yoi読者から寄せられた生理にまつわる疑問や悩みに、専門医がアドバイス! 今回は、生理のあとに起こる「排卵痛」について伺いました。

生理 排卵痛 ピル 婦人科 小野陽子

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Q.「排卵痛」を感じるのはなぜですか?

「30代になってから排卵の時期にひどい生理痛のような痛みに襲われることがあります。毎月ではないけれど、ひどいときは鎮痛剤が効きません。これっていわゆる『排卵痛』ですか? そもそも痛みを感じるのはなぜですか?」

お話を伺うのは…
小野陽子先生

産婦人科医/心療内科医

小野陽子先生

日本産科婦人科学会専門医。心身医療専門医。日本女性医学学会ヘルスケア専門医。日本女性心身医学会認定医師。女性の心身の不調の背景には社会的・環境的要因が影響していると感じ、産婦人科研修後、心療内科でも研修。女性が自分自身で心と体の対話を大切にできるようサポートしていく女性医療を心がけている。2020年にAddots GINZAを設立し、女性のためのオンライン相談室「女性の心と体の相談室」をスタート。

A.排卵によって卵巣の壁が破れて腹膜を刺激するから

排卵痛とは、排卵日を含めた前後1〜2日間に起こる排卵に伴う痛みのことです。生理開始日から約14日前に排卵日を迎えるといわれます。排卵痛は、卵が卵巣の壁を破って外に排出される(排卵)際に、卵胞液と血液が流れ出して腹膜を刺激することによって起こります。

月経痛(生理痛)と同じく、痛みを感じる人・感じない人に明確な基準や違いがあるわけではありません。

排卵の前後に起こりやすい不調

●排卵出血
排卵後1~2日に、ごく少量の出血が見られることがあります。これは卵胞が破れたときに流れ出した血液なので、病気ではありませんが不正性器出血との違いを確かめるには、婦人科受診や基礎体温測定の記録が必要です。

●むくみや冷え
排卵後の黄体期になると分泌が増える「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は、水分を溜め込もうとするので体がむくみやすくなります。また、女性の方が男性よりも皮膚の温度の感受性が高く、黄体期で冷たさを感知する冷感の感受性が増すという報告もあります。

●眠気やだるさ
排卵日直後は妊娠の準備を整える「プロゲステロン」の分泌が増えますが、プロゲステロンには眠気を引き起こす「アロプレグナノロン」という物質が含まれています。また、排卵後は体温が高くなるので、眠気が現れやすくなります。

●頭痛
排卵期や月経開始前は「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌が急激に変動して、脳内物質の「セロトニン」の分泌に影響して脳内の血管が拡張します。それによって、めまいや頭痛が起こる可能性があります。片頭痛とPMSに伴う頭痛では対処法も違うため、頭痛が気になる方は痛みの程度や吐き気の有無、飲んだ薬や生活への影響などを記録して、自分の状況を確認するといいでしょう。

●便秘や肌荒れ
受精卵が着床しやすいように子宮内膜を柔らかくする「プロゲステロン」には、腸内の水分を吸収したり、子宮や腸内の蠕動運動を抑えたりする働きがあるため便秘の訴えが増えます。また、プロゲステロンは「アンドロゲン」という男性ホルモン様物質に変換され、皮脂腺の分泌を促す結果としてニキビなどの肌荒れを招きます。

対処法:婦人科で確認後、低用量ピルなどで改善を

排卵痛というのは通常、排卵時期の2~3日で治ります。もし、それ以上痛みが続く、あるいは痛みが強い場合は、原因がほかにある可能性も考えられるので、まずは婦人科で卵巣などに問題が起こっていないかチェックしてもらうのがいいと思います。

年齢やライフプランにもよりますが、すぐに妊娠・出産を考えていないのであれば、低用量ピルなどを使って排卵自体をとめ、卵巣を休めることで痛みは改善されます。

構成・取材・文/国分美由紀