自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。
Q17.ペニスの勃起力をアップするにはどうすればいいですか?
17個目のギモンは、【ペニスの勃起力をアップするにはどうすればいいですか?】。勃起力とはペニスの硬さや膨張率、勃起した状態をキープする持続力のこと。加齢のほか、日頃の疲れや精神的ストレス、生活習慣など複合的な原因によって低下していく勃起力を上げるためにできることとは?
A17.勃起力アップのカギを握るのはED対策!
小堀先生:勃起力の向上とは、すなわちED(勃起不全・勃起障害)を予防することだと考えられます。満足な性行為を行うために十分に勃起できない・勃起を維持できない状態が継続もしくは再発することを指すEDの症状は、勃起力が低下した状態であると言い換えられますよね。
EDにつながる原因はいくつかありますが、勃起力や精子の質をアップするために見直していただきたいのは、喫煙習慣、運動不足、肥満です。これらを徐々に改善することをはじめ、いわゆる「健康によい」とされている生活を意識すれば、勃起力や精子の質をよくすることにつながります。
他には加齢や糖尿病、高血圧や心疾患、神経疾患、テストステロンの低下、手術や外傷、投薬による影響、鬱などの精神的因子が挙げられますが、これらは自己改善が難しい領域になるので、医師に相談のうえ相応の治療を行っていく必要があります。
ご自身の勃起力が気になる人は、まずはEDかどうかを判断できる 「ED問診票(IIEF5)」でセルフチェックしてみるのはいかがでしょうか? 直近6カ月の状態で該当する項目をチェックし、総合点数によって正常の範囲か確かめることができます。以下のチェックリストを活用するか、私のクリニックブログ内にあるチェックツールなら自動計算で点数が算出されます。
勃起力がチェックできる【ED問診票(IIEF5)】
①勃起を維持する自信はどれくらいありましたか?
(1点)非常に低い
(2点)低い
(3点)中くらい
(4点)高い
(5点)非常に高い
②性的刺激によって勃起したとき、どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになりましたか?
(1点)ほとんど、またはまったくならなかった
(2点)たまになった(半分よりかなり低い頻度)
(3点)時々なった(ほぼ半分の頻度)
(4点)しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)
(5点)ほぼ毎回、または毎回なった
③性交の際、どれくらいの頻度で挿入後も勃起を維持できましたか?
(1点)ほとんど、またはまったく維持できなかった
(2点)たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度)
(3点)時々維持できた (ほぼ半分の頻度)
(4点)しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)
(5点)ほぼ毎回、または毎回維持できた
④性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか?
(1点)極めて困難だった
(2点)とても困難だった
(3点)困難だった
(4点)やや困難だった
(5点)困難ではなかった
⑤性交を試みたとき、どれくらいの頻度で性交に満足できましたか?
(1点)ほとんど、またはまったく満足できなかった
(2点)たまに満足できた (半分よりかなり低い頻度)
(3点)時々満足できた (ほぼ半分の頻度)
(4点)しばしば満足できた (半分よりかなり高い頻度)
(5点)ほぼ毎回、または毎回満足できた
【総合点数】
25〜22点:正常
21〜17点:軽症
16〜12点:中等〜軽症
11〜8点:中等症
7〜5点:重症
※21点以下の場合はEDの疑いがあります。しかし、問診票の結果だけではEDの診断はできません。気になる場合は一度医療機関へ相談されることをおすすめします。
プライベートケアクリニック東京・東京院 院長
日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。
取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)