東京駅丸の内駅舎の外観

「東京ステーションホテル」は、東京駅のシンボル、東京駅丸の内駅舎の中にある1915年創業の老舗ホテル。壮麗なヨーロッパスタイルの建築にファンも多く、6年に及ぶ改装を経て2012年にリオープンしてからは、フィットネス&スパなどの設施設を備えた都市型ホテルとしてさらにその魅力を増しています。

その東京ステーションホテルがこのほど、宿泊客が使用した石鹸をリサイクルするホスピタリティリサイクリングプログラム「Clean the World®」への参画をスタートしました。

廃棄されてしまう石鹸を、石鹸を必要とする国々へ

ホテルの石鹸とリサイクル石鹸のイメージ画像

「Clean the World®」とは、アメリカを本拠地とする社会的企業。世界中のホテルやリゾート施設とパートナーシップを組み、それらの施設から廃棄される石鹸を回収。リサイクルした石鹸を、衛生環境に恵まれない家族や子どもに配布し、衛生問題に起因する病気や死亡を防ぐ取り組みの手助けをしています。

東京ステーションホテルではこれまでも、ホテルで使用するアイテムの一部を、使い捨てのプラスチック製品から環境やサステナビリティに配慮した代替素材のものに変更するステップを進めてきました。

そんな流れのなかで、今回は洗面所や浴室に置かれている小さな石鹸にも注目。使用した石鹸は、もちろん使用後に持ち帰ってもいいものですが、ゲストの滞在中に使いきられることはほとんどなく、残された石鹸はこれまで廃棄するしかありませんでした。そこで、資源としての石鹸を無駄なく活用し、ごみ排出を少しでも減らすため、今回「Clean the World®」プログラムへの参画を決めたといいます。

リサイクルされた石鹸のイメージ画像

客室に残され、ホテルスタッフが回収した石鹸は、香港にあるリサイクル工場(アジア地区の場合)に送られます。表面を削ってきれいに汚れを取り、機械で細かく刻む際にもさらに不純物を取り除き、殺菌を経て再成型。再生石鹸の衛生状態は、定期的に第三者機関のラボでテストして確認されています。

完成した再生石鹸は、「Clean the World®」によって、貧困に苦しむ人々や災害・紛争に見舞われた地域に運ばれ、寄付されます。

再生石鹸を手にする人々

東京ステーションホテルでは、「客室数が少ない東京ステーションホテルから提供できる石鹸数はわずかでしかありません。しかし〈ごみ〉を減らし、循環可能な社会に近づくためには、それを実践する活動を〈サポート〉することも大切だと、私たちは考えています。小さな努力を大きな波に。引き続き私たちにできることを模索していきます」というメッセージを発信しています。

「Clean the World®」プログラムに加わっているホテルやリゾートは世界で8,100以上。現在までに、127の国々で7000万個以上の石鹸が配布されたのだとか。東京ステーションホテルの取り組みをひとつのきっかけに、今後も日本国内でますます「ホテルで廃棄されるもの」が減っていくことに期待したいですね。

配布された石鹸で手を洗う少女の画像

文/浅香淳子(yoi)