真夏の日差しにぐったり。混雑した街を抜け出して、一人でひんやり癒されたい。そんな時に訪れたいのが、自然に包まれた「ひんやり」スポット。今回は、ひとリートにぴったりな自然スポットを発信しているnicoさんの体験をもとに、駅直結のレトロカフェから雲海に沈む夕陽が見られる山頂テラスまで、猛暑日でも快適に過ごせる涼スポットを5つお届けします。
「ひとリート」とは…半日~日帰り・1泊2日程度の「一人で楽しむリトリート体験や旅」を表す造語。yoi発の、心と体のセルフケアに役立つ時間の使い方です。
1.【群馬】地下のひんやり空間へ!「土合駅」&「喫茶モグラ」
群馬県と新潟県の県境にある、JR上越線の無人駅「土合駅」は、“日本一のモグラ駅”として知られるユニークなスポット。下りホームは地下70メートルのトンネル内にあり、地上から462段の階段を下って、徒歩で約10分かけてたどり着く。陽の差さないその空間はひんやりとした空気が広がり、静けさに包まれた秘密基地のような雰囲気。

異世界に迷い込んだようなトンネル状の長い空間は、鉄道ファンならずとも一度は訪れてみたくなる不思議な魅力を放っている。帰りは462段の階段を上るごとに、冷たい空気は少しずつやわらぎ、地下から地上のぬくもりへと移り変わっていく。そんな体感もまた、土合駅ならではの新体験。

「土合駅」を訪れた帰りにぜひ立ち寄りたいのが、駅舎内にある「喫茶モグラ」。もともとは駅務室だった空間を改装したカフェで、レトロで開放的な店内には心地よいレコードが流れ、穏やかな時間がゆったりと流れている。カウンター席、ベンチ、テーブル席など席の種類も豊富で、一人でも気がねなく利用できるのがうれしいところ。

店内の随所には、かつての駅の面影があちこちに残されており、見応えも十分。切符売り場の窓口が椅子として使われていたり、昔の掲示板が飾られていたりと、どこか懐かしい空気に包まれながら、ゆったりと過ごすことができる。

nicoさん的おすすめポイント
nico 「土合駅」のホームの気温は年間を通しておよそ15℃と安定していて、猛暑日に訪れたときは、あまりの涼しさと快適さに驚きました!ただし、エスカレーターなどは無いので、地上に戻る際はちょっとした覚悟も必要です。笑
そんな帰り道のごほうびにぴったりなのが、「喫茶モグラ」。都内のカフェとはひと味違う、シックで落ち着いた雰囲気が漂い、どこか時間が止まったような空気感。
レトロな雰囲気に包まれながら飲む水出しアイスコーヒーは、登ってきた462段の疲れもすっと癒してくれるおいしさ。一人で訪れると、よりノスタルジックな気持ちに浸れるので、静かなひとときを求める方におすすめです。
喫茶モグラ
住所:群馬県利根郡みなかみ町湯桧曽218-2 土合駅
アクセス:JR上越線 土合駅直結(構内)
営業時間:10:00〜15:00
定休日:不定休(Instagramをご確認ください)
Instagram
2.【群馬】天然記念物の中でひんやり冷却「不二洞」
群馬県上野村・川和自然公園内にある「不二洞(ふじどう)」は、全長約2.2kmと関東最長を誇る鍾乳洞。群馬県の天然記念物にも指定されている、スケールの大きな自然のアートスポット。かつては海の底だったこの場所は、地殻変動によって標高700mまで隆起し、現在の姿に。1cm成長するのに約100年かかるといわれる鍾乳石が織りなす、圧巻の造形美はまさに大自然の奇跡。

現在は約600mの見学コースが整備されており、幻想的な空間がLEDライトに照らされて、歩くたびに目を奪われる景観が続く。洞内の気温は年間を通して約10℃と一定で、夏はひんやりと涼しく、快適な探検が楽しめる。

nicoさん的おすすめポイント
nico 関東最大級の鍾乳洞というだけあって、高低差のあるルートをしっかり歩ける、見応えたっぷりのコースが魅力。見学コースは1周40分ほどの道のりで、涼しさを感じながら、大自然が気の遠くなるような年月をかけてつくり上げた壮大な空間を、一人でじっくり体感すると、日頃の悩みがちっぽけに感じてきます。
そして、もし時間があれば、不二洞の隣にある「上野スカイブリッジ」もおすすめ。まほーばの森と川和自然公園を結ぶ、全長約225m・高さ約90mの巨大吊り橋です。4月〜11月は10時から15時30分までの間は、30分おきにシャボン玉がふわりと舞い上がる演出も楽しめます。橋の上から見渡す山々の大パノラマは、まさに圧巻!
不二洞
住所:群馬県多野郡上野村川和665
入洞料:大人800円、小学生500円、未就学児200円
アクセス(バス):JR高崎線 新町駅から、日本中央バス「上野村ふれあい館行」役場入口バス停より徒歩40分。
アクセス(タクシー):上信電鉄 下仁田駅より30分。
営業時間:3月下旬 9:00~16:30、12月~3月中旬 9:30~15:00
休洞日:無休
電話番号:0274-59-3117
公式サイト
3.【栃木】猛暑日でも上着必須な涼しさ!「大谷資料館」
まるで地下神殿のような景色が広がる「大谷資料館」。大正8年の手堀り時代の掘り跡から、昭和34年以降の機械採掘による跡まで、それぞれの岩肌が時代の違いを物語る、幻想的な地下空間。館内はひんやりとした空気に包まれ、真夏でも気温は約12℃。公式サイトにも「上着をご持参ください」と記載があるほどの冷え込みで、まさに暑い季節にぴったりの“ひんやりスポット”。

階段を下りていくと、広さ約2万平方メートル、深さ30メートルにもおよぶ巨大な空間が目の前に出現。その圧倒的なスケール感は、「資料館」という名前からは想像できないほどで、訪れる人を一気に非日常の世界へと引き込む魅力がある。

nicoさん的おすすめポイント
nico ライトアップされた地下空間は、まるで本物の地下神殿のよう。この幻想的な空間は、映画やドラマ、ミュージックビデオのロケ地としても数多く使われています。『翔んで埼玉』『るろうに剣心』『はたらく細胞』などの話題作をはじめ、GLAY『SOUL LOVE』など、さまざまなアーティストのMV撮影にも登場していました。
館内には過去の撮影実績や使用された場面の写真が展示されていて、「あのシーンってここだったんだ」と気づく瞬間も楽しみのひとつ。一人で見て回るだけでもワクワクできる、夏にこそ訪れたい唯一無二のアート空間は、まさに“ひとリート”にぴったりだと思います。
大谷資料館
住所:栃木県宇都宮市大谷町909
入館料:大人 800円
アクセス:JR宇都宮駅からバスで約30分、もしくは東武宇都宮駅からバスで約20分。資料館入口で下車し、徒歩約5分。
営業時間:4〜11月 9:00〜17:00(最終入館16:30)、12~3月 9:30〜16:30 (最終入館16:00)
休館日:4~11月 無休、12~3月 毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、12月26日~1月3日
電話番号:028-652-1232
公式サイト
4.【山梨】夏でも溶けない氷の世界「鳴沢氷穴」&「富岳風穴」
「夏は氷を見て涼みたい!」という方におすすめなのが、富士山の北麓・青木ヶ原樹海の中にある「鳴沢氷穴(なるさわひょうけつ)」。富士山の噴火で流れ出た溶岩流によって形成されたこの洞窟は、まさに“天然の冷蔵庫”。内部の平均気温は約3℃と、真夏でも凍えるようなひんやり感を体感できる。

樹海の入り口にぽっかりと開いた氷穴の中では、天井から染み出した水が凍り、まるでシャンデリアのような氷柱が幻想的に輝く。ひんやりとした空気に包まれて過ごす時間は、涼しいだけでなく、心まで澄んでいくような特別なひととき。

鳴沢氷穴とあわせてぜひ訪れたいのが、近隣にある「富岳風穴(ふがくふうけつ)」。こちらも同じく溶岩流によってできた洞窟で、内部の気温は約3℃。玄武岩質の壁には音を吸収する性質があり、驚くほど音が響かない、静寂に満ちた神秘的な空間が広がっている。

洞内には、夏を過ぎても溶けずに残る氷柱がそびえ立ち、その透明感と美しさには思わず息をのむほど。また、富岳風穴は昭和初期まで蚕の卵を貯蔵する“天然の冷蔵庫”として使われていた歴史があり、現在は国の天然記念物にも指定されている場所。ひんやりとした空気の中で、自然の力と歴史を感じる、記憶に残る夏の体験ができるはず。

nicoさん的おすすめポイント
nico 夏でも溶けずに残る氷柱はどちらも芸術的。鳴沢氷穴・富岳風穴ともに、所要時間はそれぞれ約15分ほど。“ひとリート”初心者にもぴったりな、疲れすぎないちょうどいいボリューム感が魅力です。
2カ所を巡れるお得なセット券も販売されているので、訪れるならぜひ両方あわせて体験してみて。暑い季節にこそ出かけたい、ひんやりとした別世界。足をのばすだけの価値があると思います!
鳴沢氷穴&富岳風穴
住所(鳴沢氷穴):山梨県南都留郡鳴沢村8533
住所(富岳風穴):山梨県南都留郡富士河口湖町西湖 青木ヶ原2068-1
入洞料:鳴沢氷穴・富岳風穴 各大人350円、2カ所セット 大人600円
アクセス:河口湖駅からバスで約30分。 風穴または氷穴で下車し、徒歩約3分。
営業時間:9:00〜17:00
休洞日:なし(12月にメンテナンス休業あり)
電話番号:鳴沢氷穴 0555-85-2301、富岳風穴 0555-85-2300
公式サイト
5.【長野】空にいちばん近いひんやりテラス&カフェ「SORA terrace」
世界最大級、166人乗りのロープウェイに乗って向かうのは、長野県・竜王マウンテンリゾートの山頂。到着してすぐ目の前に広がるのが「SORA terrace(ソラテラス)」。ここからは、高社山・斑尾山・妙高山が重なるように見え、その奥には北アルプス、空気の澄んだ日にはなんと佐渡島まで望むことができる大パノラマが広がっている。

タイミングが合えば出合えるのが、まるで海のように一面を覆う「雲海」。山々が雲の海に浮かぶ島のように姿を現し、風に揺れる雲がまるで波のように流れていく幻想的な風景。実は、下界が曇りや雨の日ほど、雲海に出合える確率が高いのだとか。

そして見逃せないのが、夕方だけに訪れる特別な景色。目線の高さで沈んでいく夕陽と、その下に広がる雲海が重なり、空全体がオレンジや紫に染まっていくサンセットタイムはまさに絶景。夕陽と雲海が織りなすドラマティックな空は、SORA terraceならではの贅沢なひととき。

また、隣接する「SORA terrace cafe」もぜひ立ち寄りたい。雲の動きをゆっくり眺められるソファースペースや、一人でも過ごしやすいカウンター席など、さまざまなスタイルの座席が用意されていて、ラグジュアリーでリラックスした時間を過ごすことができます。景色とともに味わうドリンクやスイーツも格別。

nicoさん的おすすめポイント
nico 標高1770mの山頂は、真夏でも気温18度前後と、ちょうどいい涼しさ。避暑にもぴったりな快適さで、日常を離れてリフレッシュしたい“ひとリート”におすすめです。実は私もこれまでに3度訪れていて、なんと雲海発生率は100%!東京からアクセスできる雲海スポットの中で、かなりの高確率だと思います。
さらに今年は、「SORAへ登る螺旋階段」も新設されていました。私はまだ実際には訪れていないのですが、雲と空に向かって伸びていくようなその姿は、まるで“ジャックと豆の木”の世界。童話の中に迷い込んだような不思議な感覚を味わえそうで、次に行くときは絶対に立ち寄ってみたい場所です。
SORA terrace
住所:長野県下高井郡山ノ内町夜間瀬11700
ロープウェイ往復乗車券:大人2400~2700円(日程により変動)
アクセス:湯田中駅から無料シャトルバスで約25分。
営業時間:4月26日~9月28日 9:00~19:00、9月29日~11月3日 9:00~18:00
休店日:9月1日~5日(営業情報は公式サイトをご確認ください)
公式サイト
SORA terrace cafe
営業時間:4月26日~9月28日 9:00~19:00(L.O. 18:30)、9月29日~11月3日 9:00~18:00(L.O. 17:30)
休店日:9月1日~5日(営業情報は公式サイトをご確認ください)
公式サイト
構成・取材・文/高浦彩加