セレーナ・ゴメス ジャケット写真

My Mind & Me』Selena Gomez 配信中/ユニバーサル ミュージック
作詞・作曲:Selena Gomez、Amy Allen、Jonathan Bellion、Michael Pollack、Stefan Johnson、Jordan K. Johnson
対訳:矢岸礼子(Lively Up)

セレーナ・ゴメスがたどり着いたメンタルヘルスとのつき合い方

「つらくても平気なフリをしてしまう」「何をどう頑張ればいいかわからなくてモヤモヤする」「誰かに頼りたいけど我慢してしまう」。心がSOSを出していても、それを恥ずかしいことだと思い込んで、ひた隠しにしてはいないだろうか。長いあいだ、心の不調に悩まされてきたセレーナ・ゴメスは、『My Mind & Me』で〈私の心と私は 時々うまくつき合えなくて 息をするのが苦しくなる〉と打ち明け、私たちにメンタルヘルスについてオープンに話すきっかけをくれる。

【和訳動画】Selena Gomez - My Mind & Me (Official Lyric Video) / セレーナ・ゴメス

7歳のときに子役としてキャリアを開始し、2007年にディズニーチャンネルのドラマで主役を演じ大ブレイク。15歳で歌手活動もスタートさせ、作品はリリースするたびに大ヒット。2017年には、10代の自殺やいじめ、メンタルヘルスの問題など、現代を生きるアメリカの若者が対峙する社会問題が反映されたNetflixオリジナルドラマ『13の理由』の製作総指揮を務め、世界的ヒット作となる。その年、米『タイム』誌が選ぶ「世界を変える46人の女性」の一人として選出された。若くしてスターダムにのぼり詰めたセレーナだが、その輝かしい成功の裏で、制御不能な「心身の不調」に苦悩する日々を送っていた。

その様子が、2022年秋からApple TV +にて配信中のドキュメンタリー映画『セレーナ・ゴメス:My Mind & Me』に映し出されている。彼女が自己免疫疾患の治療中に発症したパニック障害やうつ病、さらには双極性障害など、度重なる心の病に周囲の助けを借りながら向き合い、少しずつ新しい光を見出していく姿には胸打たれる。

セレーナ・ゴメス:My Mind and Me — 公式予告編 | Apple TV+

このドキュメンタリーを象徴する主題歌『My Mind & Me』のサビで、セレーナは〈私の心と私は 時々うまくつき合えなくて 息をするのが苦しくなる〉と心の不調について吐露したのち、〈私が心のカーテンを開けたら 傷ついているあなたは きっと少しだけ確信を持てるわ 迷子になっているのは自分だけじゃないと〉と語る。「メンタルヘルスについて話すことは好ましくない」という社会の風潮を、自分の持つ力で変えていきたいと語る彼女のこの言葉は、メンタルヘルスに対する偏見を取り除き、心のうちの孤独や不安を誰かに打ち明ける勇気を授けてくれる。自分の気持ちを誰かにシェアすることは、重たい気持ちを軽くする方法のひとつだと。

これまでの経験を通して、少しずつ“心との上手なつき合い方”を獲得したセレーナは、あらゆる角度からメンタルヘルスをサポートする活動を展開している。2020年、「一人一人が価値のある存在で、特別(レア)である」という想いが込められたビューティブランド「Rare Beauty(レア・ビューティー)」の立ち上げと同時に、メンタルヘルスが必要な人を支援する基金「レア・インパクト・ファンド」を設立。さらに、2021年には、メンタルヘルスケアを専門とする会社『Wondermind(ワンダーマインド)』を創業し、心の健康に関する授業を学校に導入することを目指してアクションを起こしたり、メンタルヘルスへの理解を広めるための情報発信を行なったりしている。ワンダーマインドのSNSでは、さまざまな心のフィットネス方法が紹介されているので、気分が晴れないときに試してみて。

セレーナ・ゴメスの『My Mind & Me』をチェック!

文/海渡理恵 編集/国分美由紀