お酒とノンアルコール飲料を交互に飲むことで、お酒の総量をコントロールする「ゼブラ飲み」。体へのダメージを減らしながら場の雰囲気も楽しむことができるので、健康的にお酒を飲みたい人にうってつけの飲み方なのです。自身も、お酒好きである肝臓専門医の浅部伸一先生に、「ゼブラ飲み」の効果的な取り入れ方を教えてもらいました。


肝臓専門医
東大病院などでの勤務を経て、1993年より国立がんセンターに勤務し、ウイルス肝炎の研究に従事。自治医科大学勤務を経て、肝炎免疫学研究のためアメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に留学。帰国後、自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科・准教授に。製薬会社勤務を経て現在はアッヴィ合同会社に所属し、お酒の飲み方のスペシャリストとしても活躍。監修・著書に『酒好き医師が教える 最高の飲み方』、『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』などがある。
- Q1・「ゼブラ飲み」ってそもそも何?
- A1・アルコール飲料とノンアルコール飲料を交互に飲むことです。
- Q2・ゼブラ飲みはどんなときにおすすめですか?
- A2・飲み放題付きの飲み会などでおすすめです。
- Q3・アルコール飲料とノンアルコール飲料の飲む順番は?
- A3・総摂取量が半々くらいになるようにトータルで調整を。
- Q4・「ゼブラ飲み」をする際、アルコール飲料とノンアルコール飲料のおすすめの組み合わせはありますか?
- A4・食事との相性で選んでOKです。
- Q5・「ゼブラ飲み」で避けたほうがよいノンアルコール飲料はありますか?
- A5・カフェイン入りや砂糖が多い飲みものは気をつけて。
- Q6・「ゼブラ飲み」中に食事をとる場合、控えるべき食べものはありますか?
- A6・絶対に食べてはいけないものはありません。
- Q7・「ゼブラ飲み」の効果をさらに高めてくれる飲み方を教えてください。
- A7・微アルコール飲料とのセットがおすすめです。
- 酒好きエディターと酒弱ライターが「ゼブラ飲み」を試してみました!
- 酒好きエディターFが「ゼブラ飲み」をしてみたら…
- 酒弱ライターKが「ゼブラ飲み」をしてみたら…
Q1・「ゼブラ飲み」ってそもそも何?
A1・アルコール飲料とノンアルコール飲料を交互に飲むことです。
浅部先生 アルコール飲料とノンアルコール飲料を交互に飲むことで、飲酒量を意識的にコントロールする飲み方です。交互に飲むことがシマウマ(ゼブラ)の縞模様のようだということからこの名前がついたようです。
最初にメディアで取り上げたのがイギリスだったので、イギリスが発祥ではないかといわれています。欧米人は日本人に比べるとお酒の強い人が多く、たくさん飲んでも平気な人が多いのですが、だからといってたくさんお酒を飲むと体にはよくないですよね。
そこで意識してアルコール摂取量を減らそうという取り組みの中で生まれたものが「ゼブラ飲み」なのです。
Q2・ゼブラ飲みはどんなときにおすすめですか?
A2・飲み放題付きの飲み会などでおすすめです。
浅部先生 私が特におすすめしているのが飲み会のシーンです。居酒屋などでの飲み会は、飲み放題がセットになっていることも多く、つい飲みすぎてしまう人も多いのでは? そのときに「ゼブラ飲み」を取り入れれば、場を楽しみながらアルコールの総摂取量が抑えられて一石二鳥なのです。最近はおいしいノンアルコール飲料も増えているので、家飲みでも「ゼブラ飲み」を取り入れやすくなりました。
Q3・アルコール飲料とノンアルコール飲料の飲む順番は?
A3・総摂取量が半々くらいになるようにトータルで調整を。

浅部先生 アルコール飲料とノンアルコール飲料の摂取量が半々くらいになるといいので、交互に飲むのがわかりやすいとは思います。とはいえ、2杯連続でお酒を飲んでしまったら絶対にダメということはありません。飲み終わったとき、総摂取量が半々くらいになるよう調整してもらえれば大丈夫ですよ。
Q4・「ゼブラ飲み」をする際、アルコール飲料とノンアルコール飲料のおすすめの組み合わせはありますか?
A4・食事との相性で選んでOKです。
浅部先生 体への影響という意味では特にありません。食事との相性で選ぶといいのではないでしょうか。私は烏龍茶を飲むことが多いのですが、シークワーサーやレモン果汁を炭酸水で割ったものも、さっぱりしていてどんな食事にも合うのでおすすめです。必ずしも水でないといけない、ということもありませんよ。
Q5・「ゼブラ飲み」で避けたほうがよいノンアルコール飲料はありますか?
A5・カフェイン入りや砂糖が多い飲みものは気をつけて。

浅部先生 麦茶などのノンカフェインのお茶はいいのですが、緑茶やコーヒーなどのカフェインが含まれているものは利尿作用があるため、お酒と一緒に飲むと脱水症状の可能性を高めてしまうので避けたほうがいいですよ。
それからお砂糖がたくさん入ったジュースや炭酸飲料は、ガブガブ飲むとカロリーオーバーになるので、適量取り入れるようにしてください。
ただお酒を飲んでいるときに、糖質をとること自体は悪いことではありません。アルコールは糖にならないので、何も食べずにお酒を飲んでいるだけだと血糖値が下がってしまい、そのせいでダルくなってしまう人もいるくらい。甘い飲みものを飲むなら、ビタミンも摂取できるフルーツジュースがおすすめです。
Q6・「ゼブラ飲み」中に食事をとる場合、控えるべき食べものはありますか?
A6・絶対に食べてはいけないものはありません。

浅部先生 ゼブラ飲みだらかといって、絶対に食べてはいけないものはありません。ゼブラ飲みをすることで、ゆっくりお酒を楽しめるぶん、私は、フライ系やナッツなどカロリーの高いものを食べるなら早い段階に少量にするなど、脂質をとりすぎないように気をつけています。
もし可能なら、タンパク質や食物繊維が多いものを意識して食べるとさらにいいと思います。血糖値を上げるために、最後のほうにおにぎりやおかき、フルーツジュースを摂取すると、より二日酔い防止に効果的ですよ。
Q7・「ゼブラ飲み」の効果をさらに高めてくれる飲み方を教えてください。
A7・微アルコール飲料とのセットがおすすめです。
浅部先生 今私が推奨しているのが、アルコール度数が0.5〜0.7%くらいの低アルコール飲料を1杯目に取り入れる飲み方です。
お酒を飲むとき、1杯目をゆっくり飲むことで総摂取量が下がるというデータもあるのですが、やっぱり1杯目はくいっと飲みたいじゃないですか(笑)。0.7%の低アルコールビール飲料を中ジョッキで飲んでもアルコール摂取量は100mlのビールをちびちび飲んだのと同等くらいなんです。
だったら低アルコール飲料を最初に飲むほうが断然いいですよね。最初に低アルコール飲料を飲み、2杯目から「ゼブラ飲み」を開始すれば、「ゼブラ飲み」の効果をより実感できるのではないでしょうか。
自分の肝臓で分解できるだけの範囲でお酒を楽しむためにも「ゼブラ飲み」はおすすめですが、もし「ゼブラ飲み」ではまったく満足できない、むしろ飲み足りなくて調子が出ない、などと感じたら、それはアルコール依存症予備軍の可能性もあるので、病院での診察を検討してもよいかもしれません。
酒好きエディターと酒弱ライターが「ゼブラ飲み」を試してみました!
酒好きエディターFが「ゼブラ飲み」をしてみたら…
週末の家飲みを楽しみに1週間を生きている酒好きエディターF。先生のおすすめ通り、最初の一杯は微アルコールビールからスタート。
その後、レモン味の炭酸水をグラス1杯→レモンサワー→ノンアルレモンサワー→レモンサワー→ノンアルハイボール→レモンサワー→生レモン果汁入り炭酸水グラス1杯→レモンサワー(レモンサワ多い)と飲み続けました。いつもは酔ってくると何かを食べることが面倒になってしまうのですが、今回は最後に、冷凍のミニ焼きおにぎりをちゃんと食べて終了。
アルコール5%のレモンサワー350ml缶を4缶飲みましたが、いつもより程よい酔い加減で、とってもハッピーに就寝。翌日起きてみて、お酒の残り方が全然違う!ことにびっくり。ダルさや頭痛もなく、元気に子供と公園へ行くことができました。
ノンアルコール飲料を取り入れれば、酒好きでも物足りなさを感じることはなく、むしろ大好きなお酒時間をゆっくり長く満喫できて最高! これからの習慣にしたいと思います。
酒弱ライターKが「ゼブラ飲み」をしてみたら…
お酒は週末に外食するときに2〜3杯飲む程度。焼肉を食べに行ったときに、ビールの後に烏龍茶を挟んでからハイボールを飲み、家に帰ってから烏龍茶を再度飲んでみました。
いつもだったらお風呂に入る前に眠気が襲ってきてだるくなるのですが、ゼブラ飲みをしたらだるさを感じないのにびっくり!
そしてお酒を飲んだ翌朝に感じる喉の渇きも起こらなかったので、お酒をたくさん飲まない人にもおすすめです。
イラスト/コマツミドリ 取材・文/菊池美里 構成/福井小夜子(yoi)