身近なプラスチックが生まれ変わる「アップサイクル」とは

サステナブルやSDGsに意識が向けられている昨今。本来の生態系や気候を守り、豊かな地球環境を保っていくためには、私たち一人一人が、これまでの消費型の社会や経済を見直す必要があります。“使い捨て“が基本だった化粧品の容器を「アップサイクル」し、別のアイテムとして生まれ変わらせるプロジェクトも、その取り組みのひとつ。

アップサイクルとは、不要とされて廃棄されてきたモノを、よりよい品質の新しい素材や製品に変換するプロセス。身近にあるプラスチック製品を、リサイクルではなくアップサイクルしてよみがえらせることで、長く使いつづけられる製品にすることができるのです。

折りしも、2022年4月から「プラスチック資源循環促進法」が施行に。これは、海洋プラスチック問題や温暖化問題など環境問題の深刻化を背景に、プラスチックを単に“捨てる量を減らす”から、資源として循環させ“捨てることを前提としない経済活動”へと促す法律です。ちなみに、日本は2019年の使い捨てプラスチックの総廃棄量が世界で4位(※一般社団法人日本エシカル推進協議会「使い捨てプラスチック」の世界ランキング公表 より)と、環境保護の面では残念な現状にあります。

こうした流れに沿って、さまざまな化粧品メーカーが容器回収などに取り組むなか、“温肌”をコンセプトに掲げるビューティーブランド『ON&DO』が新規プロジェクトをスタート。海洋プラスチックを長く大切にされるアイテムに生まれ変わらせるブランド『buoy(ブイ)』を運営するテクノラボと協業して、自社ブランドの化粧品容器回収&アップサイクルに取り組むといいます。

使用済みの化粧品容器がカラフルなコースターやトレイに

“使い捨て”の化粧品容器が”長く大切にされる”製品へ生まれ変わる!『ON&DO』のアップサイクルプロジェクトがスタート_1

『ON&DO』取扱店舗で回収した使用済みの容器を洗浄・粉砕し、テクノラボの協力を得て、コースターやトレイなどの新たな製品へと生まれ変わらせます。「自社製品のプラスチックごみを責任をもって回収し、循環を促すことに加えて、“プラスチック製品=安価で替えがきくもの”という考え方を見直していくことを目指し、ごみへの意識、廃棄物に対する社会の仕組みなどを考えるきっかけになれば」といいます。

ユーザーは、容器回収に協力するとポイントを付与され、たまったポイントでギフトと交換ができるという仕組み。

“使い捨て”の化粧品容器が”長く大切にされる”製品へ生まれ変わる!『ON&DO』のアップサイクルプロジェクトがスタート_2

海洋ゴミ問題に気づかせてくれる色鮮やかなプロダクト

今回、『ON&DO』と協業するブランド『buoy』は、海洋ゴミとして廃棄されたプラスチックを材料に、美しい工芸品に生まれ変わらせることをコンセプトとしています。プラスチックメーカーの有志によって技術開発し、クラウドファンディングを経て製品化。当初の『reBirth(リバース)』という名称から、ECサイトでの一般販売に伴い『buoy(ブイ)』に改名しました。

“使い捨て”の化粧品容器が”長く大切にされる”製品へ生まれ変わる!『ON&DO』のアップサイクルプロジェクトがスタート_3

『buoy』は、軽くて塗装がいらないプラスチックの素材としての魅力に着目。熱をかけると同時に一定の圧力でプレスすることで、さまざまな種類や色のプラスチック素材をそのままの状態でひとつの製品にすることを実現しました。これまでにない質感や色の組み合わせで、毎回ひとつしかない製品ができ上がります。

ラウンドトレイシリーズ

“使い捨て”の化粧品容器が”長く大切にされる”製品へ生まれ変わる!『ON&DO』のアップサイクルプロジェクトがスタート_5

ひとつとして同じ模様のものがない"唯一無二"のプロダクトは、海洋廃棄物から作られたとは思えないほどキレイで色鮮やか。『buoy』の運営担当者は「安くて使い捨て、気軽に買って捨てればいいという考え方を変えるため、あえて“工芸品”を作ろうと考えました。ただ、粗雑に扱えるのもプラスチックの魅力。プラスチック製品に求められる品質とクラフト感のバランスが課題です。金型を活用したプレス成型を行う前に、色の配置などを考えてプラスチックを並べるのですが、細かい模様は偶然の産物で、それが面白い」と語ります。

サイトには、「『buoy』の製品を通して、より多くの人が海洋問題に目を向け、海洋ゴミの問題を身近に感じてほしい。いつか海からプラスチックが消えて、『buoy』の製品が作れなくなる日のために、ブランドは存在している」というメッセージがつづられています。海洋ゴミ問題に興味がない人でも手に取りたくなるデザインは、私たちの部屋を彩るアイテムにもなり、同時に海洋ゴミ問題やプラスチックゴミによる環境問題について考えるきっかけを与えてくれるものになるはずです。

『buoy』の製品は「buoyオフィシャルオンラインストア」のほか、ロフト渋谷店などでも販売しています。

構成・文/長岡絢子

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