性交渉後72時間以内に服用すれば、妊娠を9割程度阻止することができる「アフターピル(緊急避妊薬)」。今回は、産婦人科医の高橋幸子先生に、アフターピルの入手方法や注意点について伺いました。
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Q.もしも避妊に失敗したら、アフターピルはどこで手に入れられますか?
性教育産婦人科医
埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター助教、埼玉医科大学医学教育センター、埼玉医科大学病院産婦人科助教を兼任。「サッコ先生」の愛称で、全国の小学校・中学校・高等学校にて年間120回以上の性教育の講演を行う。著書に『マンガでわかる! 28歳からのおとめのカラダ大全』(KADOKAWA)、『自分を生きるための〈性〉のこと-性と生殖に関する健康と権利(SRHR)編』(少年写真新聞社)など。
A.「アフターピル」は対面またはオンラインで入手する方法があります
日本では、アフターピルが必要な場合、2020年からのコロナ禍で一気に加速したオンライン診療増加の流れを受け、緊急避妊薬のオンライン診療ができるクリニックも出てきました。基本の方法としては次の4つ。いざというときに焦らないよう、事前に入手方法を知り、緊急避妊薬の処方箋に対応してくれる産婦人科や薬局を見つけておくことが大切です。
①クリニックや病院を受診して、その場で薬をもらう
その場で確実に薬をもらえるのが最大のメリット。ただし、休日や夜間での対応の場合は追加料金が発生するケースがあり、地域によっては近くに婦人科がない場合も。
②クリニックや病院でオンライン診療を受け、薬局に薬を取りに行く
行ける範囲に対応してくれる薬局があれば、近くに婦人科がなくても薬を取りに行けることがメリット。基本の流れとしては、最初に対応してくれる薬局を探して予約し、オンライン診療を予約。オンライン診療を受診後、薬局へ(処方箋はクリニックから事前予約した薬局へ送られる)。オンライン診療は決済にクレジットカードなどが必要なので、支払い方法は事前に確認しておくこと。
③クリニックや病院でオンライン診療を受け、薬を配送してもらう
スマホのビデオ通話のみで完結できるが、薬の配達に1〜2日かかってしまう。オンライン診療は決済にクレジットカードなどが必要。
④薬局で、処方箋なしで購入する(2024年3月までの期間限定)
国の調査事業として、2023年11月28日から2024年3月末までの期間限定で、試験的に薬局での緊急避妊薬の販売が行われている。処方箋なしで緊急避妊薬を購入できる薬局の数は全国145店舗、ひとつの都道府県につき2〜6店舗(多くは3店舗)の割合。
この制度を利用して緊急避妊薬を購入する場合は、年齢確認など身分証明書の提示やアンケートの協力なども必要となるが、購入履歴が調査目的以外で外部に知らされることはない(家族に購入歴が知られることなどもない)。ただし、18歳未満は保護者等の同意と同伴が必要。
アフターピルを服用したあとの注意点
アフターピルを72時間以内に服用したあとも、なかなか気持ちは落ち着かないと思いますが、次のことについてもぜひ知っておいてほしいと思います。
●避妊できなかった性行為によって性感染症のリスクが発生
コンドームなしの場合、コンドームが破けた等の場合は性感染症のリスクがあります。ぜひ早めに産婦人科や婦人科で性感染症検査を受けてみてください。
●避妊に成功していれば、約3週間以内に生理がくる
服用後3週間経っても生理がこない場合は、市販の妊娠検査薬を試してみましょう。生理がきたと思った場合でも、緊急避妊薬を服用した副作用による不正出血と生理の区別がつかない場合もあるので、不安であれば念のため3週間経過した段階で市販の妊娠検査薬を利用してみてください。どんな小さなことでも、心配なときは産婦人科医に相談しましょう。
●排卵日前に服用した場合は生理周期が変わる
排卵日前にアフターピルを飲んだ場合、排卵予定が1週間ほど遅れます。次の月経より前にもう一度排卵のタイミングがあるので、①次の月経より前には性行為を控える、または②性行為をする場合は、アフターピルの翌日から低用量ピルを開始することをおすすめします。性行為をする際は、必ずコンドームをつけてください。
●避妊効果の高い低用量ピルを日常的に服用する
国内認可品でも緊急避妊薬で避妊できる確率は90%近くですが、低用量ピルは正しく服用することで99%の避妊効果が得られます。パートナーと避妊方法について話し合い、自分にあった避妊方法を選んでください。
●相手との関係で困っているときは迷わず相談
もし、パートナーから避妊の協力が得られない場合や、性行為を強要されて困っている場合は、「デートDV110番」や「DV相談プラス」などにぜひ一度相談してほしいと思います。
そして、カップルでも、夫婦でも、知らない人でも、同意のない性行為はすべて性暴力です。もし性暴力被害に巻き込まれたときは、「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」#8891(はやくワンストップ!)に電話をすると、全国各地の最寄りのワンストップ支援センターにつながります。性暴力被害の場合、アフターピルを無料で処方してもらうことができます。
構成・取材・文/国分美由紀 出典/『マンガでわかる! 28歳からのおとめのカラダ大全』(KADOKAWA)