「yoi」ではSDGsの17の目標のうち「3. すべての人に健康と福祉を」、「5. ジェンダー平等を実現しよう」、「10. 人や国の不平等をなくそう」の実現を目指しています。そこで、yoi編集長の高井が、同じくその実現を目指す企業に突撃取材! 第5回は、2023年11月にデビューしたフェムケアライン「TWANY&me」について、「TWANY」の山内美貴子さんにお話を伺いました。
◆「TWANY&me」とは?
「フェムケアで、私をここちよく。」をコンセプトに、花王のこれまでの知見と確かな技術を用いたフェムケアラインとして2023年11月に誕生。女性特有の悩みやモヤモヤに目を向け、フェムケア/フェムテックに関する正しい情報を専門家とともに発信するウェブサイト「Female Terrace」も開設。
山内美貴子さん(写真左)と高井編集長。
「TWANY」宣伝・マーケティング宣伝担当
2006年にカネボウ化粧品入社。宣伝部を経て2018年より「TWANY」宣伝・マーケティングを担当。2020年より、「TWANY」にてフェムケアプロジェクトを始動。フェムケア施策の企画、制作をはじめとする取り組みに携わり、「TWANY&me」の立ち上げを担当し、現在に至る。
はじまりは、「フェムテック」という言葉との出合い
高井 フェムテック/フェムケアはyoiでも大変重要な軸としているコンテンツで、「TWANY&me」誕生のニュースはとてもうれしかったです。今日は立ち上げの経緯からお伺いしたくて。
山内 ありがとうございます。化粧品ブランドである「TWANY」は、1996年の誕生以来、女性の美しさのリズムに注目してきました。2020年に「フェムテック」という言葉を知ったとき、ブランドとの親和性を感じて、何かできないかなと考えはじめたのがきっかけです。
高井 確か、発表まで3年ぐらいかけられたんですよね?
山内 はい。女性の健康情報サービス「LunaLuna」と一緒に、自分たちにできることを模索する中で、まずは正しい情報を発信するコンテンツをつくろうと決め、2021年10月から「TWANY×LunaLuna フェムケアスクール」として医師や専門家の方々にご登場いただきながら情報発信を続けてきました。
女性の周期や生理とPMS、更年期やプレコンセプションケアなどについて、X(旧Twitter)でライブ配信をすると平均視聴回数が55万ビューに達して、女性のライフプランにつながる情報を必要とする方がたくさんいるということを改めて感じました。
高井 生理用品ひとつにしてもそうですよね。学校で生理について学ぶ機会はあっても、ナプキンの選び方や肌のかぶれといったことは誰も教えてくれない。友達とも話しづらいから、店頭に並ぶものを“なんとなく”買っているフェーズだと感じます。
山内 そういった知識って、人生の心地よさにかかわることだなとも思っていて。例えば、生理周期の中でイライラしたり落ち込んだりすることがホルモンの影響だと知らないがために、「私が悪い」と自分を責めてしまう方もいます。
自分の周期や特性を知る機会を増やすことで、その時期に起こりやすいコミュニケーションの問題も対策が立てやすくなりますよね。そうした取り組みを通じて受け取ったお声や、さまざまなお悩みへの思いを詰め込んだのが「TWANY&me」なんです。
必要なことを一緒に見つけられるブランドでありたい
高井 ブランド名はもちろんですが、「デリケートケアウォッシュ」と「デリケートケアクリーム」は、パッケージの色味も柔らかくてすごく素敵ですよね。
山内 ありがとうございます。デリケートゾーンケアについてヒアリングする中で、「一緒に暮らす家族に『デリケートゾーン専用』だと思われるのが気になる」という声があり、生活になじむスタイリッシュなデザインと草木染めをイメージした優しい色合いにしました。
実は、ロゴの「&」は女の子が座っているシルエットなんですよ。こんなふうに自分自身に寄り添いながら、一人一人に必要なことを一緒に見つけられるブランドにできたらと思っています。
(左)ボディの凹凸にフィットする濃密泡で、においやべたつきのもとになる汚れを、うるおいを守りながら洗い落とす。トワニーアンドミー デリケートケアウォッシュ 150ml ¥2,750、(右)乾燥してデリケートになりやすい肌をうるおいで保護しながら、汚れの付着を防ぐ。トワニーアンドミー デリケートケアクリーム 60g ¥3,080/ともにカネボウ化粧品
高井 ブランドの優しい空気が伝わってきますね。どちらもデリケートゾーンケアにまつわるアイテムですが、ブランドサイトでは「86%の人が興味はあるけれどデリケートゾーンケアをしていない」という調査結果を発表されていましたね。
山内 そうなんです。デリケートゾーンの肌は他の部位より角層が薄くて、水分量が低く、水分蒸散量も高いので、乾燥しやすいエリアです。繊細な肌に合った、適切なケアをすることが快適さにつながります。年齢を問わずぜひ習慣化していただけたらと思っています。
別の調査では、デリケートゾーンケアを始めた人の7割がポジティブな気持ちの変化を実感していて、「自分を大切にしている」というセルフラブ感情が高まるという結果も出ているんです。
高井 確かに、セルフラブ感情は他者へのいたわりにも通じるといいますしね。商品のこだわりについても伺えますか。
山内 どちらにも花王の総力が結集されていて、例えばクリームは、肌への刺激につながる経血や尿、おりものなどの汚れが付着するのを防ぐ「スムースコート処方」を採用しています。摩擦を抑えてうるおいを保護する働きもあるので、お悩みを感じている方にぜひ使っていただきたいです。ウォッシュの泡も、手にのせてひっくり返しても落ちないほど濃密なんです。ぜひ試してみてください。
高井 泡がしっかりしていて落ちない! これはすごいですね! ゼラニウムの香りにも癒されます。
山内 使ったときのワクワクする気持ちや心地よさといったところまで満たせるのが化粧品だと思うので、化粧品ブランドが提供するフェムケアのあり方といった部分には、すごくこだわっています。
「我慢しなくていいんだ」と気づくきっかけに
高井 デリケートゾーンのかゆみやかぶれは、yoiの企画「フェムテックアワード」でも多くの方がお悩みに挙げていました。
山内 2020年から色々な方とお話しして感じたのは、例えば、生理中のにおいやかゆみなどを「仕方がないこと」として我慢している経験のある女性が多くいるということです。かぶれやかゆみも「いつものことだから」「もう仕方ない」と諦めがちですが、ケアすることで快適になるということを多くの方に知っていただきたくて。
高井 きっと、「TWANY&me」に出合って初めて「我慢しなくていいんだ」と気づかれる方も多いでしょうね。発表されて以降、社内外での変化は感じていらっしゃいますか?
山内 感じますね。お客様からは「どうしていいのかわからなかった」「興味を持っていたのに、知る機会がなかった」というお声をいただきますし、メディアの方から「女性のことをよく考えてつくられている」と言っていただけたのもうれしかったです。
高井 その気持ちはよくわかります。フェムテックやフェムケアの商品が、確実なエビデンスがなければリリースしない花王から発売されたという安心感は大きいと思います。
山内 ありがとうございます。店頭の美容部員からも「会社が率先して女性特有の悩みに向き合うラインを出してくれたことが誇らしい」「早くお客さまにご提案したい」など、うれしい声が届いています。
高井 それはうれしいですね。2024年の展開として考えていらっしゃることはありますか?
山内 デリケートゾーンケアに限らず、女性特有の悩みをサポートできるようなスキンケアやアイテムを構想している最中です。また、フェムケアスクールの発展版としてスタートしたウェブサイト「Female Terrace」は「ここに行けば、必要なことが見つかるかもしれない」と思っていただける場所にしていきたいと考えています。
高井 悩んだり不安になったりしたときに頼れるブランドや情報があることは、大きな安心につながりますよね。
山内 そうですね。フェムケア=特別なことではなく、自分を大切にすることの一環だという気持ちで快適になっていただけたらうれしいです。同時に、女性がそれぞれに抱える課題にしっかりと向きあいながら、「TWANY&me」だからできることを一生懸命考え、やっていきたいと思います。
取材を終えて…
いまだ成長過程にあるフェムテックやフェムケアの市場に、花王の「TWANY&me」が本気で製品をリリースした、ということはものすごく大きなことだと思っています。これまでのお風呂タイム、「髪はシャンコン、体はボディウォッシュ」の2工程だったところに、「デリケートゾーン用ウォッシュ」が加わる。お風呂の後、「顔は化粧水、体はボディクリーム」だったところに、「デリケートゾーンクリーム」が加わる。どちらもプラス1ですみます。
使い始めることで心と体の気づきを得られる製品であり、そして、信頼できる製品は習慣を変える力があります。そんなベネフィットを日本全国規模で広げていけるのが「TWANY&me」。今後の製品展開に期待しています!(高井)
撮影/露木聡子 構成・取材・文/国分美由紀 企画/高井佳子(yoi)