自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。
Q18.バイアグラは、体に悪影響がある?
18個目のギモンは、【バイアグラは、体に悪影響がある?】。バイアグラはペニスへの血流を促進して勃起機能をサポートする、ED(勃起不全・勃起障害)の治療薬のひとつ。ED治療薬の中でも古くから存在しているため一般認知度が高い一方で、健康であると自認している人が服用すると何かしらの悪影響が出るのではないかという不安の声も。これまで数々の不妊治療を受け持ってきた小堀先生の見解は?
A18.悪影響はありません。困っているならどんどん使いましょう!
バイアグラは、むしろ体にいい!
小堀先生:困ったらどんどん使ったほうがいいです! EDの治療薬は週刊誌やメディアで「心臓がバクバクする」という体験談が発信されたことをきっかけに、体に悪いという都市伝説が広まってしまった。しかしこれは大きな間違いなのです。
ED治療薬は飲めば飲むほど心筋梗塞のリスクを下げることを証明した研究があります。医療者でも誤解があるのですが、ED治療薬は心筋梗塞の治療薬と併用が禁止されている薬ということだけで、必ずしも心臓に悪いという薬ではないのです。例えばシアリスはタダラフィルという前立腺肥大症の薬と同じ成分でできており、90歳の男性が毎日服用しているようなケースもあります。かなりの高齢者でも服用できるほどなので、体に悪影響があるわけではないのですが、例えば心筋梗塞の薬と併せて飲むことはできないため、注意が必要です。
ED治療専門のクリニックで処方できます
小堀先生:ちなみに、バイアグラなどのED治療薬はイギリスなどの国では薬局で処方箋なしに購入することができます。ただ、日本では、今のところ医師による処方のみの取り扱いとなります。
日本で主に使用されるのは、バイアグラ、シアリス、レビトラ(バルデナフィル)の3種類です。それぞれの長所と短所があるので、症状に合わせて使用することをおすすめします。処方してもらうには泌尿器科やED治療専門のクリニックにかかりましょう。基本は自費診療となりますが、ED治療専門のクリニックでは比較的リーズナブルなところが多いので、どんどん活用していくといいと思います。
出典/プライベートケアクリニック東京のWEBサイトを参考に作図
プライベートケアクリニック東京・東京院 院長
日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。
取材・文/井上ハナエ 画像デザイン/永見花奈 企画・構成/木村美紀(yoi)