yoi読者から寄せられた生理にまつわる疑問や悩みに、専門医がアドバイス! 今回は、月経のたびに感じるお腹の動きや痛みについて伺いました。

生理 プロスタグランジン 子宮 腸 婦人科 小野陽子

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Q.生理のたびにお腹がグルグル動く&痛いのですが…

「生理のたびに著しい子宮収縮が起きているのか、腹部にグルグルとした動きと痛みがあり、音もまわりに聞こえるのではないかと思うほどです。苦痛でイライラするし、音が聞こえるんじゃないかとまわりに気を遣いすぎて、心身ともに疲弊してしまい、家ではひたすら寝て過ごしています」

お話を伺うのは…
小野陽子先生

産婦人科医/心療内科医

小野陽子先生

日本産科婦人科学会専門医。心身医療専門医。日本女性医学学会ヘルスケア専門医。日本女性心身医学会認定医師。女性の心身の不調の背景には社会的・環境的要因が影響していると感じ、産婦人科研修後、心療内科でも研修。女性が自分自身で心と体の対話を大切にできるようサポートしていく女性医療を心がけている。2020年にAddots GINZAを設立し、女性のためのオンライン相談室「女性の心と体の相談室」をスタート。

A.「プロスタグランジン」による腸の収縮かもしれません

生理が終わると、月の排卵に向けて受精卵が着床(妊娠)しやすくなるように少しずつ子宮内膜が厚くなり、受精しなければ剥がれ落ちて経血として流れ出ていきます。このとき、子宮の筋肉層を収縮させて子宮内膜を血液とともに外へ押し出す物質「プロスタグランジン」が産生されます。

プロスタグランジンが必要以上に分泌されると、子宮が強く収縮し、痛みも強くなるのですが、プロスタグランジンは胃や腸に影響を与えるので、おそらくそれが原因で腹部にグルグルとした動きや音を感じるのではないかと思います。月経中にお腹を下す女性が多いのも同じ理由によるものです。メカニズム的には正常な働きといえます。

現代女性の月経回数は昔に比べて約10倍!

私たちの祖父母やその前の世代は、結婚する年齢も早く、出産する回数も多かったので、一生の間に経験する月経は約50回。それに対して、結婚や初産の年齢が高くなり、出産回数も少ない現代女性が経験する月経は約450〜500回と推測されています。

つまり、月経にまつわる不調を抱えている人は、何も対処しないままでいると、一生の間に数百回もつらい思いを繰り返すことになるのです。現代の医療では、妊娠を希望しない時期は「低用量ピルなどできちんとコントロールしているのであれば、毎月月経のような出血を起こす必要はない」というのが通説になってきています。

対処法:低用量ピルの服用やストレスケアを意識

月経のたびに心身疲弊してしまうのは、とてもつらいことですよね。もしかしたら、下痢などの腸の違和感も感じていらっしゃるのではないでしょうか。婦人科を受診して、低用量ピルなどの薬物治療を開始することで症状も改善されると思います。

ストレスをためないことはもちろんですが、まずはストレスを感じていることに気づき、原因に対処していくことも大切です。ストレス源から距離を置くなど、ストレスを軽減する方法があればベストですが、ストレスをゼロにするのは難しいもの。どうストレスを解消していくか、ご自身に合った方法を見つけておくことも重要です。

構成・取材・文/国分美由紀