自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン20

Q20.男性性機能が低下しはじめる具体的な時期は?

20個目のギモンは、【男性性機能が低下しはじめる具体的な時期は?】。精子の生成や男性ホルモンの分泌、勃起、射精といったあらゆる男性機能。月経によって女性ホルモンの変化や卵巣の機能低下を把握しやすい女性性機能に比べ、男性性機能は明確な症状を自覚するのが難しいとされています。女性の更年期と同じように、男性にも性機能が低下する具体的な時期や年齢はあるのでしょうか?

A20.生活環境などにより個人差があります

小堀先生:若くてもEDになる人はたくさんいますし、60歳を過ぎても子どもを授かる人もいます。勃起や射精といった性機能が低下する時期については、残念ながら個人差があるとしか言えません。

不妊外来に通う人に多いのが、一人で自慰行為をするとリラックスして勃起から射精までできるのに、子作りのためにセックスしようと思うと緊張して勃起しなくなるケース。このように緊張して交感神経が優位に働くと勃起しなくなるのは、頻繁に起こること! 女性がセックスに対して緊張感や抵抗意識があると腟があまり濡れないように、人間の体は年齢や時期に関わらずそのようにできているのです。

もちろん、年齢を重ねて糖尿病や動脈硬化が原因でEDになるケースも多数あります。若い30代でも糖尿病によって精液が出なくなる場合もあり、結局のところは個人差があるとしか言えません。Q17でもお答えしたようにすべての病気に言えることですが、健康的な生活習慣を取り入れて高齢になっても活発に動けることを目指せば、性機能の低下を防ぐことにつながります。

また、精液の質に関しては、35歳前後から低下する場合が多いと言われていますが、これも個人差がありますので、いずれにしろ健康的な生活習慣を心がけましょう。

男性性機能の低下

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)