yoi読者から寄せられた生理にまつわる疑問や悩みに、専門医がアドバイス! 今回は、「過多月経」について伺いました。

生理 過多月経 子宮内膜症 ピル 婦人科 小野陽子

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Q.経血量が異常に多くて困っています

「経血の量が異常に多くて、普通の昼用ナプキンでは間に合わず、夜用やオムツタイプを使っています。2日目は多い日用のタンポンが2時間もちません…。服やソファなどを汚してしまうこともあるので、頻繁にトイレに行くのが癖になりました。これってもしかして異常なことでしょうか?」

お話を伺うのは…
小野陽子先生

産婦人科医/心療内科医

小野陽子先生

日本産科婦人科学会専門医。心身医療専門医。日本女性医学学会ヘルスケア専門医。日本女性心身医学会認定医師。女性の心身の不調の背景には社会的・環境的要因が影響していると感じ、産婦人科研修後、心療内科でも研修。女性が自分自身で心と体の対話を大切にできるようサポートしていく女性医療を心がけている。2020年にAddots GINZAを設立し、女性のためのオンライン相談室「女性の心と体の相談室」をスタート。

A.夜用ナプキンでも2時間もたない場合は注意

1回の月経周期における正常な経血量の目安は、トータルで20~140mlといわれ、個人差があります。また、この方のように、多い日用のタンポンが2時間もたない場合は、経血量が多い「過多月経」の可能性が考えられます。過多月経は、1回の月経周期で140ml以上出血する場合とされています。下のチェックポイントにひとつでも当てはまる場合は、過多月経かもしれません。「もともと多いから」と放っておかないで、できるだけ早く婦人科を受診してくださいね。

【過多月経のチェックポイント】
●500円玉以上のサイズの、レバーのような塊が出る
●夜用ナプキンでも2時間もたない
●タンポンとナプキンを併用しても不安が残る

考えられる原因:子宮筋腫や子宮内膜症などの可能性も

過多月経には、下記のような婦人科系の病気が隠れている可能性があります。ホルモン分泌がまだ不安定な10〜20代は、「無排卵性機能性出血」の可能性も。また、若くても性交渉の経験がある女性は子宮頸がんなど悪性の病気が隠れていることもあるので、経血量のことが気になったら、気軽に婦人科にご相談いただけたらと思います。

【考えられる婦人科系の病気】
●子宮筋腫
●子宮内膜症
●子宮腺筋症
●子宮内膜ポリープ

ただし、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどは、肌にシミ・そばかすが現れるように、年齢と比例して起こりやすい変化のひとつ。毎月の排卵や月経によって子宮が頑張っていることによる自然な変化といえますが、日常生活に支障をきたすような過多月経を引き起こす場合には治療を検討する必要が出てきます。

治療法:低用量ピルなどの服薬が一般的

過多月経の原因が、排卵のトラブルや無排卵周期、子宮内膜症や子宮腺筋症などの場合は、低用量ピルや黄体ホルモン剤などの薬を服用することで月経痛や出血量をコントロールできます。卵巣や子宮にできものができたことで過多月経になっている場合は手術が必要になることも。早めに治療を開始しておくと、子宮や卵巣などの状態を整えることになるので、将来的な不妊症の原因予防にもつながります。

構成・取材・文/国分美由紀