キャリア、人間関係、結婚・出産etc.…20代後半から30代のyoi読者には、コンプレックスの種がいっぱい。そこで、“セルフラブ”を体現し、毎日を自分らしく楽しむ元CHAIのメンバー・YUUKIさんが、yoi読者にモヤモヤへの向き合い方をアドバイスするこの連載。毎回テーマに合わせてYUUKIさん自身が制作したアート作品とともにお届けします。第11回は「結婚」に関するコンプレックスについて。

YUUKI

アーティスト

YUUKI

2024年春にバンド活動を終了したCHAIのメンバーで、ベース、作詞、アートワークを担当。現在は、クリエイティブプロジェクト「YMYM」にて、アパレルやライフスタイルグッズのデザインを手がけるほか、作家としてアート作品の制作と発表へ精力的に取り組んでいる。また、アートとカルチャーが融合したマーケットイベント「Art Culture Street.」を定期的に主催し、幅広い活動を展開。

お悩み:7年つき合っても結婚する気配なし。どう話を切り出せばいいですか?

「7年つき合っている彼と、そろそろ結婚したいけど、彼はまったくその気を見せてくれません。子供も欲しいし、30歳を過ぎてからは焦りを感じるようになりました。でも彼はきっと、『このまま、なんとなく一緒にいられればいい』と考えているタイプ。急に結婚を急かしたら、どんな反応をされるか心配だし、そもそもお互い忙しくていつ言えばいいのか......。モヤモヤしながら時間ばかりが過ぎていきます。彼にどう伝えたらうまくいくでしょうか」(31歳、会社員)

理想のライフプランを具体的に思い描いて、何気ない会話の中で相手にシェアする

YUUKI  イラスト CHAI お悩み相談

YUUKI:相談してくれて、ありがとう! お悩みを読んで「年齢」や「つき合った年数」といった“数字”に、知らず知らずのうちにとらわれて結婚を焦ってしまっているのかなと感じました。

でも、結婚って本来は“自分の気持ち”で決めるものだと思うんです。だから、「どうして私は結婚したいか」「これから30年、40年と続く人生をどう歩んでいきたいか」を、一度見つめ直してみるといいんじゃないかな。

今はきっと、焦る気持ちが先に立って、自分の本音を見失っているのかなと。でも、自分がワクワクできる未来を思い描いて、理想や譲れないポイントを明確にできたら、自然と今、自分がどう行動をすべきかが見えてくるはず。

そうすれば、パートナーにも結婚の話が切り出せるようになるかもしれないし、もしかしら、「意外と結婚にこだわらなくてもいいかも」と肩の力が抜けることだってあるかも。

YUUKI  イラスト CHAI お悩み相談 連載

YUUKI:お悩みの中に「彼はきっと、『このまま、なんとなく一緒にいられればいい』と考えているタイプ」とあったけれど、もしパートナーがそう言葉にしたわけじゃないなら、態度や雰囲気だけで「結婚したくないはず」と決めつけてしまわないほうがいいと思います。

“きっとこうだろう”と相手の気持ちを予想して決めてしまうのは、どれだけ距離の近い相手でもちょっと失礼になってしまうこと。何より、それってコミュニケーションを途中で放り出しちゃっているようなものなんだよね。やっぱり、本人の気持ちは本人の言葉で聞くことがすごく大切だと思います。

YUUKI  イラスト CHAI お悩み相談 アート

YUUKI:とはいえ、「もし断られたらどうしよう」と不安で、つい予防線を張ってしまう気持ちもすごくよくわかるよ。

今、相談者さんが“7年つき合った”“30歳”という数字に焦っているように、パートナーのほうも、もしかしたら「結婚=責任」「結婚=男性が稼ぐ」といったいまだこの社会に残ってる固定観念にしばられて、「今の自分で本当に大丈夫だろうか」と不安になっているのかもしれない。

そして、あなたの“焦り”を敏感に感じ取っているからこそ、あえて結婚の話題を避けている可能性だってあるよね。お互いに、言葉にならないままの焦りや不安を抱えてピリピリしていると、いつまでも平行線のまま。


だからこそ、まずは“結婚”という言葉を外して、普段の何気ない会話の中で、「これから先、どんな人生を歩んでいきたいか」を、お互い楽しく話してみるのはどうだろう。

もし私が同じ立場だったとしたら、例えば、一緒に朝ごはんを食べているときなど、リラックスした場面で、まず自分の思い描く人生の理想を話してみるかな。そのうえで、相手の理想の人生も聞いてみる。そんなふうにお互いの目標や考えを“知ること”ができたら、これからの道筋がきっと見えてくると思います。

そのときに、いくら長年一緒に過ごしたパートナーであっても意見が食い違うことは当然あると思う。でも、「自分と相手の意見は違っていて当たり前だし、違うことは悪いことじゃない」と、心に余裕を持って接すれば、どんな形であれ、最終的にお互いが納得するポイントを見つけられるはず。

これまで7年も一緒に過ごしてきた二人なら、いろんなことを一緒に乗り越えてきたはず。重く考えすぎずにとにかく話してみてね! 応援しているよ。

YUUKI  yoi 連載 お悩み CHAI 言葉 ポジティブ

YUUKIからのメッセージ

『違うままに話をしよう』

「どんな人生を過ごしたい?どんな人になりたい?それはみんな人それぞれ違うもの。まずは自分のことにいちばんに興味を持ってみよう。

“一回きりの人生、私はこう生きていきたいんだ!”それがわかったら素直に話すことも、聞くこともできるはず。そして違うままに、一緒にいられる方法を考えよう、楽しもう。

今回で連載は最後になります。文章やイラストにたくさんの反響があり、とても嬉しかったです! 毎回質問に答えるたび考えが自分の中でも深まり、答えているようで改めて学び直している、そんな気持ちでした。

素敵な機会をどうもありがとうございました! みなさまこれからも素敵な人生を〜!」
(YUUKI)

イラスト・撮影/YUUKI 取材・文/海渡理恵 企画・構成/福井小夜子(yoi)