日常の喧騒から離れ、心と体を整えるサクっと一人旅、「ひとリート」。普段からセンスがいい人は、ひとリートのセンスもいい! ということで、yoiのサウナ連載も大好評のエディター・東原妙子さん、旅での一人時間がアートのインスピレーション、アーティストのKAZUKIさん、その地に暮らすように旅する、フードスタイリスト・山崎由貴さんの3名に、本当は教えたくない!? ひとリートにピッタリなおすすめのお宿を教えていただきました!
「ひとリート」とは…
半日~日帰り・1泊2日程度の「一人で楽しむリトリート体験や旅」を表す造語。yoi発の、心と体のセルフケアに役立つ時間の使い方です。
- 都内近郊・本当は教えたくないひとリート宿6選
- 【群馬】徹底的に体を労われる『クアビオ』
- 【長野】タイムスリップしたような非日常感『蓼科 親湯温泉』
- 【長野】家族経営の歴史あるお宿『中棚荘』
- 【群馬】まるでタイムスリップしたようなたたずまい『法師温泉 長寿館』
- 【山梨】村の人との交流が魅力『NIPPONIA 小菅 源流の村』
- 【静岡】歴史的な建物で過ごす『沼津倶楽部』
- 都内から足を延ばして訪れたい!遠方のおすすめひとリート宿6選
- 【沖縄】旅好き夫婦が営むお宿『mui』
- 【沖縄】あえて街中にステイが新鮮!『Southwest Grand Hotel』
- 【青森】電気が通ってない不便さが新しい 『ランプの宿 青荷温泉』
- 【山形】広大な田んぼに浮かぶホテル『スイデンテラス』
- 【鹿児島】目の前に海が望める『伝泊 The Beachfront MIJORA』
- 【岡山】日常の喧騒を忘れるシンプルなお宿『uno nido』
都内近郊・本当は教えたくないひとリート宿6選
【群馬】徹底的に体を労われる『クアビオ』
ー今日は旅好きな皆さんに、ひとリートにピッタリなお宿を紹介して頂きたいと思っています。さっそくですが、まずは都内近郊でおすすめの場所はありますか?
東原さん(以下敬称略):私がまずおすすめしたいのは、草津にある『クアビオ』です。ここはただの温泉施設ではなくて、心と体の健康を取り戻すことをテーマにつくられたお宿。マクロビオティックに基づいた食事を頂けて、名湯・草津の湯も楽しめるんです。

東原:マクロビ料理を楽しめる通常プランのほかに、ファスティングができるプランもあって。それこそ一人で泊まってファスティングしながら、草津の本気の温泉やサウナを楽しんで、日頃酷使している自分の体を労わりまくれる最高のお宿!

ホテル滞在中は「マクロビ」と「ファスティング」の好きなほうの食事を選択可能。写真は「ファスティング」の食事の一例。
山崎さん(以下敬称略):調べてみると一人旅割引もあるんですね! ヨガやネイチャーウォーク、ゴルフまで、アクティビティーも充実していて楽しそう。
【長野】タイムスリップしたような非日常感『蓼科 親湯温泉』

山崎:私のおすすめは、長野にある『蓼科 親湯温泉』です。創業が大正15年ということもありノスタルジックな雰囲気で、まるでタイムスリップしたような空間に圧倒されます。そしてなんといっても食事がすごくおいしい! 信州の新鮮な食材を使った和フレンチをいただいたのですが、レストランのような本格的なコースに舌鼓を打ちました。
KAZUKIさん(以下敬称略):地元の食材を頂くのも旅の醍醐味ですよね。地産地消な食事を楽しめるのが、私の宿選びのポイントだったりもします!

山崎:一人時間を充実させてくれるのは「みすずLounge & Bar」と岩波文庫の回廊。たくさんの書籍が置いてあって、好きな本を読みながらお酒を嗜むこともできます。もちろん温泉も素晴らしく、おすすめは貸切風呂。かつては武田信玄が戦いの傷を癒す隠し湯として使っていたと伝えられていて、その歴史を肌で感じることができます。

【長野】家族経営の歴史あるお宿『中棚荘』
KAZUKI:同じ長野県で私がひとリートにおすすめしたいのが120年以上の歴史がある『中棚荘』です。家族で経営をされている温泉旅館で、旅館のすぐ近くには旅館が運営しているワイナリーが併設されているのも魅力! 私は旅行に行くとその土地のお酒を飲むのがとても好きで、よくワイナリーや醸造場を訪れるんです。これは経験則ですが、いいお酒のある土地にはいいお宿がある気がしています(笑)…!
東原:建物は大正時代のものなんですね。有名な文豪も泊まっているなんて、すごくロマンのある宿!

KAZUKI:その話を聞くだけでもワクワクしますよね。それくらいお籠もりに最適な環境でもあるので、一人お宿でのんびり贅沢したくなります。緑に囲まれた温泉もとても素敵で、季節によってはりんごが浮かんでるんですが、その光景にもうっとりしてしまいます。厳選された地産の食材を使用した会席料理も絶品で、朝と夕両方をぜひお宿で食べてほしいです。

【群馬】まるでタイムスリップしたようなたたずまい『法師温泉 長寿館』
東原:私のおすすめは群馬でもう1軒、『法師温泉 長寿館』。国登録有形文化財の客室があったりと、タイムスリップしたような非日常感を味わうことができるんです。そしてなんといっても、かなりガチめな温泉がこの宿の名物。時代劇やアニメでみたことがあるような温泉がそこにはあって、ぬるめでもゆっくり入ると、ずっと体がぽかぽかしています!

山崎:昔ながらの温泉の雰囲気がすごく素敵ですね。そうかと思えば、旅館にはモダンなカフェもあって、楽しく過ごせそうですね。
東原:一人旅でも誰かと話したくなったら、宿泊客やスタッフの方が集まる囲炉裏があるから、そこに足を運んでみるとよさそう! 皆で火を囲みながら、ここじゃないとかなわない交流ができるのも旅の醍醐味。

【山梨】村の人との交流が魅力『NIPPONIA 小菅 源流の村』
KAZUKI:『NIPPONIA 小菅 源流の村』は村と一体化したようなお宿。ホテルに食材を提供する生産者の方やホテルスタッフ、 シェフまでも、運営する人はすべて村の方なのも面白い!あえて宿には大浴場がないので、温泉に入りたいと思ったら村の中にある温泉施設を利用できたり、自然と村に足を運んでしまう仕組みなのも素敵なんですよね。

KAZUKI:アクティビティーも充実していて、畑に出かけたり、時には村の方とお散歩に出かけることができたり…! 一人でも寂しさを感じず、村に暮らしているような感覚になれるお宿なんです。
山崎:故郷に帰ったような気分になれそうですね! 山梨の食材を使ったお料理もとてもおいしそうで、いつか足を運んでみたいです。

【静岡】歴史的な建物で過ごす『沼津倶楽部』
山崎:静岡にある『沼津倶楽部』は、その昔茶会を催したいと、趣味人が数奇屋造りの別荘を作ったのが始まりと言われています。のちに宿泊練を増設して今の沼津倶楽部ができたそうです。大正時代より受け継がれた建物は国の有形文化財に登録されていて、本当に見応えがあります…!
KAZUKI:沼津倶楽部は私も大好きなお宿です! 岩盤浴やサウナがあって、ずっとホテルで過ごしていたいと思えますよね。

山崎:本当にそのとおりで、ここに泊まるときは観光地に行くのではなく、近くの海沿いをお散歩したり、温泉にゆっくりつかったり、宿中心の時間を楽しみたくなります。誰かと来たときはつい外へ出かけたくなってしまいますが、一人だからこそ宿での時間を満喫できる気がします。お料理も絶品で、鎌倉にある「イチリン ハナレ」のシェフが監修し、地元の食材を使用した中華ベースのお料理が頂けますよ。

都内から足を延ばして訪れたい!遠方のおすすめひとリート宿6選
【沖縄】旅好き夫婦が営むお宿『mui』

ー都内近郊にはひとリートにおすすめの素敵なお宿がたくさんあるんですね! では東京から遠方にあるおすすめの宿を教えて頂けますか?
KAZUKI:私のおすすめは沖縄にあるホテル『mui』。建築や器がお好きで、カルチャーを大切にされているご夫婦が経営していらっしゃり、開放感のある建物がとても素敵! 空間としての感度の高さはもちろん、お部屋の優しいインテリアにもこだわりが感じられるおしゃれなお宿です。ホテルで使われる食器も素敵で、気に入ったものは館内のショップで購入もできるんですよ。

東原:ご夫婦は旅好きなんですね! 公式サイトを見ると、少しお得に宿泊できる一人旅プランもあるから、まさにひとリートにピッタリですね。旅好きご夫婦らしい素敵なプラン!
KAZUKI:muiは百名という集落の外れに位置していて、少し歩くと海をお散歩もできるの。いわゆるリゾートの煌びやかなビーチとは違って、穏やかな海にすごく癒されるんです…! 人も温かくて一度訪れたら大好きになってしまう場所です。

【沖縄】あえて街中にステイが新鮮!『Southwest Grand Hotel』
東原:私も沖縄でおすすめのホテル『Southwest Grand Hotel』を紹介させてください! 沖縄旅行と聞くと海辺のホテルを想像するかもしれないですが、ここは那覇市の街の中に位置していて。国際通りが近くて、観光客だけでなく地元の人も訪れるホテル! プールやサウナもあるから、一人旅でも充実した滞在になるはず。
山崎:あえてシティーに滞在する沖縄旅行も新鮮で楽しそうですね!

東原:ホテルに入っているレストランもかなり素敵! 3つのお店から選べるんですが、私は和食ダイニング「SHIKAKU」を頂きました。カウンターなのでシェフとお話ししながらの食事も楽しいし、ごはんを食べにいらした地元の方とも交流できて、一人旅でも寂しさを感じない! 実は以前にyoiの私の連載「東原妙子の ととのい道 vol.8」でもこのホテルについて詳しく書いたので、併せて読んでみてくださいね。

【青森】電気が通ってない不便さが新しい 『ランプの宿 青荷温泉』
山崎:私が遠方で行ってよかった青森にある『ランプの宿 青荷温泉』は、全館電気が通っていない珍しい宿。夜は宿の名前のとおり、ランプの灯りで過ごします。ここにいると、どれだけ普段明るい場所で生活していたのか気づかされます。デジタルデトックスにもなって、とても有意義な時間を過ごせました。
KAZUKI:温泉も素敵ですね! 山峡の秘湯と言われているなんて気になる…。

山崎:4種類のお風呂があってすごく充実していますよね! でも電気が通っていないのでドライヤーが使えない点は注意してくださいね(笑)! せっかく青森まで行ったなら、十和田サウナもぜひ訪れてほしいです。ランプの宿 青荷温泉から車で2時間ほどかかりますが、十和田湖のほとりにバレルサウナがあって、十和田湖を水風呂として使用できるユニークな施設。大自然の中でのサウナは最高に気持ちよかったです。

【山形】広大な田んぼに浮かぶホテル『スイデンテラス』
東原:同じ東北つながりでおすすめしたいお宿が、山形にある『スイデンテラス』。田んぼの上に建てられた建物はデザインが面白くて、そのたたずまいは圧巻です。館内にはライブラリースペースがあって、宿泊者は約2,000冊の本の中から好きな本を手に取って読むことができます。お酒を飲む方は地酒を片手に本を楽しむこともできますよ!
山崎:ホテルのライブラリースペースがあると、一人で訪れても自分が普段読まない本に出合えるから楽しいですよね。少し長めに宿泊して、ワーケーションするのもよさそう!

東原:そしてなんといっても、源泉かけ流しの天然温泉とフィンランド式サウナがすごくいい! 木の温もりを感じる建築も素敵で、日頃の疲れがどんどん癒えていくんです。

【鹿児島】目の前に海が望める『伝泊 The Beachfront MIJORA』
KAZUKI:もうひとつ、私がご紹介したいのが奄美大島にある『伝泊 The Beachfront MIJORA』。部屋と海の距離がすごく近くて、自然と一体感のあるお部屋は格別。10タイプのヴィラはどれも雰囲気が違うので、何度訪れても飽きのこないお宿です。
東原:開放的な窓がどの部屋にもあって、すごく心地よさそう! 季節ごとに表情の違う海を楽しめるのも素敵。

KAZUKI:お食事は、海や天気がよければ夕陽を眺められるレストラン2 watersのカウンターでいただくスタイル。奄美の食材を使用したお料理はどれも彩り豊かで、目でも楽しむことができます。ただお部屋から海を眺めているだけでも癒されるこのお宿は、一人のんびりするのに最適だと思います…! 絵を描いたり、本を読んだり、いつもと違ったインスピレーションが湧いてきそうです。

【岡山】日常の喧騒を忘れるシンプルなお宿『uno nido』
山崎:私が最後にご紹介したいのが、岡山にある『uno nido』です。もともとは化粧品店だった建物を少しだけリノベーションし、今はお宿として活躍しています。比較的コンパクトなお部屋ですが、一人には心地のいい空間。フェリー乗り場が近いので、直島に出かけたり、香川県は高松の方にも行くことができる便利な立地も魅力です。車が運転できなくても移動がしやすいと、一人旅のときは便利なんです。
KAZUKI:お宿も洗練されたモダンな雰囲気でどれも素敵ですね。空間がとてもおしゃれ…! 普段乗らないフェリーに乗ってみるのも、特別感がありますね。

山崎:フェリーで高松に行った際にぜひ行ってほしいのが、仏生山温泉。建物がまず素敵なんですよね。なかには古本がたくさん置いてあるので、休憩スペースでゆっくり読むこともできます。1日ここで過ごしたいほどお気に入りの場所です。
ー皆さんご紹介ありがとうございました! どれも素敵な宿ばかりで、さっそくひとリートしに行きたくなりました。宿や温泉、お食事など、自分なりの楽しみを見つけて、ひとリートを楽しみたいですね。
構成・取材・文/高橋琴美 企画/福井小夜子(yoi)