2種類の女性ホルモンのうち「プロゲステロン」のみで構成されている薬が「ミニピル」と呼ばれ、生理に悩む方の選択肢のひとつとして浮上してきています。今回は、そんなミニピルを約1年前から愛用しているSさんの体験談です。
生理に悩んで10年以上。さまざまな低用量ピルを試したけれど......

──生理について、抱えていた悩み事を教えてもらえますか?
Sさん:20代前半から、ずっと生理周期が不安定だったんです。生理の間隔が2〜3カ月空いてしまうこともめずらしくなく、いつ生理が来るのか予測できないことがいつも不安でしたし、そうして間隔が空いた後にくる生理はドーンと重く、いわゆる月経困難症で長年悩んでいました。
──ミニピルを試すまでの経緯を教えてください。
Sさん:これまで10年以上、婦人科で勧められた低用量ピルを服用していました。私は、低用量ピルを1シート飲みきれば高確率で生理が来るようになり、何もしないよりはグッと気持ちがラクになったのですが、それでも生理が来ないことがあったんです。
十数年の間に複数の婦人科を受診して、計4種類ほどのピルを試しましたが、私にぴったり合うものは見つからず。なかには飲むと気分が悪くなってしまうものもあり、体に合わないと感じて自ら休薬期間を設けたこともありました。
30代になっても状態が改善されなかったので、一度大きめの病院で詳しく検査をしてみることにしたんです。
そこで診てもらった先生から「生理を誘発するのではなく、“お休みする”方向の薬も試してみませんか?」と勧めてもらったのが、最近「ミニピル」という愛称で知られるようになってきた「ディノゲスト」という薬でした。
低用量ピルには限界を感じていましたし、生理が来たら来たでやっぱり生理痛などもしんどかったので、「もし本当に生理がなくなったらいいかも」と思って、試してみることにしました。
──ミレーナ(子宮内避妊システム「IUS」)は検討しましたか?
Sさん:ミレーナの存在は知っていましたが、子宮内に器具を入れることが怖くて、選択肢からはずしていました。 その点、長年低用量ピルを服用してきたこともあり、同じく飲み薬であるミニピルには抵抗感がありませんでした。
ミニピルで低用量ピルとの違いを体感

──ミニピルを飲みはじめてから生理や普段の体調に変化はありましたか?
Sさん:私が処方してもらったのはディノゲストの0.5mgで(※ディノゲストには0.5mgと1mgの2種類がある)、このミニピルを飲みはじめてから1年ほどたちますが、不正出血も滅多になく、生理が来ないという状態が安定して続いています!
生理がないおかげで、生理前〜生理中のイライラや頭痛、腹痛、「とにかく今は寝ていたい」という体の重だるさ......そうした生理にまつわる諸々の不快感もまるごとなくなりました。「生理が来ていないとき」の快適な状態がずっと続いている感覚です。
──デメリットに感じることはありましたか?
Sさん:最初の2〜3カ月頃は副作用で不正出血があり、そのときにお腹がぎゅーっと痛くなることがありました。
タイミングが測れないのでちょっと不便でしたが、副作用については主治医の先生からあらかじめ説明を受けていて覚悟していましたし、毎月重たい生理が来ることに比べたら、個人的には全然許容範囲と思えるデメリットでした。
体が薬に慣れてくると不正出血の頻度も減っていき、最近はもうまったく起きていません。
朝晩のサプリメント習慣にミニピルを追加

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──薬や飲むタイミングの管理はどのようにしていますか?
Sさん:ミニピルは1日2回決まった時間に飲まなくてはいけないのですが、私はもともと毎日朝晩決まったサプリや漢方薬を飲む習慣があったので、そこにミニピルを加えるだけでよく、実際の手間はほとんど変わりませんでした。
朝起きてからいつものサプリと一緒にミニピル1錠、夜も、毎日飲む漢方薬プラスミニピル1錠、という具合です。
仕事が立て込んで予想以上に帰宅が遅くなるなどの不測の事態に備えて、常に何錠か持ち歩いています。
──費用はどのくらいかかりますか?
Sさん:私がかかっている病院では、診療費を除いて、保険適用の薬代だけだと、一回の支払いが約2600円。3カ月に1度の受診でまとめて薬をもらうので、1カ月分は870円くらいでしょうか。2600円×4回=年間約10400円のイメージです。
20代の頃の私は、まだ月経困難症の治療についての知識がほとんどなく、かかった病院から処方されるまま、保険適用外で割と高額なピルを使用していたこともあったので、今保険適用で出してもらえているミニピルはお財布にも優しいなと思います。
ミニピルを継続して約1年。効果に満足!
──ミニピルをおすすめしたいですか?
Sさん:私にはとても合っていたので、個人的にはかなりおすすめです。生理なしの体調のよさを実感してしまったので、もう元には戻れない......!
私は、子どもを持ちたいと思うタイミングが来るまでは、ミニピルを継続する予定です。
ただ、近いうちに卵子凍結を検討していて、卵子採取のためには生理を再開させないといけないので、そのときはいったんお休みしようかな、とも考えています。自分のタイミングでコントロールできるのも、気軽に試せるポイントだと思います。
低用量ピルもそうですが、ミニピルも、実際に飲んでみないと自分の体に本当に合うかがわからないので、生理不順だったり、月経困難症に悩んでいてピルを飲んでいる・検討しているという方には、ミニピルも選択肢のひとつとしてありだと思います。

構成・取材・文/月島華子