サウナ室

性別や年齢を問わずサウナブームが巻き起こっている今、とはいえ銭湯に行くとまだまだ男性客が多数派なのも事実。サウナに苦手意識を持っている女性も多いけれど、その原因は正しい入り方をしていないことかも!?

そんななか、正しい入り方をすれば、男性より女性のほうが“ととのい”やすく、女性特有のさまざまな不調も解消できるという情報を『医者が教えるサウナの教科書』という本で見つけた中堅サウナーのyoiエディターKと、サウナ初心者のライターM。この情報は見逃せない!

著者である日本サウナ学会の代表理事・加藤容崇先生は、実はがん遺伝子解析(がんゲノム)が専門の医師。世界じゅうの健康習慣の効果を最新の科学で解明することを第二の専門としていて、サウナの研究をするなかでその魅力にどっぷりハマり、「日本サウナ学会」を友人医師やサウナ仲間と作ったという筋金入りのサウナーなんです。先生のプロフィールを見ただけでも、サウナへの信頼度が爆上がりしていく…!

さっそく先生に取材を申し込み、サウナに入ることでもたらされる健康効果について、詳しく話を聞いてみました!

加藤容崇(かとうやすたか)先生

慶應義塾大学医学部特任助教・日本サウナ学会代表理事

加藤容崇(かとうやすたか)先生

群馬県出身。慶應義塾大学医学部腫瘍センター特任助教。北海道大学医学部医学科、同大学院を経て、北海道大学医学部特任教授として勤務したのち渡米。ハーバード大学医学部付属病院腫瘍センターにて膵臓がん研究に従事。帰国後は慶應義塾大学医学部腫瘍センターや北斗病院など複数の病院に勤務。サウナを科学し発信していく団体「日本サウナ学会」を友人医師やサウナ仲間と作り、代表理事(通称サウナ理事)として活動中。著書に『医者が教えるサウナの教科書』。

女性のほうがサウナで“ととのい”やすいというのはホント!?

エディターK:加藤先生の著書『医者が教えるサウナの教科書』の中に、医学的に女性のほうが感受性が高くサウナで“ととのい”やすいと書かれていましたが、その理由を詳しく教えてください!

加藤先生:まず、“ととのう”とはどのような状態なのか、ということから説明しますね。サウナは、ごく簡単にいうと、人体にとって「非日常的な危機的状況」です。100度近い超高温であり、人体にとっては危機的な環境のため、人体は、サウナの環境に対応できるように集中し、余計なことを考えなくなります。そして、そのあとに入るのが水風呂。極限まで熱せられた体が、今度は冷水につけられます。当然体は驚き、再び生命の危機を感じます。体内では、自律神経、心拍、血圧、血流量、脳内ホルモンなどをコントロールし、持てるすべての力を総動員して、環境に適応しようとします。水風呂から出たあと、ようやく生命の危機を脱したと判断した人体は、急速に“ととのって”いきます。エネルギーの浪費が止まり、動作が軽くなった脳がサクサクと動きはじめ、血流が増加することで腰痛や肩こりが軽減され、肉体も軽やかに。脳も体も、コンディションがよくなるのです。

サウナや水風呂に入ったときのホルモンの分泌や自律神経の反応を男女で比較した場合、女性のほうが1.6倍高くなるので、女性のほうがより“ととのい”やすいのです。ただそれと同時に、女性はストレスも感じやすいというマイナス面も併せ持っているので、男性よりも慎重に、体調に合わせて適切に入ることが大切になります。

エディターK:具体的に、女性はどんなホルモンの分泌が盛んになるのでしょうか?

加藤先生多幸感につながる快楽ホルモンであるβエンドルフィン、母性に関するプロラクチン、幸せホルモンといわれるオキシトシン、代謝に関連する甲状腺ホルモンなどの分泌が促進されます。オキシトシンが増えると、女性はアクティブになり、男性は落ち着くという特徴があるんです。つまり女性は幸せな気持ちが増すとともに、より元気になるということです。甲状腺ホルモンは代謝を上げる働きがあるので、ダイエットにもつながりますよ!

ライターM:どれくらいの頻度で入るのがよいのでしょうか?

加藤先生:男性は毎日でも入ったほうがいいと伝えていますが、女性の場合は1カ月周期でホルモンバランスの大きな変動があるので、無理をして毎日入る必要はありません。体調が悪いときにサウナで吹き飛ばそうと入る人がいますが、逆効果になるのでやめたほうがいいですね。

ライターM:男性にサウナにハマる人が多いのは、体質的に毎日入れるせいもあるのでしょうか?

加藤先生:それも大いに関係していると思います。加えて、日本のサウナはもともと男性向けに造られている施設が多いですし、おじさんが好きなイメージが根強いので、男性に比べると女性のサウナーが少ないんですよね。それから男女ともに言えることではあるのですが、一般的にはまだ正しいサウナの入り方が広まっていないので、気軽にサウナに行こうという人が増えないのかもしれません。

ライターM:確かに、熱いサウナと冷たい水風呂を繰り返す、苦行のようなイメージがまだある気がします(笑)。

加藤先生:それは昔のおじさんの入り方ですね(笑)。それではいくらサウナに入ってもサウナの恩恵を受けることができないし、ととのう感覚も得ることができません。

サウナに入ることによって放出されるホルモン

基本中の基本、「正しいサウナの入り方」とは?

ライターMエディターK:ぜひ、正しい入り方を教えてください!!

加藤先生:簡単に説明すると、「サウナ→水風呂→外気浴」を基本の1セットとして、3セット行うのがおすすめです。サウナを出るタイミングは分数ではなく、脈を基準に判断するのが安全かつ有効です。私の場合は普通に会話できるくらいの軽い運動と同じくらいの脈拍数になったら出るようにしています。水風呂は約1分くらい、呼吸をしたときに気道がスースーし、脈拍が通常に戻ったら出るようにしましょう。外気浴は5〜10分、体が落ちついたら次のセットに移行してください。この正しい入り方をすることで、初めてホルモンの分泌や自律神経の反応に影響を与えるわけです。各セットのあいだには、水分補給することも忘れないように!

正しいサウナの入り方

サウナ室、水風呂、外気浴。それぞれの過ごし方の正解は?

基本の入り方がわかったところで、サウナ室、水風呂、外気浴のそれぞれのステップで気をつけるべきことを、より詳しく教えていただきました!

【STEP1:サウナ室】
ライターM:サウナ室ではどこに座るのがよいのでしょうか?

加藤先生:熱は高いところに集まるので、上へ行けば行くほど高温になります。大きな階段状になっているサウナの場合、1段あたり10度異なることも! 自分が心地よいと感じる熱さの場所を探しましょう。当然ながらヒーターの前も熱いです。しかもヒーターの熱が直接体に当たる部分は熱いのに、当たっていない箇所は意外と温まらないため、温まり方が局所的になってしまいます。ですので、なるべくヒーターから遠い場所に座るのがおすすめです。

ライターM:サウナ室にいるときのベストな体勢も教えてください。

加藤先生:階段状になっているサウナが多いので、下の段に足を下ろして座りがちですが、それはベストではありません。先ほども言ったようにサウナ室は上のほうほど高温になるため、椅子に座ったような姿勢の場合、頭のほうの温度が高いのに対し、足先は比較的温度が低くなります。その結果、体じゅうが熱いと感じていても、意外と足先までは温まっていないということがあります。足先までしっかり温まっていないと、水風呂に入ったときにつらく感じてしまううえ、ととのいにくくなってしまうので、できるだけ体の高低差をなくすような座り方が正解です。十分なスペースがあるなら、“あぐら”か“体育座り”がいいでしょう。

エディターK:私は、顔は熱くてつらいのに体はまだ温まっていない、という状態になってしまいがちなのが悩みなのですが、なにか対策はあるでしょうか?

加藤先生:特に女性は顔の神経が敏感なので、男性よりも顔の暑さを感じやすいんですよね。サウナハットをかぶったり、乾いたタオルを顔にかけるだけでもだいぶラクになるはずですよ。

【STEP2:水風呂】
ライターM:水風呂が苦手、という人も多いですよね。水風呂に入ることは必要不可欠なのでしょうか? また、どのように入るとよいのでしょうか?

加藤先生:心身のパフォーマンスを上げるために、水風呂に入るのは必須です。苦手な方は、大きく息を吸い吐きながら入るようにするだけで、心臓への負担が減ってラクに入れるので試してみてください。水風呂に入ってしばらくすると、冷たさをやわらげてくれる膜のようなものができ、“冷たくて嫌だ”という気持ちから“冷たくて気持ちがいい”と思えるようになります。サウナーはこの膜を“羽衣(はごろも)”と呼んでいるのですが、これができるのにだいたい30秒〜1分くらいかかるので、息をゆっくり吐きながらつかり、しばらく待ってみてください。呼吸をしたときに気道がスースーしたらゆっくりと出ましょう

【STEP3:外気浴】
エディターK:水風呂のあとの外気浴で“ととのう”体験ができるんですよね?

加藤先生:はい。いよいよサウナの真髄でもある外気浴です! 水風呂から出た瞬間から「ととのいタイム」は始まっているので、できるだけ速やかに体を拭いて外気浴に向かいましょう。体を拭くのは気化熱で体が冷めないようにするためです。水風呂で体が冷えているのに、冬に外気浴なんてしたら寒くて死んでしまうのではと思うかもしれませんが、全然つらくはありません。なぜならこのときの体は、魔法瓶のように熱を閉じ込めているからです。椅子に座るか、スペースがあれば横になって5〜10分程度、体が落ちつくまで過ごしてください。外気浴のあとに水分を補給して、またサウナ室からの流れを3〜4セット繰り返しましょう。

サウナで「肌がきれいになる」ってホント!?

ライターM:先生の著書に、「サウナは美肌効果がある」と書いてありましたが、どうして肌がきれいになるのでしょうか?

加藤先生:サウナで汗をかいたり、血流がよくなることで肌の新陳代謝が促進され、肌の調子も“ととのい”ます。また、体に熱刺激を与えることによって出るヒートショックプロテインという物質があるのですが、この物質は細胞を修復するため、肌のダメージをリカバリーしてくれるのです。ヒートショックプロテインは紫外線のダメージも修復できるといわれています。

サウナは乾燥するので、出たあとは、ヒートショックプロテインが放出されているうちにしっかりと保湿をして、修復作用をサポートしましょう。サウナに行くときは、いつも使っているスキンケア用品を持っていないことも多いかもしれませんが、サウナ後こそ、スキンケアアイテムにはこだわってみてください。おすすめは、高級な成分がたくさん入っているようなものより、ワセリン、グリセリンなどの極力シンプルな成分のものでケアすることです。

サウナ後はしっかりスキンケアを

サウナで「冷え・こりが改善する」ってホント!?

エディターK:私はとにかく冷え性で、デスクワークによる首・肩のこりや眼精疲労がつらいんです。サウナで血流がよくなることで冷えやこり改善に効果がありそうなのはなんとなくわかりますが、どのような点に気をつければ、より高い効果が得られるでしょうか?

加藤先生:まず“冷え性”に関してですが、そもそも「体を冷やすのがよくない」という考えは誤りです。それだったら同じ空間の中で隣同士に座っている片方の人だけ寒いわけがない。つまり寒いと感じている人は、自律神経の機能が弱まっているわけだから、きちんと機能するように身体の奥がしっかり温まるまでサウナに入ることが重要です。

エディターK:奥まで温まっていることを判断する方法はありますか?

加藤先生足の先まで温まっている感じがするかどうかですね。それから背中の真ん中あたり、風邪をひいたときに寒気がする部分が温かくなっているかどうかです。顔にタオルをかぶって、冷静に自分の体は今温まっているのだろうかと考えると判断しやすいですよ。表面だけ熱くてしんどいけれど、深部はまだ温まってまっていない感じがした場合は、もう少し入るようにしてください。

次に“肩こり・腰痛・眼精疲労”ですが、これらは血流の問題で、これも体の深部までしっかり温めることが大事になるので“冷え性”の場合と入り方は一緒です。こりをほぐすためには、サウナ室で軽くマッサージをする“マッサウジ”がおすすめです。

また、私も運営に関わっている、『ココハル』というシール鍼のメーカーが作った無料のアプリ(https://kokoharuapp.com)があるのですが、悩んでいる不調を入力すると最適なツボを教えてくれるので、ぜひサウナに行く前にチェックしてみてください。サウナに入りながら、ツボを押すと気持ちがいいですよ!

マッサウジ

サウナに入ると「ダイエットにいい」ってホント!?

ライターM:先ほど、サウナはダイエットにもいいとおっしゃっていましたが、具体的にはどういうことでしょうか?

加藤先生サウナに入ると甲状腺ホルモンが増えるので代謝が上がり、痩せ体質になるからです。甲状腺のおもな役割はふたつあり、ひとつは交感神経を活性化すること、ふたつめは全身の代謝を活性化することです。そのため、サウナに入ることで代謝が上がり、エネルギーを消費しやすい体になります

ここ数年、16〜18時間の短時間で行うファスティング(断食)が人気ですね。なぜ16〜18時間かというと、断食後16〜18時間で代謝のスイッチが「食事で得た分」から「貯蓄分」に切り替わるからです。16〜18時間たち、体が飢餓状態になると、代謝のスイッチが切り替わり、体に貯蓄している脂肪をエネルギーとして使います。この、代謝のスイッチを切り替える役目を担っているのが甲状腺ホルモンなんです。実は、16〜18時間断食するのと同様の甲状腺ホルモン量の変化が、サウナに入ってわずか20~30分後にも現れ、脂肪を燃焼するようになるんです。本来は約1日かけて断食しないと脂肪にアプローチできないのに、わずか20〜30分でそれがかなうのはすごいですよね!

ただし、サウナ前やサウナ中に糖分を摂取すると、甲状腺ホルモンが上がらなくなるので、その点は気をつけてください。糖分を摂取する場合はサウナ後にしましょう。また、食べるタイミングがサウナのあとでも、食べすぎたら当然太ります。サウナの直後は副交感神経が高まることで食べものの吸収率も上がるため、注意が必要です。サウナのあとは味覚も敏感になっているため、食べものがおいしく感じられますが、こってりしたものは控えるといいでしょう。味覚が敏感になっているので、繊細なだしの味を感じ取ることができるおでんなどが僕のおすすめです。あとは一価不飽和脂肪酸が多いオリーブオイルをふんだんに使った地中海料理なんかも、いいですね。

また、むくみの大きな原因である塩分がサウナで汗をかくことで排出されるため、むくみが取れてフェイスラインや体がスッキリする効果もありますよ!

※Effects of Sauna and Glucose Intake on TSH and Thyroid Hormone Levels in Plasma of Euthyroid Subjects, METABOLISM, 1987

サウナで「PMSや精神的な不調も改善する」ってホント!?

エディターK:サウナに入ることによって分泌されるホルモンが多幸感につながるとのことですが、PMSのメンタル不調などにも効果はあるのでしょうか?

加藤先生:そうですね。サウナに入ると交感神経が優位になるのですが、実は交感神経って卵巣に直結しているんです。適切に入ることでホルモンの分泌が安定するので、PMSのメンタル不調にも効果があると思います。とはいえ、調子がよくないときに無理をして入ってもサウナの恩恵を受けることはできないので、そういうときはサウナはお休みしてくださいね。

ライターM:PMS以外にも、精神的な不調がよくなることはありますか?

加藤先生:あると思います。僕のインスタグラムに届くDMの中に、うつが治ったり改善されたという声が複数ありますので、気分が落ち込んでいる方は一度サウナを試していただきたいです。実際に、サウナ大国のフィンランドでは、サウナによく入る人は精神疾患になる率が78%減るという報告もあるんですよ。

サウナで元気に

女性におすすめしたい! 加藤先生の推しサウナ

エディターK:もともとサウナは好きでよく行っていましたが、加藤先生のお話を聞いて、ますますサウナへの興味が高まりました! もう今夜にでも行きたい…!

ライターM:私はサウナ初心者ですが、先生おすすめの入り方を実践したくてウズウズしています。どこのサウナに行こうか…。先生が特に女性におすすめしたいサウナはありますか?

加藤先生:サウナは日常的に入ることで効果がより高まるので、通いやすいということがいちばん大事です。なので、ぜひ近所で気に入ったところを探していただけるといいと思います。最近は、昔ながらの銭湯をリノベーションした“ネオ銭湯”…と僕は呼んでいるのですが、内装やサービスを今っぽくアップデートした銭湯が増えているので、そういうところはおすすめですね。値段も銭湯価格なので1000円前後で入れます。都内だと、黄金湯金春湯えごた湯などなど。

都心ではまだまだ男性向けのサウナが多いですが、新宿のルビーパレスは女性専用なので、女性サウナーがよく行っているという話を聞きます。

たまにはごほうび的にパーソナルサウナに行ったり、思いきってサウナ旅に出かけるのもいいかもしれません。伊勢志摩のほうにある飛雪の滝キャンプ場は、湖畔にテントサウナを立てることができて、そこから滝壺に飛び込むことができるんです。福岡・糸島のHIDEAWAYもおすすめ。それから島根県にある時津風というサウナも面白い! 温泉街の中にあって、カフェとスナックの奥がサウナになっているんです。わざわざ遠くまで行かないと入れない特別なサウナから始めることで、サウナの印象も変わるのではないでしょうか。

実際に不調は改善するのか!? おすすめサウナで実践してみた

1.おすすめ“ネオ銭湯”サウナ『金春湯』で実践!
実践したのは▶︎エディターK

金春湯

金春湯
住所:東京都品川区大崎3-18-8
営業時間:平日・土曜・祝日 15:30 - 24:00、日曜 10:00 - 24:00(最終入場 23:30)
定休日:毎週火曜日
入浴料:大人 500円、サウナ1回 600円、サウナ回数券6回 2700円
公式サイト:https://kom-pal.com/

『金春湯』ってどんなところ?

実は、こちらの銭湯は私エディターKの自宅から徒歩30分くらいのところにあり、以前にも一度利用させていただいておりました。金春湯のロゴを使った可愛いオリジナルグッズを売っていたり、こだわりのクラフトビールが置いてあったりと、お風呂とサウナだけでない楽しさがあるスポットです!

【医師監修】女性のための「サウナの効能と正しい入り方」。女性のほうがサウナで“ととのい”やすいってホント!?_8_1

日替わりのビール。

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ポップなオリジナルTシャツ。

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ロゴが可愛い!

この日も気になるビールがあったのですが、「今日はダイエット効果も狙っていくぞ…!」と心を鬼にし、購入は見送りました。

金春湯のサウナは、出てすぐのところに水風呂があり、外気浴(屋内ですが)できるスペースもすぐ近く。サウナ→水風呂→外気浴を超スピーディに行うことができるため、質の高い“ととのい”が得られると感じました。また、サウナグッズの置き場所が定められていたり、ドライヤーが無料だったりと(銭湯は20円かかるところが多いです)、細かい部分ですが、快適に過ごすための心遣いもうれしいです。

ちなみに、『金春湯』から徒歩20分程度のところにある銭湯『すえひろ湯』が廃業することになってしまったところを『金春湯』が引き継ぎ、姉妹店として昨年の12/16にリニューアルオープンしたばかり。こちらにはなんと、生クラフトビールのタップも設置されています!

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ちょうどいい温度のサウナ室。

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水風呂のほかに、2種類のお風呂があり。

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脱衣所は懐かしい雰囲気。

不調は改善されたのか!?

とにかく冷えと上半身のこりがひどい私。原因は絶対に「血の巡りが悪いから」。

サウナで血流をよくして冷えとこりを改善したいと思っているものの、体が温まる前に顔が熱くなり、息苦しくなってしまいギブアップしてしまうこともしばしば…。加藤先生に教えていただいた、「タオルを顔にかける」作戦を試してみました。

するとどうでしょう。顔が火照ってつらくなることもなく、いつもよりも長い時間サウナ室にいることができ、体の芯まで温まっていることが実感できたのです。さらに、脚もあぐらのポーズにすることで、いつも最後まで冷えている足先が温まるスピードも格段に上がりました! 「血よ〜〜〜巡れ〜〜〜〜!」という思いを込めて、肩を回したりツボを押したりなどの“マッサウジ”もしっかりと。

サウナ→水風呂→外気浴の流れを3セット行い、水分をしっかりとって外に出ると、かつてないほど体が軽いではありませんか…‼︎ こんなに明らかにサウナの効果を感じたのは初めてだったので、正しい入り方って本当に大事なんだな…と、ひしひしと感じたのでした。

頭からタオルを被ってサウナに

2.おすすめ女性専用サウナ『ルビーパレス』で実践!
実践したのは▶︎ライターM

ルビーパレス

ルビーパレス
住所:東京都新宿区大久保1-12-2
営業時間:24時間営業(現在は時間短縮営業)6:30-26:00 (最終入館24:00) ※火曜日のみ9:30-26:00
定休日:なし
入館料:1980円(4時間・延長する場合は880円/1時間)、2420円(10時間・延長する場合は550円/1時間)
公式サイト:https://www.rubypalace.com/sauna.html

『ルビーパレス』ってどんなところ?

日本ではまだまだ男性専用のサウナが多いなか、新大久保駅と東新宿駅の間にある『ルビーパレス』は女性専用! 

銭湯よりはお値段は高めですが、バスタオルとフェイスタオルが料金に含まれているうえ、浴場には備え付けのシャンプー、リンス、ボディソープがあるので、ふらっと手ぶらで行けることを考えたらコスパもいいですね。

サウナがメインですが、洗い場もゆったり広く、大きなお風呂もあるので、サウナに入る前の準備ものんびりできます。ちなみにお風呂のお湯は硬度0mgを基準とした軟水を使っているそうで、肌当たりも滑らかです。

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いちばん温度が高いロウリュサウナ。

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水風呂が広い!

サウナはロウリュサウナ、遠赤サウナ、よもぎスチームサウナ、麦飯石サウナの4種類があるのですが、“ととのう”ために選ぶべきは80度以上の高温サウナであるロウリュサウナ一択。熱したサウナストーンに水をかけ、高温の水蒸気を一気に発生させる、フィンランド発の入浴法「ロウリュ」が気持ちいい! 水蒸気を体に浴びることで、体の芯から体感温度を上げ、湿度によって発汗を促すことができます。ととのい終わったあとで、のんびりと残りの3つに入るのもアリです。

今回は体験しませんでしたが、『ルビーパレス』はアカスリも名物なので、次回はセットで楽しみたいと思いました。

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ゆったり座れる遠赤サウナ。

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よもぎの香りに癒される、よもぎスチームサウナ。

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海底800mから採掘した特別な石を使った麦飯石サウナ。

不調は改善されたのか!?

私は極度の肩こりと腰痛に悩まされていて、月に4回ほどマッサージに行かないと生きていけません(笑)。さらに冬になると登山用の靴下をはかないと足の指の感覚がなくなるほどの冷え性なので、いちばんの目的は「冷え・こりの改善」。

80度〜90度に保たれたロウリュサウナの室内に入ると、広々とした空間に3段の木製ベンチが並んでいます。初心者サウナーではありますが、2段目の扉から遠い位置に座り、初めての“ととのい体験”への期待で胸を膨らませながら、あぐらをかいて脈を測り、しばし瞑想。

脈が軽い運動時程度に早くなったところでいざ水風呂へ! 今までの人生で水風呂が気持ちいいと感じたことがなかったのですが、30秒ほどじっとしていると、ふんわり包まれるような心地よさが訪れてびっくり! 加藤先生に教わった通りの入り方をするだけで、こんなにサウナ&水風呂が気持ちいいとは驚きました。ちなみに水温は20度前後です。

そして最後に総仕上げの外気浴。残念ながら屋外ではないのですが、水風呂とサウナのあいだにある石のベンチに腰掛けてぼーっと過ごします。これ以外に入り口に一人用の椅子も置かれているので、混んでいるときでも安心です。

1セット目を終えた時点で至福の時間を過ごせた私は、初心者ながらキッチリ3セットをこなし、家路へ。『ルビーパレス』から自宅までは歩いて30分ほどなのですが、まったく寒さを感じることなく、家に着いてからもポカポカ&ふわふわした感覚が続いていました。今日から私も立派なサウナーです(笑)!

水風呂の気持ちよさを実感

3.おすすめパーソナルサウナ『KUU』で実践!
実践したのは▶︎エディターK

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KUU
住所:東京都港区北青山3-9-2 AQUAビル 1F
営業時間:9:00 - 23:30(完全予約制)
定休日:不定休
利用料:70分コース 5,500円、90分コース 6,930円、70分コース(リピート予約) 5,170円、90分コース(リピート予約)6,600円 ※利用後にその場で次回の予約をするとリピート予約料金が適用されます。
公式サイト:https://sauna-kuu.com/

『KUU』ってどんなところ?

北青山のパーソナルサウナ『KUU』。重厚な扉を開けて中に入ると、まるでエステサロンのようなラグジュアリーな空間が広がります。受付で、一人一本もらえるお水、希望者がレンタルできるサウナハット、2種類から選べるアロマオイルを受け取りいざ個室へ!

パーソナルサウナ『KUU』

ラグジュアリー感あふれるエントランス。

パーソナルサウナ『KUU』

飲みものと、アロマオイルを選べます。

個室には、タオルやソープ類をはじめ、歯ブラシやヘアゴム、携帯の充電器まである至れり尽くせりっぷり! そして圧倒的な存在感を放つ、ダイソンのドライヤーさま…! 室内の照明も調節できるので、自分好みのムードを作り上げられます。

シャワー室のドアを開けると、自分だけのシャワーに自分だけの水風呂、その奥には自分だけのサウナが…! このパーソナル感、たまらないです。ゆっくりと自分と向き合いたいという人には、ぴったりのサウナなのではないでしょうか。

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充実のアメニティ!

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お一人さまサイズの水風呂が可愛い。

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サウナ室を独り占めできるという贅沢。

不調は改善されたのか!?

この日、改善したいと思ったのはズバリ「精神的不調」。日々忙しさに追われ、ゆっくりと自分の気持ちと向き合う時間も取れずにいる今日この頃。「自分が本当に求めているものはなんなのか?」「自分はどういう存在なのか?」…そんな問いを通勤電車の車窓に映る疲れた顔に投げかけるも、答えは返ってきません。仕事もプライベートもけっこう楽しいけれど、なんだか気持ちがスッキリしきらないアラウンド・サーティ特有のこのモヤモヤ感をどうしたものか。そんな不調もサウナが解決してくれたりするんですかね!?

シャワーでさっと体を洗ってから、水風呂の横に用意されていたアロマロウリュ用の水にアロマオイルを溶かし、サウナ室へ。サウナ室は2段になっており、2段目は横向きに座ると脚ものばせる広さです。モワッとした熱気に満ちた薄暗い空間に閉じ込められているこの感じ、なんかSFっぽいな〜などとぼんやり思ったりしました。

サウナ室の中にあるサウナストーンに、受付でもらったアロマを混ぜた水をかけると、ジュワワ~という音とともに、サウナ室の中にめっちゃいい香りの熱波が立ちこめます。これは…思った以上に熱い! だが、それがイイッ…! 体の芯から熱くなり、全身から汗が吹き出る感覚。自分の体が、今ここに“在る”という実感ッ…!

ミニ宇宙船のような水風呂から上がり、“ととのい”特有の浮遊感に包まれながら脱衣場の椅子に座って火(っぽい照明)を眺めていると、つねに頭の片隅にある仕事のタスクや、将来への不安などが自分という存在から遠ざかっていくような気がします。そしてしだいに、「あれ…何を気にしてたんだっけ…? そうか、なんでもなかったんだ。自分は自分で、自分は世界で、世界は自分なんだ…」という真理(?)にまで到達することができました。

誰の目を気にすることもなく、自分一人きりの空間で体と心をいたわる体験により、忘れかけていた“自分自身を愛すること”を思い出すことができた…という感じでしょうか。その感覚は、パーソナルサウナだからこそ、そしてこのラグジュアリー感あってこそ得られたものだと思います!

サウナでトリップ状態に

正しい入り方をするだけで、その効果や気持ちよさが何倍にもなるサウナ。ブームに乗じてサウナデビューした人々が、次々とやみつきになっていくのもうなずけます。

まだまだ続く寒い冬。サウナの“熱波”で、体と心の不調を吹き飛ばしちゃいましょう!

取材・文/菊池美里 企画・編集・イラスト/木村美紀(yoi)