yoi読者から寄せられた生理にまつわる疑問や悩みに、専門医がアドバイス! 今回は、「PMS(月経前症候群)」の時期に食欲が増す理由や、気持ちの揺れについて伺いました。


 

生理 PMS 食欲 婦人科 小野陽子

hisa nishiya iStock / Getty Images Plus

読者のお悩みエピソード:食欲が増して自己嫌悪…気持ちの揺れもどうにかしたい

「生理前は食欲が増して、太りたくないのにたくさん食べてしまって自己嫌悪。ずっと楽しみにしていた友達との約束も急に行きたくなくなったり、色々なことがどうでもよくなったりします。自分でもどうしたらいいのかわかりません。PMS対策の薬を飲んでいますが、気持ちの揺れなどを完全になくすことは不可能なものでしょうか?」

お話を伺うのは…
小野陽子先生

産婦人科医/心療内科医

小野陽子先生

日本産科婦人科学会専門医。心身医療専門医。日本女性医学学会ヘルスケア専門医。日本女性心身医学会認定医師。女性の心身の不調の背景には社会的・環境的要因が影響していると感じ、産婦人科研修後、心療内科でも研修。女性が自分自身で心と体の対話を大切にできるようサポートしていく女性医療を心がけている。2020年にAddots GINZAを設立し、女性のためのオンライン相談室「女性の心と体の相談室」をスタート。

原因:女性ホルモンの影響で食欲アップ&体重増加

月経前や月経中は、女性ホルモンの影響によって血糖値が下がるので、無性に甘いものを食べたいと感じやすくなるようです。さらに月経前は女性ホルモンのひとつである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が多く分泌され、妊娠に備えて水分や栄養などを体に蓄えようとするのでむくみやすくなり、体重が増えることも珍しくありません。

対処法:カフェインと砂糖を減らし、血糖値の上昇をマイルドに

PMSは血糖値の急激なアップダウンが症状の悪化につながるといわれているので、甘いものが欲しいと感じる方は、まず先に野菜スティックやスープなどを口にしてから甘いものを食べると、血糖値の上昇をマイルドにコントロールできます。

甘いものやコーヒーなどのカフェイン、アルコール類の摂りすぎは、症状を軽減するどころかさらに悪化させてしまいます。完全に断つ必要はありませんが、摂取量をやや減らすことが症状緩和につながると考えましょう。

食べると症状を緩和させる食べ物

にんにくやまぐろ、酒粕などに豊富に含まれるビタミンB6は、神経伝達物質の合成を助け、PMSによって起きる気持ちの不安定さなどの症状を緩和させてくれます。

治療薬:薬は症状に合わせて組み合わせることが可能

この方が服用していらっしゃる薬がわからないので具体的にはお答えできませんが、PMSやPMDD(月経前不快気分障害)、月経困難症などの治療には、「OC(経口避妊薬)」や「LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)」などの低用量ピル、漢方、セロトニンを増やす「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」などが用いられます。

今お薬を飲んでいてもあまり症状の改善が実感できていないのであれば、かかりつけ医に相談してみてください。薬は1種類しか飲めないわけではなく、症状の強さや状態などに応じて、組み合わせることができます。もしPMDDのように精神的な症状が強い方の場合は、婦人科に加えて心療内科を受診することも選択肢のひとつです。

構成・取材・文/国分美由紀