成長とともに変化する体のこと、子どもにどう伝える?【親から子への性教育】_1

今回のイベントのキービジュアルに採用されたKAORUKOさんのアート。

子どもの成長はうれしいものですが、成長とともに直面するのが子どもの「性への関心」。性教育をどうすればいいのか、多くの人が悩んでいます。

4月上旬に、親と子を対象としたフェムテックイベント『センシュアル・ライフ produced by WOMB LABO~親から子供へ伝える大事なカラダのこと~』が伊勢丹新宿店で開催。マタニティ時期や多忙な子育て時期に自分自身をケアするためのアイテムや、思春期の女の子とその親向けのアイテムを紹介したり、親を対象とした子どもの性教育についてのセミナー、デリケートゾーンなど体の大切な場所について学べる子ども向けのワークショップなど、多彩なプログラムが展開されました。

そのひとつが、「東峯婦人クリニック」理事長の松峯寿美先生 、植物療法士で今回のイベントのキュレーターでもある森田敦子さんのおふたりが講師を務めたオンラインセミナー「親からこどもへ伝える大事なカラダのこと」。「成長する体の変化をどう伝えるか」、「自己肯定感について」、そして「性教育の前に親自身が意識すべきこと」など盛りだくさんの内容から、一部をレポートします。

「大事な場所だから隠してるんだよ。人前で見せてはいけないよ」と小さな頃から教えておく

成長とともに変化する体のこと、子どもにどう伝える?【親から子への性教育】_2

子どもの参加者向けに、体の大切な場所について伝えるワークショップも開催。

松峯先生と森田さんの対談という形でセミナーは開催。森田さんによると、今回セミナーに参加してくださったお母さんたちからは、「子どもへの性教育について、何をどう伝えたらいいのか」という質問がたくさん寄せられ、なかでも、思春期の子どもだけでなく、幼少期の子どもにどういう言葉で伝えればいいか悩むという声が多かったそう。

「子どもへの性教育を考える場合、4~5歳の幼稚園から小学校4年生くらいまで、小学校5年生から中学校1年生くらい、中学校2年生から高校3年まで、この3つの年代に大きく分けて、それぞれに合った知識を与えることが必要」と松峯先生。例えば、幼少期にパンツの中に手を入れて膣を触り出したりするケースでは、“ダメ”と言って手を叩くのはNG。話ができる4~5歳の子だったら、どうしてそうするのかを聞き、共感してあげることが大切なのだとか。

「『気持ちいいからしょっちゅう触りたくなるんだね。それはいけないことではないけど、どうしてパンツをつけていると思う? パンツをはかないで外に出たら恥ずかしいでしょう。そういうふうに、隠してある場所は人に見せちゃいけない場所なの。自分が触るのはいいけど、人には触らせない、人に見せない。そういう場所だから、あなたはパンツをはいてるのよと説明してあげてください。大事だから、やたら人に触らせない、やたら人に見せない、それはおっぱいもお股も同じ。それからお口の中もそうです。口の中、おっぱいとお股、大事な場所が3箇所あるということを、女の子には必ず教えておいてほしいですね」(松峯先生)

男の子でも同様に、マスターベーションをする年齢になったら説明してほしいと松峯先生。小さい頃から“大事なところは人に見せない”と知ることで、他人に「見せて」などと言われてもYES・NOの判断ができるようになり、それが性犯罪の被害防止につながるかもしれません。

一緒にお風呂に入って、大人の体を見せておく機会も与えて

お風呂で泡だらけになった子どもの足

「男の子への性教育は、父親と母親のどちらがするほうが抵抗がないでしょうか?」という質問に対して、松峯先生は、お風呂に一緒に入って大人の男性の体を観察するチャンスを与えてほしいと言います。お父さんがいない場合は、実家へ遊びに行って、おじいちゃんと一緒にお風呂に入る機会をつくるのでもOK。

「昔は銭湯があって、いろんなおじさんがお風呂に入っているのを見る機会がありました。それが今はほとんどなくなって、自宅のお風呂しか知らなかったり、旅先でも客室のお風呂に入るという場合が多くなってますので、性教育のチャンスがだいぶ減ってるのではないかと思います。おばあちゃんと女の子がお風呂に一緒に入れば“おばあちゃんのおっぱい垂れ下がってる”とか“どうしてこんなにぺちゃんこなの?”と言われるかもしれません。それは加齢とともに体が変化していく実例だから、子どもも見守らなきゃいけない。それがわかる年齢なら、目で見て知る、生身で見せて伝える、ということも大事です」(松峯先生)

また、月経が始まる前の小学生には、外陰部を清潔に保つことを教えることも大切。「月経が始まる前の10歳ぐらいから、もうすでに体には女性ホルモン、脳下垂体から出る卵巣刺激ホルモンが出はじめるんですよ。すると、おっぱいの乳腺が少し発育してきます。さらに、ホルモンが出はじめると少しずつ大陰唇、小陰唇が伸びてきて、膣の入り口を守ってくれる準備ができる。そうして月経が始まると、ナプキンを長時間当てたり、肌に月経血がついたり残ったりしますので、その部分をきれいに洗う習慣をつけておくことが大事。小学校4年生(10歳)以上になると月経が始まる子が多いので、その前に、優しくきれいに洗うことを教えてあげてください」(松峯先生)

家事や仕事で忙しい…とお風呂の時間をないがしろにするのはもったいない。子どもとお風呂に入る時間を大切にして、体のデリケートな部分の洗い方を教えたり、大人の体を見てもらう機会をつくることが、性教育の第一歩になるんですね。

月経が来たタイミングで“自己肯定感”を持つことも大切

少女と少年のイメージ写真

初経を迎える頃の女の子が月経に対して不安に思ったり、成長してからも、月経を面倒くさいイヤなものだと思ってしまうことは多々あるもの。今回のセミナーでも、女性として生まれたことに対する肯定感について、どのように伝えていくべきかが話題に上りました。

日本思春期学会の統計では、初経が来たときのお母さんの態度によって、その後の子どもの月経に対する態度が異なってくるというデータがあるのだそう。松峯先生によると、子どもが月経が始まった報告をしたときに「これから大変よ。面倒くさくて」と言うお母さんと、「よかったわね。ケーキでも買ってきてお祝いしましょう」と言うお母さん。その対応次第で、子どもに、月経に対する違和感や恐怖心が生まれてしまうことがあるといいます。

「女の子には、月経は素晴らしいもので、嫌なものではないと思わせてあげてほしいです。月経が来たということは、卵巣でホルモンが作れるようになったということ。女性の体にはとても大切なことで、それができる体になったんだよと話してほしい」(松峯先生)

性教育をする前に、自分自身の体をケアする意識を

親から子どもへの「性教育」について多くの学びがあった今回のセミナーですが、なかでも印象的だったひとつが、子どもに性のことを伝える前に、お母さんたちにお願いしたいことがある、という松峯先生の言葉でした。

「年を重ねると、元気に過ごしていくために、メガネをかけたり、補聴器をつけたり、ウィッグをつけたり、歯をケアしたりと、いろいろな対応をしますよね。それと同じように、デリケートゾーンも大事にしていただきたいんです。毎日おしっこを出し、うんちを出す。月経があり、出産もする。考えてみると、外陰部というのは消耗が激しい部位なんです。だから、お子さんに性教育をする30代〜50代のお母さんたちには、これからますます大切にケアしてほしい」(松峯先生)

子どもに伝える前に、まずは自分の体を大切にケアする。それだけでなく、心や体についての知識をつけておくことも大事ですね」(森田さん)

「そのとおりです。自分自身が知っていないと、子どもに聞かれたときにも戸惑うはず。“恥ずかしいから聞かないで”とは言っていられません。一緒に考えて、悩む。そういう親になっていただきたいですね」(松峯先生)

話しづらいから…とついつい先延ばしにしがちだけれど、性教育は子どものために大切なコミュニケーション。セミナーに参加した人だけでなく、伝え方に悩んでいる人にとって、おふたりのアドバイスは貴重なヒントになるのではないでしょうか。

松峯寿美

東峯婦人クリニック理事長

松峯寿美

医学博士・日本産婦人科学会専門医。東京女子医科大学卒業。同大学院を修了後、同大学病院に10年間勤務。1980年に「東峯婦人クリニック」を開院。著書に『やさしく知る産前・産後ケア―産婦人科医が教える、ママと赤ちゃん こころとからだ』『50歳からの婦人科―こころとからだのセルフケア』など。

森田敦子

植物療法士

森田敦子

日本の植物療法の第一人者。サンルイ・インターナッショナル代表。大学卒業後、航空会社の客室乗務員の仕事に就くも、気管支疾患を発症。その治療として植物療法に出合い、渡仏し、パリ13大学で植物療法学・性科学を学ぶ。帰国後、植物療法に基づいた商品とサービスを社会に提供するため、会社を設立。現在は、植物療法専門校の『ルボア フィトテラピースクール』の代表も兼務。著書に『枯れないからだ』『潤うからだ』など。2021年フェムテック・ウェルネスメディア「WOMB LABO(ウームラボ)」をスタート。

取材・文/宮平なつき

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