これまでに3900を超える温泉に入浴し、ひとりで温泉を楽しみ、温泉地でのワーケーションを好む温泉ライター・高橋一喜さん。今回はひとリートにもぴったりの、都内から行きやすい日帰り温泉&グルメ5選を教えていただきました!
※宿泊の金額は取材時のものです。
「ひとリート」とは…
半日~日帰り・1泊2日程度の「一人で楽しむリトリート体験や旅」を表す造語。yoi発の、心と体のセルフケアに役立つ時間の使い方です。
【東京】「蒲田温泉」

蒲田温泉で楽しめる黒湯

浴場には高温湯の湯船と低温湯の湯船が
昭和12年創業、下町の銭湯として愛され続ける「蒲田温泉」は、蒲田の中でもトップクラスの濃さを誇る真っ黒のお湯が特徴。いっさい薄めていないので、源泉そのままの濃さを楽しむことができます。薪で沸かしている黒湯の浴槽は高温と低温に分かれており、高温は50℃近くになる日もあるそう。
「蒲田温泉」のおすすめグルメ「温泉釜めし」

温泉釜めし ¥1450
階段を上って2階へ行くと、ステージ付きの宴会場でゆっくり過ごせる「蒲田温泉食堂」が。名物の釜めしや一品メニュー、定食なども味わうことができます。ロッカーを使ってランステーションとしての利用も可能です。
高橋さん的おすすめポイント
都内でサクッと行ってサクッと帰れる温泉スポットといえば『蒲田温泉』。蒲田周辺はモール泉と呼ばれる黒いお湯が湧いていて、これは太古の昔に地層の中に閉じ込められた植物由来の有機物(腐植質)が溶け込んだものです。そのせいかお湯から植物系の甘い匂いがしたり、肌触りもツルツルスベスベな、個性的なお湯を楽しむことができます。都内で温泉に入っているという特別感・非日常感も得られますよ。
入浴後にご飯が食べられる町の銭湯は珍しい。名物の「温泉釜めし」がおすすめです。釜めし自体が観光地っぽい食べ物なので、それも含めて温泉地に来た気分を味わえて楽しめるはず。蒲田はふらっと町中華に入ってもおいしいところが多いですし、ビールが好きな人は周辺のお店を開拓して蒲田名物の羽根つき餃子をいただくのもおすすめです。
蒲田温泉
◆東京都大田区蒲田本町2-23-2
10:00〜24:00
大人 ¥550
蒲田温泉食堂(2階)
12:00〜21:00(15:00〜17:00は休み)
休/火・水・木曜定休
https://kamata-onsen.com/
【神奈川】「湯河原惣湯」

玄関テラス側の入り口

源泉かけ流しの温泉

惣湯テラスのライブラリー
神奈川県の湯河原にある「万葉公園」。その中にあるスタイリッシュな外観の施設「湯河原惣湯」は、温泉や食事、ライブラリーやコワーキングスペースなどを備えています。木々の間や川のほとりにテラスが点在しており、日常から離れた空間で一人の時間を過ごすのにぴったり。

玄関テラスのコワーキングスペース
「湯河原惣湯」のおすすめグルメ「きび餅」

湯河原名物の「きび餅」がおすすめ 画像提供/高橋一喜
館内にはカフェやダイニングもあり、湯河原近隣でとれた食材を味わうこともできます。2025年1月からは、土日祝日限定でディナープランもスタート(惣湯テラス)。特別な日や、自分へのご褒美にも。
高橋さん的おすすめポイント
湯河原温泉は都内からも行きやすいですし、箱根や熱海に比べて観光客もそこまで多くなく落ち着いた温泉地です。『湯河原惣湯』は湯河原駅からバスに乗って10分ほどの場所にある施設。大きく「玄関テラス」と「惣湯テラス」の2箇所に分けられ、玄関テラスはカフェや足湯があって観光客でもふらっと気軽に立ち寄れる雰囲気。一方の惣湯テラスは温泉やライブラリーもあって一人で静かな時間を過ごすのにぴったりな空間です。惣湯テラスは当日でも空いていれば入れますが、予約していくと安心です。広々と洗練された空間は読書や考え事をするにもいいですし、温泉も掛け流しなので、温泉好きでも満足できるクオリティ。玄関テラスにはワークスペースもあるので、プチワーケーションにもおすすめです。
施設自体が万葉公園の中にあり、整備された遊歩道を歩くだけでもリフレッシュできます。渓流沿いには板壁に囲われた瞑想スポットのようなスペースも設置されているので、一人で心身のリトリートをするには最高の場所ではないでしょうか。湯河原温泉に何軒かある和菓子屋さんで売っているのが、名物の「きび餅」。もちもちした食感と、素朴で懐かしい甘さが絶妙で、脳がリフレッシュされた気分になります!
湯河原惣湯
玄関テラス
◆神奈川県足柄下郡湯河原町宮上566(万葉公園内)
10:00〜17:30
休/第2火曜日
惣湯テラス
◆神奈川県足柄下郡湯河原町宮上704(万葉公園内)
10:00〜18:00(最終入館時間16:30)
休/第2火曜日
お食事あり ¥6500
お食事なし ¥3300
https://yugawarasoyu.jp/
【東京】「前野原温泉 さやの湯処」

うぐいす色の濁り湯が楽しめる

四季折々の草花も見られる露天風呂
都営三田線・志村三丁目駅より徒歩約8分。都内にありながら、源泉かけ流しの本物の温泉を気軽に楽しめる温浴施設。源泉風呂や、つぼ湯や寝ころび湯などの露天風呂、貸切半露天風呂などさまざまなお風呂をそろえています。ほかにもドライサウナやスチームサウナ、岩盤浴、アロマテラピーにアカスリやマッサージなど、体と心を癒すサービスが満載。
「さやの湯処」のおすすめグルメ「十割そば」

お食事処『柿天舎』

天ぷらせいろ ¥1180
併設した食事処「柿天舎」では国産のそば粉を100%使用した「十割そば」をはじめ、四季折々の旬の食材にこだわった創作和食を味わえます。季節ごとに表情を変える、美しい日本庭園も必見です。
高橋さん的おすすめポイント
温泉好きにとっては、源泉掛け流しの湯船があるかどうかは大事なポイント。都内で源泉掛け流しがあるのは、こちらの『さやの湯処』などひと握り。東京23区内では、こちらが一番湯使いがいいと思っています。鶯色の濁り湯が源泉の特徴なのですが、塩分濃厚なパンチのきいた泉質ですね。掛け流しの湯船は小さめなので、個人的にはひとりでお邪魔して、静かにつかるのが正解だと思っています。
本格的な庭園があって、都内とは思えない環境も魅力。その景色を見ながら十割そばなど本格的な食事をいただけます。少し電車移動しただけで旅行気分が味わえますし、スーパー銭湯の料金で気軽に行けるひとり温泉スポットですね! 個人的には、入浴後に庭園を眺めながら十割そばとお酒をいただくのが最高に贅沢な時間です。
前野原温泉 さやの湯処
◆東京都板橋区前野町3-41-1
9:00〜24:00(最終入館受付23:00)
入館料 大人 平日¥930・土日祝¥1300
https://www.sayanoyudokoro.co.jp/
【埼玉】「熊谷天然温泉花湯スパリゾート」

露天風呂ももちろん源泉かけ流し

内湯も源泉かけ流し。あつ湯や高濃度炭酸泉、ジェットバスなども
“癒されるリゾート空間”をコンセプトに、埼玉県最大級の源泉使用量を誇る「熊谷天然温泉 花湯スパリゾート」。地下1,500mから湧き出る自家源泉を贅沢にかけ流しています。岩風呂や壺湯、寝湯など種類豊富な露天風呂に加え、内湯も源泉かけ流し。硫黄の香りも楽しめる、黄金色のお湯が特徴です。

「温活cafeネスト」のソファラウンジ
「熊谷天然温泉花湯スパリゾート」のおすすめグルメ「深谷うどん」

梅おろしのおうどん ¥780
同施設内にある「温活cafeネスト」では、8種類の岩盤浴とクールダウン室でじっくりと温活を楽しめます。またゆったりくつろげるソファラウンジ、マッサージチェアなどスペースもたっぷり。約15,000冊のコミックや雑誌、フリー温活ティー、無料Wi-FiやPCスペースまで完備しているので、一日中飽きることなく過ごせそう。小腹が空いたらレストランやカフェを利用できます。
高橋さん的おすすめポイント
いわゆるスーパー銭湯なのですが、お湯が温泉マニアから見てもとてもいい…! 関東のスーパー銭湯ではトップクラスの泉質です。広々とした庭園風の露天スペースで源泉掛け流しのお風呂に入れるのですが、温泉の香りもちゃんと感じられるくらいお湯の個性が出ています。美肌の湯と言われる柔らかい泉質で、ぬるめなのでずっと入っていられますよ。
別料金になりますが、「温活カフェ」で数種類の岩盤浴も楽しめます。体を温めることで体も心もより元気に、充電できますね。土日は混むので平日に有給をとってでも行ってほしい。
レストランは熊谷の隣町である深谷の「深谷うどん」が名物で、私も訪れたときにいただきました。コシがあってすごくおいしかったです。温活して体が火照っていたので、冷たいうどんがさらにおいしく感じられました。無料送迎のバスが熊谷駅から出ているので、車がない人でも気軽に行けますよ!
熊谷天然温泉 花湯スパリゾート
◆埼玉県熊谷市上之1005
10:00〜23:00(最終入館時間22:30)
ご入浴コース ¥950(土日祝 ¥1100)
温活cafeネスト NESTコース ¥800(土日祝 ¥900)
https://hanayuspa.jp/
【群馬】「伊香保露天風呂」

石段を登った先にある伊香保露天風呂

野趣あふれる露天風呂で源泉を満喫
伊香保の源泉地にある「伊香保露天風呂」は、源泉「黄金(こがね)の湯」を掛け流しで使用した野趣あふれる温泉。黄金の湯は湯の中に含まれる鉄分が酸化し、独特の茶褐色であることがその名の由来となっています。病気やケガの療養にいいとされ昔から湯治場としての人気も高く、“子宝の湯”とも呼ばれています。

飲泉所では温泉を飲むことができる
「伊香保露天風呂」に向かう道中には、伊香保で唯一、黄金の湯の飲泉を体験できる飲泉所も。
「伊香保露天風呂」のおすすめグルメ「温泉まんじゅう」

伊香保が発祥と言われる「温泉まんじゅう」 画像提供/高橋一喜
高橋さん的おすすめポイント
日帰りで行ける距離なのに、十分に旅情を味わえるのが伊香保温泉。有名な石段街を登った先に「伊香保露天風呂」があります。石段街は観光客が多いですが、奥に位置する露天風呂まで足を延ばす人は少ないので一人で静かな時間を過ごせますよ。伊香保温泉の中で、「伊香保露天風呂」は泉質が一番いいと思っています! 伊香保は黄金の湯と呼ばれる鉄分豊富な温泉が昔から湧いているのですが、「伊香保露天風呂」の近くから源泉が湧き出しているので鮮度の高いお湯に入れるんです。
飲泉所に立ち寄るのもおすすめ。おいしいとは言えない独特の味ですが(笑)、すごく効き目がありそうなありがたいお湯です。鉄分やミネラルを含んでいるので貧血などにも効果があると言われています。そして、全国どこにでもある“温泉まんじゅう”は伊香保にある和菓子店『勝月堂』が元祖だそう。皮が茶色いのは黄金の湯の色に似せてつくったから。店頭ではおいしい作りたての温泉まんじゅうを食べられますよ。ただ、売り切れ次第閉店してしまうので、午前中に訪ねるのがおすすめです。
伊香保露天風呂
◆群馬県渋川市伊香保町伊香保581
【4〜9月】9:00〜18:00(最終入場17:30)
【10〜3月】10:00〜18:00(最終入場17:30)
休/第1・3木曜日※祝日の場合は営業。8月は無休
入湯料 ¥600
https://www.ikaho-kankou.com/spring/spa1/
取材・文・構成/堀越美香子 企画/木村美紀(yoi)