世界の生理事情をのぞいてみると、より広い視野で自分の体と向き合えるのでは……? そう考えたyoiは、世界5都市に暮らす女性たちに、“半径10mの生理事情”をリサーチ。今回は、韓国在住の会社員、MOENOさんが登場。
※今回の記事はMOENOさんへの取材をまとめたもので、韓国のすべての生理事情を代表するものではありません。
会社員
1995年生まれ。2022年に韓国のコスメ会社へ転職し、ソウルに移住。渡韓を機に、運動やアウトドアに目覚める。現在は、石畳の道を駆け抜ける景福宮の周辺や、ソウル市民の憩いの場である清渓川など、ソウルの現代的な姿と長い歴史が調和した街並みをランニングすることがマイブーム。ソウルの魅力を感じながら、日々アクティブに過ごしている。
“生理の貧困”に向き合う韓国は、生理期間を快適に過ごすためのケアアイテムが充実
Q.MOENOさんの韓国における「生理」のイメージを教えてください。
渡韓前、韓国ではフェミニズム活動が盛んなので、生理についてもオープンに話せる雰囲気があるんじゃないかな?と思っていたんです。でも実際は、儒教の国ということもあり、親しい同僚女性を除いて、私の周りではこのトピックについてフランクに話すことは難しいと感じています。
韓国では、2016年に「生理用品を買えない学生が、靴の中敷きをナプキン代わりに使用している」というニュースが話題になりました。それを受けて、国家行政機関の女性家族部が、低所得者層向けに生理用品購入費の支援を決めました。現在の対象者は、極貧層、低所得階層、ひとり親家族支援対象者のうち、9〜24歳の女性で、月1万3000ウォン(日本円で約1400円。2024年8月現在)が支給されています(※地域によって支援の有無や内容は異なる)。支援対象者を限定している点や、そもそもこの支援制度がない地域がある点など改善が必要な部分もあるけれど、“生理の貧困”という社会問題を市民が自分ごととして考え、それを政府が実際に制度化するスピードは素晴らしいと思います。
Q.韓国では、どんな生理用品が人気ですか?
ネット文化が浸透している韓国では、オンラインで生理用品を購入する人が多いんですよ。オフラインで購入する場合はドラッグストア「オリーブヤング」が定番です。一番使われている生理用品は、ナプキン。オーガニックのものが充実していて、韓国のブランド「BON」「ジョウンヌッキム」、 韓国系アメリカ人女性によって設立された、LA拠点のナチュラル生理用品ブランド「Rael」、「ユニ・チャーム」の『ソフィ オーガニックコットン』シリーズなどが手に入ります。最近、冷感ナプキン「SOFY Cooling Fresh」がネットで話題になっていました。
ナプキンのほかに、タンポンや月経カップもドラッグストアで手に入ります。韓国でも吸水ショーツを使っている人はいるのですが、日本よりもずっと規制が厳しいため、限られた場所でしか売られていませんね。私は、日本の「ユニクロ」で吸水ショーツを買って、こちらに持ってきたんですよ。
韓国は、生理期間中を快適に過ごすためのアイテムも豊富で、よもぎをはじめとした数種類のハーブが配合された温熱パッドは人気です。あと、私は「MEDION」のインナーケアジェルを試したことがあります。生理前、デリケートゾーンのかゆみなどが気になるときに手軽にできるセルフフェムケアアイテムとしても使いやすかったですね!
Q.普段、どのように生理と向き合っていますか?
韓国では薬局で低容量ピルを買うことができるので、生理をコントロールするために飲んでいます。私の韓国人の知人には、気軽にピルを購入できるものの、実際に飲んでいる人はほとんどいません。その背景には、副作用に対する不安や、ピルに限らず鎮痛剤など“薬で体をコントロールすることはよくない”という考えを持つ人も多いこともあるかもしれません。
生理の時期に薬を飲む人は想像以上に少ないですが、サプリを飲んでいる人は多いですよ。ドラッグストアにも数多くのサプリが並んでいて、最近は、マルチビタミンとアミノ酸を配合した「プレスショット」が話題ですね!
構成・取材・文/海渡理恵