キャリア、人間関係、結婚・出産etc.…20代後半から30代のyoi読者には、コンプレックスの種がいっぱい。そこで、“セルフラブ”を体現し、毎日を自分らしく楽しむ元CHAIのメンバー・YUUKIさんが、yoi読者にモヤモヤへの向き合い方をアドバイスするこの連載。毎回テーマに合わせてYUUKIさん自身が制作したアート作品とともにお届けします。第10回は「行動力」に関するコンプレックスについて。
お悩み:新しいことに挑戦したいけれど、最初の一歩が怖くて踏み出せない。どうすれば勇気が出ますか?
「何においても最初の一歩が踏み出せないです。行動する前に、『こうなったらどうしよう?』という想像や不安で頭がいっぱいになってしまって、行動に移すことができません。行動力のある同僚や友人に相談すると『考えるより先に動いちゃうんだよ』と言われるのですが、どうやっていいのかわからず。新しいことになかなか挑戦できないし、踏み出す勇気がほしいです」(25歳、会社員)
想像力の豊かさを行動力に変えるために、成功と失敗の両方を思いきりイメージ!

YUUKI:相談してくれて、ありがとう! 考えすぎて行動できない自分をついダメと思ってしまいがちだけど、実は、“もしかすると……”って考えられるのは、とても素晴らしいことで、想像力が豊かという証し。だからこそ、その力を自分の特技として、ちゃんと認めてあげてほしいなと思います。
その上で、相談者さんはもっともっと、これまで以上にイメージしてみてほしいです。私もかなり想像力が豊かなタイプだから、新しいことに挑戦するときに、失敗したときのことをものすごく考えちゃうんだけど、そのときに中途半端な不安で想像を止めないようにしているんです。
例えば、今の仕事を辞めて、新しいことに挑戦しようとしたときに、「貯金が減るかもしれない」という漠然とした不安がよぎったとします。そんなときは、そこで思考を止めずに、「借金まみれになって、やり直せないほどの事態になるのか?」とか、最悪のケースまで突き詰めて考えてみるんです。

すると、「いや、さすがにそこまではいかないか。意外となんとかなるかも」と思えてくることもあって、「それなら……」と一歩踏み出す勇気がわいてくるんですよね。そして、失敗したときのシミュレーションと同じくらい、成功したときのこともとことんイメージしてみてほしい!
「もし成功したらどうなる?」「どんなうれしい未来が待ってる?」 って。そうやって具体的にワクワクする未来を想像してみると、「やってみたい」「動いてみたい」っていう気持ちが、不安を上回ってチャレンジを後押ししてくれると思うから。
ただ、その想像に期待をしすぎてしまうと、現実が思い通りにいかなったときに、すごく苦しくなることがあるんだよね。まるで、自分の存在ごと否定されたような気持ちになることもあるかもしれない。
だから、「こうなったらいいな」と想像するのは大事だけど、それが「起こるはず」と思い込みすぎないことも大切。“想像”は、期待じゃなくて、自分の味方としてそばに置いておく。そのくらいのスタンスでいると、気持ちがラクになって、前にも進みやすくなるんじゃないかなと思っています。

YUUKI:失敗と成功の両方をいろいろと想像しても、なかなか新しい一歩を踏み出せないこともあると思います。そんなときは、“自分が人生を終えるとき”のことまで想像してみちゃうのもひとつの方法。
もし、今やりたいと思っていることにチャレンジしなかったら──人生の最期に、「あのとき挑戦しておけばよかったな……」って、きっと少し悔しく思う気がしない? そう思うと、不思議と、「やってみようかな」っていう気持ちがわいてくるんじゃないかな。
それにね、人間の脳は現状維持をしようとする性質があるらしくて、「何かをしようと思い立ったときに、行動しない理由をあれこれささやいてくる」という説を聞いたことがあるんだよね。
だから、チャレンジをあきらめそうになったときは、その脳のクセを思い出して、「その指令に、すべて従おうとしなくていいんだよ」って、自分に言い聞かせてあげるのも、私は試しています。相談者さんが、新しい一歩を踏み出せることを心から応援しているよ!

今回のアートのカイセツ
『みらいのあなたを想像する、創造できる』
「日本語って面白い。同じ発音で違う意味、でもその意味はちゃんとつながっている。どうせなら心配や不安よりも、どんな自分でいたいかな、どうなったらうれしいかな、そんな想像を無限にふくらませていたら、いつのまにかちゃんと創造するための一歩を踏み出せるよ。自分の足でね」(YUUKI)
イラスト・撮影/YUUKI 取材・文/海渡理恵 企画・構成/福井小夜子(yoi)