原宿に誕生した複合施設「ハラカド」。中でも、“都心のど真ん中の銭湯”ということで、オープン前から注目を集めていたのが、地下にある銭湯「小杉湯原宿」です。”ととのい”好きなエディター・uncrave WHITEディレクターの東原妙子さんが早速行ってみたところ、いい意味で予想を裏切る今までにない銭湯体験だった⁉

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東原妙子

ファッションエディター、「uncrave WHITE」クリエイティブディレクター

東原妙子

1977年、東京生まれ。大学卒業後は銀行OLを経て出版社に転職。現在はフリーのファッションエディターとして、女性誌を中心にブランドの広告やウェブコンテンツ製作などで幅広く活躍。2020年にECブランド「アンクレイヴ」を立ち上げ、2022年からはコレクションライン「アンクレイヴ ホワイト」のクリエイティブディレクターを務める。ファッション以外にも、趣味はサウナ、温泉、旅行、漫画、グルメ(主に鮨)など多岐にわたり、飾らないキャラクターが人気のInstagramはフォロワー6.3万人超え。

こんにちは。
左右の歯を同時に治療中のため、食べ物を前歯だけで食べるチャレンジ中の東原妙子です。結構難しいし、食事中どうしてもコミカルな顔になってしまうのが悩みです。

さて、今回訪れたのは原宿・表参道エリアのど真ん中! 神宮前交差点に4月にオープンして話題の「ハラカド」は、地上9階建てのガラス張りのビルの中に75の店舗が入った複合施設です。時代の最先端として情報発信をしてきたこのエリアで、挑戦的な熱い思いを持ったショップが集結し、クリエイターの支援・育成や、“クリエイティブの聖地化”を目指しているのだそう。

その中でも、オープン前から大注目だったのが、地下1階の銭湯「小杉湯原宿」です。

地下に“銭湯を中心とした街”「チカイチ」が誕生

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小杉湯は、昭和8年創業、高円寺で91年続く老舗銭湯。
2店舗目として「ハラカド」の地下1階に「小杉湯原宿」をオープンし、フロア全体のプロデュースも小杉湯が担当しています。
地下1階なので、その名も「チカイチ」。うむ、ワカリヤスイネ。

“銭湯を中心とした街”に見立てて作られたこの場所には、銭湯の他にも、色々なジャンルのブースがあって、それぞれのコンセプトにちなんだ漢字一文字が看板として掲げられています。

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東原妙子 ととのう 銭湯 ハラカド 小杉湯 原宿 チカイチ

まずは、「快」。こちらは、ロッカー付きのランニングステーションとストレッチスペース。
代々木公園から近こともあり、この日も走ったあとの爽快なひとっ風呂を目当てに来ているランナーの方が何人もいらっしゃいました。アンダーアーマーのウェアやシューズのレンタルもできるそう。

ご存じの方もいるかもしれませんが、まぁ、私…運動とか全然しないわけで…当然走るなんてまっぴらごめんなのですけれども…せっかく来たのでストレッチだけでもと、何となく?それなりに?してみました(笑)。やってみたら、これはこれでよいものです♡ 

隣の「誌」ブースは、雑誌の図書館。
畳でゴロゴロしながら読書をしたり、ビールを飲んだり、仕事をしたりしている人もいて、皆さん思い思い自由な時間を過ごしていました。

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昔ながらの“街の銭湯”スタイルが楽しい

さて、いよいよ銭湯へ。まずは番台にて受付を済ませます。
入浴料は、なんと大人520円(中人200円、小人100円)!
スーパー銭湯と同じように自由価格が認められているのですが、目指すのは地元の人が毎日通える“街の銭湯”ということで、あえて東京都の入浴料金と同じ価格に設定しているのだそう。

東原妙子 ととのう ハラカド 銭湯 小杉湯 今治タオル

フェイスタオル(泉州タオル)100円、バスタオル(今治タオル)200円。※レンタル料金

下駄箱に靴を入れ、のれんをくぐって中に入ると、そこはすぐ脱衣所と浴場というシンプルさが潔い。
高円寺の「小杉湯」とほとんど変わらない作りになっているという浴場は、白を基調にした明るいスペース。

通常、温浴施設では湯垢が目立たないよう色がついた床や壁にするところが多いそうですが、「小杉湯」では営業時間前の4時間と終了後の2時間かけて清掃をし、このクリーンな白を保っているそう。

並々ならぬ“銭湯愛”、伝わります…!

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高円寺の「小杉湯」と同じ白を基調にした浴場

 そして、真っ先に目に飛び込んでくるのは、昔懐かしい富士山の銭湯絵。こちらは全国に二人しかないという銭湯絵師の一人、中島盛夫さんの作品。ビルの地下ということで天井が低いため、目の前で鑑賞できます。

女湯と男湯は壁一枚隔てて上でつながっていて声が反響して聞こえてくるのも、いかにも昔ながらの銭湯の趣。
そういえば、亡くなった祖父は銭湯が趣味だったので、家にお風呂があるのに毎日通っていたんですよね。それで子どもの頃、たまに連れていってもらっては、女風呂から「ねぇねぇ、おじいちゃ~ん!」と大声で話しかけ、他のお客さんたちに笑われたのを思い出したりして。
無類の風呂好きは遺伝だったのか、と改めてほのぼのとした気持ちになりました。突然のノスタルジーおばさん、ごめんなさい(笑)。

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はい、今月の「由美たえこ」カットになります
 ※取材許可をとって特別に浴場内で撮影しています。

さて、本題。「小杉湯」には3つの湯船があります。

白く濁った湯船は、初代から受け継がれてきた名物「ミルク風呂」。3つの保湿成分、ワセリン、ミツロウ、ミネラルオイルが配合されていて、優しいミルクの香りに癒されます。

隣のジェットバスになった「あつ湯」は、何と設定44℃! そっと足を入れてみると、いや、普通にめちゃくちゃ熱いんですけど!!?
でも、そうそう、昔の銭湯って激熱だったよな~と思い出し、最初だけ我慢して入ってみると、不思議なものでこの温度がだんだんと心地よくなってくる。江戸っ子ってドMだったに違いない。

そして最後、「水風呂」に沈んだあと。
こじんまりした内気浴スペースでひと休みしているとき、思いがけず“それ”は訪れたのです…!

東原妙子 ととのう 銭湯 ハラカド 小杉湯 原宿 温冷交代浴 サウナ 水風呂

※取材許可をとって特別に浴場内で撮影しています。

ふぁ~、気持ちいいな~。最高だな~。
ん? え? じわじわ~。あれあれ? 
私、今、ひょっとしてととのってる…?

そう、この“温冷交互浴”で、ととのえてしまったんです。
昔ながらの銭湯スタイルにこだわる「小杉湯」では、あえてサウナを作らず湯船だけで勝負すると聞いていたので、ととのいについて実はまったく期待していなかったのですが、「あつ湯」と「水風呂」の温冷交互浴がこんなにも気持ちいいとは…! “ととのい”の新発見でした。

また、こちらのお湯は軟水器を使っていて、肌や髪に優しいのもさりげなくうれしいポイント。

アメニティ完備だから手ぶらでOK!

シャワーは昔ながらの固定式ですが、一部普通にコードのついたシャワーヘッドもあり。バリアフリーの洗い場もあります。


銭湯というと、シャンプーやらスキンケア用品やら自分で持参するのが普通ですが、こちらは浴室にも脱衣場にも必要なバスアメニティがひと通り用意されているので、思い立ったら手ぶらでふらりと利用できます。ドライヤー3分20円の昭和感も◎。


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また、MYTREXのヘッドマッサージャーや美顔器などを無料で貸し出すサービスもあり、最新の美容家電を自由にお試しできちゃう。
このあたりは、最新情報の発信地“原宿らしさ”であり、昔ながらの文化との融合が面白いですよね。

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縁側スペースで風呂あがりの一杯は格別♡

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お風呂あがりのドリンクも、全世代が楽しめる充実のラインナップ。

ノスタルジックなコーヒー牛乳やフルーツ牛乳はもちろん、レアなコーラや乳酸飲料、そして、キンキンに冷えた生ビールスタンド!
縁側のような広々としたベンチに座って遠慮なくいただきま~す♡

ノンアルコール派には、日本酒みたいなビジュアルの甘酒「宝山」がおすすめ。優しい甘さでおいしかったです。
カバ印のアイスキャンデーもありました。

東原妙子 ととのう 銭湯 ハラカド 小杉湯 原宿 サッポロ 黒ラベル 生ビール 風呂上がりの一杯

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東原妙子 ととのう 銭湯 ハラカド 小杉湯 原宿 カバ印 アイスキャンデー

上のレストランフロアで「銭湯飯」を

ハラカドの5・6階には23店舗の飲食店があり、中には「小杉湯原宿」とコラボして、湯あがりに食べたい「銭湯飯」を用意しているお店も。

私は、カレーとナチュラルワインのお店「beet eat」で、コラボのミルクソフトクリーム&仙禽シードルと、通常メニューの3種のカレーをいただきました。屋上テラスは解放感があって、風呂あがりに風に当たりながら食べられるのが最高♡
すべて前歯だけで食べられるメニューも、個人的にありがたかったです(※冒頭参照)。

ちなみに、7月31日まで「小杉湯原宿」に入浴した方に、5・6階の飲食店舗の「銭湯飯」をお得に利用できる特別クーポンを配布中らしいので、ご興味ある方は番台に声をかけてみて(※上限に達し次第終了)。

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屋上テラスでbeet eatの「銭湯飯」とカレーを

「銭湯」の文化的価値を体感できる場所

原宿のど真ん中に銭湯ができると聞いて、観光客向けなんだろうな~と思っていたのですが、「小杉湯原宿」が目指すのは、あくまで近所の人たちが気軽に利用できる“街の銭湯”。

走ったあと汗を流しに来てもいいし、ただストレッチをしてゴロゴロするだけでもいい。畳で雑誌を読んだり、縁側でビールを飲んだり。

私たち世代には懐かしくもあり、それが若い人たちにとっては今までにないクリエイティブな体験なのかもしれない。小杉湯がプロデュースする「チカイチ」は、単に銭湯に入る、というだけではない、老若男女問わず誰もが銭湯の文化的な価値を楽しめる場所。

都会の喧騒に疲れたら、またふらりと立ち寄ってみたいと思います。

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「小杉湯原宿」の番頭であり副社長の関根江里子さん。銭湯が好きという想いで、スタートアップ企業のCOOから転身

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画像デザイン/齋藤春香 イラスト/木村美紀 写真提供・構成・取材・文/東原妙子