エディターであり「uncrave WHITE」ディレクターの東原妙子さんは、無類の温泉&サウナ好き! そんな彼女の“ととのう”リトリート連載、第4回は修善寺にある登録有形文化財の宿。歴史情緒あふれる場所で、テントサウナをはじめ、多彩な温泉&サウナを堪能しました!

東原妙子 ととのう サウナ サウナシュラン おちあうろう 伊豆 修善寺 温泉 登録有形文化財

東原妙子

ファッションエディター、「uncrave WHITE」クリエイティブディレクター

東原妙子

1977年、東京生まれ。大学卒業後は銀行OLを経て出版社に転職。現在はフリーのファッションエディターとして、女性誌を中心にブランドの広告やウェブコンテンツ製作などで幅広く活躍。2020年にECブランド「アンクレイヴ」を立ち上げ、2022年からはコレクションライン「アンクレイヴ ホワイト」のクリエイティブディレクターを務める。ファッション以外にも、趣味はサウナ、温泉、旅行、漫画、グルメ(主に鮨)など多岐にわたり、飾らないキャラクターが人気のInstagramはフォロワー6.3万人超え。

こんにちは。
花粉症で鼻をこする音が高速すぎて、ヘリコプターと間違えられた東原妙子です。


そんな春の訪れを感じる季節、伊豆・修善寺「おちあいろう」に宿泊してきました。
創業150年の登録有形文化財の温泉宿で、2019年にリニューアルした際に新設されたサウナは2年連続でサウナシュランに選ばれ、サウナー界隈でも話題になりました。


実は私、こちらにはプライベートでも4年連続で訪れていて、「また来ちゃったよ~。ただいま、かな?」とか常連ぶって言いたいくらい偏愛している場所。


今回は、そんな全世代&全世界に推したい(愛重め)「おちあいろう」の魅力をレポートします。

建物まるごと!登録有形文化財の宿

修善寺駅から車で約20分。豊かな自然に囲まれた山間に「おちあいろう」はあります。


1874年の創業時、2本の川が落ち合う(合流する)場所に建つことから、旧幕臣の山岡鉄舟が名付けたそう。以降、島崎藤村、川端康成、北原白秋など、名だたる文人墨客にも愛された歴史情緒あふれる老舗旅館です。


ふむふむ、今回の連載はちょっと知的な感じのスタートでいいぞ。

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門をくぐると、季節によって変わる色鮮やかな暖簾がお出迎え。瓦葺き屋根の重厚さとは対照的に、印象的でどこかモダンな雰囲気が漂います。玄関にはお香が焚かれ、一歩踏み入ればそこは一瞬にして非日常の世界。


建物がまるごと登録有形文化財に指定されている「おちあいろう」は、当時の最高峰の職人技によって造られていて、どこもかしこも意匠を凝らした貴重な細工の宝庫。窓枠ひとつとっても歴史的なストーリーがあります。


館内の貴重な建築美を見学できる文化財ツアーも実施されているので、時間が合えばぜひ参加してみて。

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廊下や客室など、そこかしこに見どころが満載

それぞれに意匠が異なる14の客室

本館と眠雲亭に分かれた14の客室は特徴がすべて異なり、それぞれに違った魅力を楽しむことができます。
各部屋の名前は源氏物語から付けられていて、欄間にはそのモチーフが透し彫りにされているのも面白い。

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今回私が滞在したのは、眠雲亭にある和洋室「浮舟」。
前室、本間、ベッドルーム、さらに露天風呂付きというスイート仕様のお部屋です。

組子細工の障子は職人手作りの逸品で、寝室には美しいステンドグラスが飾られているのが特徴的。窓に面した立派な日本庭園では、春には大きな桜の木から舞い散る花吹雪を眺められるそう。

そして、どの客室も伝統的な和の趣ながら、バスルームや洗面台などの水回りはリニューアルされていて、快適に過ごせるのもマストな条件。
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今回宿泊した「浮舟」は客室に露天風呂付き

3つの温泉&2つの名物サウナで“ととのい”三昧

さて部屋で一息ついたら、いよいよ温泉へ。


「おちあいろう」には、男女入れ替え制の大浴場が2つあり、それぞれに趣向が異なる名物サウナがあります。


湯ヶ島温泉の源泉かけ流し硫酸塩泉は保湿効果が高く「美肌の湯」とも言われる名湯。豊かな自然と川のせせらぎに包まれながら、最高のととのい体験ができるのです♡

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自然に囲まれた開放的な大浴場「天狗の湯」

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「天狗の湯」内の洞窟風呂

まずひとつめは、「天狗の湯」。


天狗も入ったと言われる露天岩風呂と、湯けむりに包まれた幻想的な洞窟風呂を楽しむことができます。


その奥に佇むのが、“今行くべきサウナ10選”のひとつとして、2020年のサウナシュランにも選ばれた「天狗サウナ」です。
室内に温泉が流れ込む造りで保温効果が高く、狩野川の眺めや壁一面に敷き詰められたヒノキの香りを楽しめるのが特徴。


サウナ内は比較的高温になり、水風呂は天然の川の水でしっかり冷たいので、バチバチにととのいたい“ガチ勢”には断然この「天狗サウナ」をおすすめしたい。

2020年サウナシュランに選ばれた「天狗サウナ」

翌朝は、もうひとつの大浴場「月の湯」の内風呂でまったり。


外に併設された「茶室サウナ」は、業界第一人者の松尾大氏が手がけたもので、モダンに洗練された和の風情が魅力。こちらも2019年のサウナシュランにランクインしています。


起き抜け早々、天城の澄んだ空気のなかで外気浴。
いや~、朝も遠慮なくととのっちゃいますよね~。

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「月の湯」に併設された有名な「茶室サウナ」

「おちあいろう」にはさらにもうひとつ。時間制の貸切露天風呂「星の湯」があります。

私は夜遅めに利用したのですが、広々とした岩風呂をひとり占めして、ごろりと寝そべりながら星空を眺める時間は、まるでとんでもなく豪華な自宅のお風呂でくつろいでいるような贅沢な気分を味わうことができました。

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時間制で貸切できる広々とした「星の湯」

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風呂上りに牛乳や生ビールが飲み放題なのも最高♡

一日一組限定!川沿いのテントサウナ体験も

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「おちあいろう」には、大浴場内のふたつのサウナ以外にもうひとつ。
一日一組限定で、テントサウナをプライベート貸し切りできるプランがあり、これがまた最高すぎるのです…!

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皆さんお待ちかね(?)由美妙子ショット。今回は冬の川!

テントサウナは宿の敷地内を流れる狩野川の畔に設置されていて、サウナで汗をかいたら、天然の水風呂(=目の前の川)に入ってクールダウン→川のせせらぎを聞きながら外気浴というワイルドな“ととのい”体験。

川の水温が下がる季節は、テントの横に水風呂と温泉が設置されているので、秋冬でも「テントサウナで凍死」とかいうセンセーショナルな事態は防げるはず。

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由実妙子ショットパート2。冷えた体に温泉が沁みる~

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サウナー専用ドリンクとも言える「オロポ」も完備

伊豆で採れた旬の食材と地酒を堪能

ととのいまくってすっかりお腹もすいたころ、お待ちかねの夕食の時間。庭に面した半個室でゆったりといただきます。

鹿肉のジビエ料理や新鮮な金目鯛の小鍋など、地元で採れた四季折々の食材を使った懐石料理のコースを堪能。

宿泊費に食事やドリンク代がすべて含まれるオールインクルーシブなので、ソフトドリンクはもちろん、料理に合わせたワインや地酒飲み比べセットなど、種類豊富なアルコール類も自由にオーダーすることができます。

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趣ある館内で過ごすしっぽり贅沢な時間

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歴史の息づく建物は、夜もムード満点。
冬は暖炉に火が灯るラウンジでゆるりとグラスを傾けて(憧れ)。


ラウンジにはドリンクやおつまみのほか、プリンやアイスクリームなどのデザートも用意されていて、すべて無料。


私はお酒が弱くて飲める種類も限られているのですが、呑兵衛も下戸も甘党も辛党も、どんな好みの人も楽しめるラインナップがうれしいかぎり。

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ほかにも、歴代の文豪の蔵書を陳列した読書室や、テーブルゲームやボードゲームなどノスタルジックな遊具が置かれた娯楽室などもあり、食事や温泉サウナの前後にもやりたいことがたくさん!


あれ、ゆっくりしに来たはずなのに意外と忙しいな…。

再訪したくなる。歴史情緒と心地よいおもてなし

歴史ロマンを堪能しつつ、同時に新感覚の“ととのい”体験ができる「おちあいろう」での宿泊体験。

貧乏性の私はやりたいことがありすぎて、ぼんやりしている暇がないくらい忙しい!


皆さま、しつこく毎年訪れたくなる気持ち、わかっていただけたでしょうか(笑)?

そんな全人類(?)誰もがそれぞれの方法で最大限に楽しめる宿だからこそ、また次も大切な人とここで時間を過ごしたくなってしまうんです。

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画像デザイン/齋藤 遥 イラスト/木村美紀 撮影・構成・取材・文/東原妙子