自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。
Q3.包茎の種類と特徴、デメリットはありますか?
3つ目のギモンは、【包茎の種類と特徴、デメリットはありますか?】。包茎とは、勃起していない平常時に亀頭が包皮で覆われている状態のこと。日本の成人男性の約8割は包茎だと言われるくらい一般的ですが、種類や特徴について知っている人は意外と少ないかも。包茎に関する基本的なことを教えていただきました。
A3.大きく分けると、仮性包茎、真性包茎、カントン包茎の3種類
小堀先生:男性は生まれてから思春期を迎えるまで、ペニス全体が包皮ですっぽり覆われた包茎状態です。体の成長に合わせて包皮の内側と亀頭の癒着が徐々に剥がれてくると、包皮が柔らかく伸びて動かしやすくなり、亀頭が露出できるように。
二次性徴を迎える思春期に男性器が発達してくると自然に包皮が剥けて、平常時でも亀頭が露出した状態=包茎ではない状態になる人がいます。ただし、ほとんどは思春期を過ぎても平常時は包茎のまま! 成人男性の包茎は「仮性包茎(かせいほうけい)」、「真性包茎(しんせいほうけい)」、「カントン包茎(かんとんほうけい)」の3つに分類されます。
【仮性包茎】
普段は亀頭が包皮で覆われているが、勃起時には露出が可能な状態。排尿やセックスなど機能的な影響はほとんどない。
【真性包茎】
先端の包皮口が亀頭よりも小さく、亀頭をまったく露出することができない状態。亀頭を露出できない原因によってタイプが分かれ、亀頭と包皮内側が癒着して剥くことができない「癒着型」、包皮口が極度に狭い「強度絞扼型(きょうどこうやくがた)」、強度絞扼型よりもさらに包皮口が狭くかろうじて排泄できる程度の穴しか開いていない「ピンホール型」、これらのいくつかが複合している「混合型」がある。
【カントン包茎】
医学的には仮性包茎の「強度絞扼型」に分類される状態。勃起時に亀頭を露出することはできるが、包皮口が極度に狭いために亀頭の下部を輪ゴムでギュッと締め付けたようになり、包皮が腫れて鬱血状態になると痛みを伴う。また、平常時が包茎である人が包皮を無理やり剥いて亀頭を露出し、そのまま放置したところ元に戻せなくなってカントン包茎の症状が出るパターンもある。
包茎の種類による、具体的なデメリット
小堀先生:真性包茎とカントン包茎に関しては、排尿やセックスに支障が出やすいため手術することをおすすめします。主な原因はペニスに対して包皮が長く、包皮口が狭いことにあるため、余剰な皮を切り取って亀頭を露出しやすくする手術が有効です。ほとんどのクリニックは自費診療ですが、日常生活や健康上に不便がある場合は保険診療が適用されます。
また真性包茎とカントン包茎は包皮が剥きにくいことから、包皮内側をきちんと洗えず、恥垢という白っぽい汚れが溜まって「亀頭包皮炎(きとうほうひえん)」が起きやすくなります。普通に生活しているだけなら他人に迷惑をかけるものではなく、気にしすぎなくてもよいのですが、セックスの際にペニスに汚れがついたままだと、不潔に見えて嫌がられる可能性はあると思います。
プライベートケアクリニック東京・東京院 院長
日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。
取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)