集中力やストレス耐性の向上などに効果が期待できると注目されている「マインドフルネス瞑想」。心のスキルのひとつとして社員研修にも取り入れる企業も増えてきています。起きている時間はほぼメールチェックをし、SNS漬けであるライターTが、マインドフルネス瞑想を体験。生まれて初めて(!?)自分自身とじっくり向き合ってみました。
役員秘書として働く中で、過重なストレスから心身のバランスを崩す。マインドフルネスに出合い、体や心がどんどん整ってゆくのを実感し、この素晴らしさをみんなに伝えたいという願いを持ち講師となる。現在はマインドフルネス専門サロンMELONにて、企業研修のほか、講師養成講座のメイン・トレーナーとして後輩たちの育成にも力を注いでいる。一般社団法人マインドフルネス瞑想協会認定講師、MSC講師。日本ヨーガ瞑想協会会員。
ありのままの自分を受け入れられる、マインドフルネス瞑想とは
shutterstock/Irina Gorbunovair
金田さん:マインドフルネス瞑想とは、瞑想の一種。心をマインドフルな状態に導く手段です。「マインドフルネス」とは、わかりやすく言えば、今起きていることに心を向け、それをありのままに気づいている状態をさします。
マインドフルネス瞑想は、1970年頃からアメリカを中心に広がり、ストレスを緩和させるのに効果的だとして、コロナ禍以降注目を集めています。瞑想=宗教的な儀式?と、勘違いしがちですが、心のスキルのひとつです。
インターネットなどを通じて、必要以上の情報を手軽に得られる現代では、多くの人が脳を使いすぎだと考えられています。いわば、脳がずっとマルチタスクを課せられている状態! マインドフルネス瞑想をすることにより、脳が休まるだけでなくずっと外側に向いていた意識が内側にむくようになるので、自己理解が深まり、等身大の自分を受け入れられるようになっていきます。
マインドフルネス瞑想の効果は何が期待できる?
金田さん:ストレスの軽減、集中力のアップ、そしてうつや不安症に効果が期待できるとされている、マインドフルネス瞑想。ストレスにさらされている忙しい人ほど効果があり、「寝たのに疲れがとれない」という方にもおすすめです。
過剰に活動していた脳が休息できるようになるので、よりリラックスした状態に。また、より深く「自分」を知ることができるようになるため、自分がどんなことを気にしているのか、どんなことに喜ぶのか、といったことがわかるようになっていきます。自分の思考のクセがわかると、心が軽くなってくるはずです。
マインドフルネス瞑想のやり方を解説!
金田さん:マインドフルネス瞑想は、短い時間から、そしてどこでもできるのがいいところ。特別な道具も必要ありません。
背筋を伸ばして座り(椅子に座っても、正座でもOK!)、目をつぶって鼻から大きくゆっくりと息を吸い、同じようにゆっくりと鼻から息を吐きます。鼻腔のどこを通りながら空気が体の中に入っていき、出ていくのか感じましょう。「風の通り道を丁寧にたどる」感覚です。入ってくるときの空気は少しひんやりしていて、出て行くときは少し暖かいですよね。普段の呼吸では気にも留めないことが、気づけるようになると思います。
時間や呼吸の回数の目安は人ぞれぞれですが、まずは5分くらいから始めてみてください。途中、考え事が浮かんでも大丈夫。気が散ってしまった自分を受け入れ、また呼吸に意識を戻しましょう。意識に流れ込んでくる思考や感覚、感情などをジャッジせずに「気づく」ことが大切です。
呼吸だけでなく、お茶を飲んでいるときや、ごはんを食べているときにもマインドフルネス瞑想はできます。スマホをみながらお茶を飲むのではなく、お茶の香り、温度、味について意識を向けるという方法です。
マインドフルネス瞑想、実践してみた!
自宅からオンラインで受講可能
マインドフルネス瞑想がメンタルケアによいことはわかっても、いざ始めるには勇気がいるもの…。そこで「せっかちな私に瞑想なんて縁遠い」と思っていた、ライターTが試してみました。
自己流で始めるのは少し不安だったので、マインドフルネス瞑想について取材させていただいた金田さん主宰のマインドフルネスサロン「MELON」にて、レッスンを受講することに。朝8:00から始まる30分間のクラスにオンラインで参加し、生まれて初めてのマインドフルネス瞑想を試してみました。参加人数は30人前後。多いときは50人ほどだそうです。なじみのツールであるZoomで参加でき、顔出しする必要もないので、気軽です。
オンラインレッスンの様子
今回参加したのは、目をつぶりながら呼吸をし、瞑想を行うというクラス。金田さんの優しい声で、「全身を感じながら息を吸い、息を吐きましょう」「吸っていること、吐いていることに気づくことが大切です」など、受講者に寄り添いながら教えてくれるので、その通りにやるだけでOK。
初めてだったので、瞑想している最中はレッスンの30分を短いとは思えなかったのですが、金田さんがよきタイミングで声掛けしてくれるから、退屈には感じません。
普段は暇さえあればスマホでメールチェックをする習慣があるため、瞑想に集中できるか不安でしたが、意外と大丈夫です。「わ!あの件の進捗状況どうだっけ」などと仕事のことが頭をかすめても、金田さんが「気になることがあっても、まずは目の前の呼吸に戻りましょう」と声掛けしてくれるから、自然とまた呼吸に集中することができました。終わってみると達成感を得られました。
また、普段いかに自分自身と向き合う時間を持っていなかったかがありありとわかる貴重な体験でした。深呼吸を続けると自然と気持ちが落ち着くので、心がほんの少し上向きになれたような気もします。
毎回テーマを設けてレッスンを始めるそうで、今回は「失敗」。瞑想後には、参加者のみなさんとそのテーマについて考える時間がありました。参加者がZoomのチャットで、失敗について考えていることや体験談を書き込み、それに金田さんが返答する、という流れです。
もちろんチャットに書き込まなくてはいけないというルールはなく、発信したい方だけが書き込めばよいので「何か書かなきゃ!」と焦る必要もありません。
その時間で得た気づきは「失敗して恥ずかしい、嫌だ」と思うことがあっても、マインドフルネス瞑想を続けていると、起きてしまったことをやわらかい心で迎え入れることができるようになるということ。
金田さんいわく、マインドフルネス瞑想により、失敗した自分や、その時発生した感情を分析するのではなく「観察」できるようになるそうです。「自分の考えのクセを把握できるようになるので、失敗は自分を知るチャンス」だと教えてくれました。「失敗してしまって恥じる私も、私である」と認めて、次に生かせるようになるそうです。なんだか勇気が湧いてきますよね。
「マインドフルネスは忙しくて、日々に余裕がない人こそ向いている」とアドバイスをもらったので、まずは週に1回、朝の5分から始めてみようと思います。セルフケアを怠り続けている日々から少しでも脱却し、「自分」を見つめ直す習慣がつくことを願って。
今回体験したのは…
マインドフルネスサロン・MERON
月額4950円のオンライン瞑想プログラム。6時〜23時の月300本のオンラインクラス受け放題・レッスンのアーカイブ動画(Melon TV)24時間365日視聴可能など。入会後、最初の2週間は無料トライアルを実施中。https://www.the-melon.com/
取材・文/高田真莉絵 構成/渋谷香菜子