自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン20

Q21.前立腺マッサージをしすぎると勃起しなくなるって本当?

21個目のギモンは、【前立腺マッサージをしすぎると勃起しなくなるって本当?】。精液の一部である前立腺液を生成&分泌する前立腺。EDに悩む人々の間では性感帯のひとつであると言われ、前立腺マッサージによる性的快楽を得ることで、勃起のサポートを行う人も少なくはないのだそう。ところが前立腺マッサージに慣れすぎると、ペニスへの性的刺激だけでは勃起しなくなってしまうというウワサが……。

A21.勃起しなくなるのは他に原因がある!

小堀先生:医療行為における前立腺マッサージは、かなり前に泌尿器科で前立腺炎の患者さんに対して行っていたことがあります。肛門から直腸に指を入れ、前立腺を圧迫するように指を上下に動かすことで一時的に症状が緩和する効果が見込まれていましたが、今はもうほとんどのクリニックで行われていません。

ただ、慢性前立腺炎の症状として頻尿、残尿感、会陰部の鈍痛のほか、稀に射精時の違和感や勃起障害を伴うことならあります。しかし前立腺マッサージのしすぎによるものとは医学的な因果関係はないと思われるため、もしEDの症状が出た場合は医療機関にかかり、適切な治療を行うのがベスト。

前立腺マッサージ 男性器 セルフプレジャー

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)