じる
④パッと目を開いてから、まぶしいときのように目を細める
⑤両手の指で目じりと眉毛を軽く上にあげて「キツネ」の目になる

ポイントは、下のまぶたを上に引き上げるイメージで、目の下の眼輪筋を鍛えること! 目の疲れを感じる前に、ぜひ習慣にしてみてください。

有田玲子先生

眼科医・医学博士

有田玲子先生

伊藤医院眼科副院長。慶應義塾大学眼科非常勤講師、東京大学眼科臨床研究員。LIME研究会(Lid and Meibomian Gland Working Group)を立ち上げ、講演会やハンズオンワークショップ、患者向けパンフレットなどで涙のあぶら・マイボーム腺の重要性を発信。涙のあぶらに関する論文数は70報以上で世界一、最近では一般の人にドライアイの正しい知識を伝えるYouTubeチャンネルでの配信も。

構成・文/前原悠花 Photos by Techa Tungateja, show999/ iStock / Getty Images Plus   資料提供/現代人の角膜ケア研究室(https://www.kakumaku-lab.jp/)