yoi読者から寄せられた生理にまつわる疑問や悩みに、専門医がアドバイス! 今回は、生理中のセックスについて伺いました。
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Q.生理中にセックスしても大丈夫?
「パートナーから、生理中にもかかわらず『セックスしたい』『生理中だからゴムしなくても平気だろ』と言われました。私は『嫌だ』と伝えたけれど、雰囲気にのまれて我慢しつつセックスしてしまったことがあります。生理中にセックスしても大丈夫なものですか?」
産婦人科医/心療内科医
日本産科婦人科学会専門医。心身医療専門医。日本女性医学学会ヘルスケア専門医。日本女性心身医学会認定医師。女性の心身の不調の背景には社会的・環境的要因が影響していると感じ、産婦人科研修後、心療内科でも研修。女性が自分自身で心と体の対話を大切にできるようサポートしていく女性医療を心がけている。2020年にAddots GINZAを設立し、女性のためのオンライン相談室「女性の心と体の相談室」をスタート。
A.感染症や子宮内膜症などのリスクが高まります
絶対にセックスをしてはいけないというわけではありませんが、ご自分の体を守るためにも、生理中にセックスする場合のリスクについて知っておいてほしいと思います。
●感染症のリスク
妊娠準備のために厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちることで体外に出てくる経血はとても栄養豊富ですし、腟や子宮内部はいつもよりデリケートな状態なので、傷つきやすく、雑菌が繁殖しやすい環境です。そのような状況でセックスをすると、物理的な刺激によってできた傷口や男性器を介して雑菌が入ることで、男女ともに感染症のリスクが高まります。
●子宮内膜症のリスク
生理中のセックスによって、排出されるはずの経血が子宮からお腹の中(腹腔)へ逆流することがあります。それによって子宮内膜症のリスクが増加する可能性があるといわれています。子宮内膜症は、月経痛や不妊症のリスクのひとつになるといわれています。
●妊娠のリスク
「生理中のセックスは妊娠しない」と思い込んでいる方も多いようですが、これは残念ながら誤解です。男性の精子は子宮内や卵管内で7日前後生存するという報告もありますし、たまたまその月にかぎって月経周期が乱れて排卵のタイミングがズレている場合もあります。月経中の性交渉も妊娠の可能性がゼロではないということを、お互いに理解しておきましょう。
「嫌だ」という思いをパートナーに伝えましょう
生理中はさまざまな不調が起こりやすく、上記のようなリスクもあるので無理はしないほうがいい時期です。ご自身も「生理中にセックスするのは気が進まない」と思っているのであれば、ご自分の心と体のためにもパートナーにその気持ちを伝えることが重要です。よりよいコミュニケーションのためにも、生理中はセックスを控えてもらうのがいいのではないかと思います。
構成・取材・文/国分美由紀