月経の前になると決まって体が重だるくなったり頭痛に悩まされたり、あるいは、イライラしたり理由もなく泣きたくなったり…。それはもしかしたら「PMS(月経前症候群)」のせいかもしれません。昨年、全国の女性1000人を対象に大塚製薬が行なったアンケート*1「PMSの症状がある」と答えた人は74%、そのうち3割は症状が「いつもある」と回答。「ときどきある」まで含めると、実に8割近くの女性がなんらかのPMS症状を経験しているんですね。

PMSの症状に悩む女性のイメージイラスト

では、そのPMSにどう対処しているかというと、同調査の回答では「とにかくガマンしている」人が約4割も…。特に何の対処もできず、ただただガマンしているという人も少なくないようです。

今回から毎月1回、全8回の連載【知ることから始めよう! PMSのホント】がスタート! 多くの女性にとって切実な「PMS」について、その実態や原因、症状を和らげるためにできることなど、役立つ情報をみっちりご紹介します。

*1  調査期間:2021年6月29日から7月1日 調査方法:インターネットを用いたアンケート調査 調査対象:全国の30~44歳の日本人女性1000人 

まず、「PMSとは何か」を正しく知っておこう!

突然ですが、ここでPMSに関するクイズです! あなたはPMSの“正しい定義”を知っていますか? 以下の選択肢で正しいものはどれ?

クイズ「PMSの正しい定義は?」

A. 正解は②!

正しい答えがわかりましたか?
「PMS(Premenstrual Syndromeの略。日本語では月経前症候群・げっけいぜんしょうこうぐん)」とは、女性ホルモンの変動によって起こる、月経前のさまざまな症状の総称。月経前の3~10日のあいだに続く身体的、精神的な症状で、月経が始まるとともに症状がおさまったり、なくなったりするものを指します*2

その症状は、乳房の張りや痛み、頭痛・腰痛などの身体的なものから、食欲が増えて甘いものを食べる、過食するといった行動の変化、そして怒りっぽくなる、不安を感じるなどの精神的な症状まで、驚くほどさまざま。また、その出方や重症度も人それぞれで、症状を細かくリストアップすれば200を数えるとも言われています*3。ちなみに、前述の大塚製薬の調査によると、PMSのある人の約半数は「だるい・全身に倦怠感がある」といった身体症状や「イライラする・怒りっぽくなる」という精神症状を抱えていることがわかりました。

以下はPMSのおもな症状をまとめたリストです。あなたはいくつ思い当たりますか?

*2  産科婦人科用語集・用語解説集(改訂第4版); 日本産科婦人科学会編, 日本産科婦人科学会: 60-61, 2018
*3 Gynecol Endocrinol; 29(1): 67-73, 2013

PMSのおもな症状リスト

(BMJ; 342: d2994, 2011改変)

さらに詳しいPMSの情報やチェックリストは、大塚製薬が提供する情報サイト「PMS(月経前症候群)ラボ」で見られます。気になる症状がある人はぜひ確認してみて!

PMSは症状の出る時期も人それぞれ!

PMSの症状が表れるピークは20代後半から30代との報告も多いようですが*4、実は10代でも、成人女性と同等かそれ以上の人がPMS症状に悩まされていることがわかってきました。日本女子高校生を対象とした近年の調査でも、治療を必要とする「中等症」以上のPMSのある人は9.9%*5。初経を迎える10代から閉経を迎える50歳前後まで、世代を問わず、多くの女性にとってPMSは避けては通れないものなのです。

また、PMSの症状が出るのは「月経前の3~10日の間」が一般的ですが、その表れ方は人により一様ではありません。月経周期の真ん中ぐらいに訪れる「排卵期」の頃に症状が出ていったん治まる人もいれば、排卵直後からずっと症状を感じ続ける人など、大きく4つのパターンに分類できるよう(下図)。PMSにうまく対処するには、気になる症状が月経周期のどのタイミングで出やすいかを、自分で把握しておくことも大切です。

ただし、月経期間の後半から次の排卵までの間にも症状が出るようなら、PMSではなく別の病気が潜んでいる可能性もあるので、早めに医療機関を受診しましょう。

*4 最新女性心身医学; 本庄英雄監修, 日本女性心身医学会編,ぱーそん書房: 158-169, 2015
*5 Biopsychosoc Med; 10:13, 2016

PMSの出る時期は4パターンに大別される

(Clin Obstet Gynecol; 26(3): 710-718, 1983)

でも、いろいろな不調が複合的に発生するうえに個人差も大きいため、はたして自分の症状がPMSなのかどうかは判断がつきにくいもの。見分けるポイントは、「症状が出るのが月経前に限られているか」「毎月繰り返し症状が出るか」「日常生活に支障があるか」もし3カ月以上、同様の症状に悩まされているならPMSの可能性が高いといえます。以下の米国産科婦人科学会の診断基準も参考にしてみて。

PMSの診断基準

(産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2020; 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会: 174-176, 2020改変)

次回の【知ることから始めよう! PMSのホント】では、PMSの症状をもたらす女性の体のしくみ、女性ホルモンの働きやその変動についてお伝えします。定期的にやってくるつらい症状をガマンするだけでなく、その原因と対策を「知る」ことで、PMSともっと上手につき合う方法がきっと見つかるはず!

大塚製薬では、女性の健康に関するさまざまな調査を実施。PMSの悩みをもつ女性たちをサポートする活動を展開しています。PMSについての最新情報をもっと詳しく知るには、大塚製薬が提供する情報サイト「PMS(月経前症候群)ラボ」の以下のページや、「女性の健康推進プロジェクト」サイトもチェックしてみて。

●PMS(月経前症候群)とは
●PMSはいつから起こる?

構成・文/浅香淳子(yoi) イラスト/YUKORANGEL 資料提供/大塚製薬