女性に多い「カンジダ腟炎」とは？ 症状から治療法、市販薬まで総まとめ！【専門医師Q&A】

八田先生　正しくは“カンジダ”です。カンジダとはカビの一種であり、真菌の名前そのものなのですが、カンジダという響きが悪いため、カンジタと呼ばれることもあるようです。

カンジダのなかでも菌の種類がいくつかありますが、いちばん有名なのは“カンジダ・アルビカンス”というもので、腟内だけでなく、皮膚表面や腸管内に常在しています。

八田先生　カンジダはカビなので、腟内に限らず、肺や咽頭など私たち人間の体の中で湿度が高いところに感染します。感染した部位によって名称が変わり、肺の場合は肺真菌症、咽頭の場合は咽頭カンジダ症と呼ばれます。

今回のテーマであるカンジダ腟炎のほかにも、腟カンジダ、カンジダ外陰腟炎、外陰腟カンジダ症とも呼ばれます。

八田先生　ひとことで言うならば、ずばり“免疫力の低下”です。風邪や疲れ、ストレスが溜まることで免疫力が落ちて、腟内の善玉菌である乳酸桿菌（にゅうさんかんきん）のパワーが弱まり、カンジダ菌が内で増殖してしまうのです。

よく抗生物質を服用したあとにカンジダ腟炎になってしまった、という話がありますが、これは抗生物質によって乳酸桿菌などのよい菌までも殺してしまうからなのですよ。

八田先生　洗いすぎがカンジダになる直接の原因になることはありません。しかし、洗いすぎてしまうと腟内の乳酸桿菌までをも洗い流してしまい、その結果、腟内フローラが乱れてカンジダが活性化して悪さをする可能性はあります。

とはいえ、デリケートゾ－ンを清潔に保つことは大前提。ここ最近では、刺激の少ないデリケートゾーン専用のソープがあるので、こちらを使用するなどして、優しく洗うことを心がけてくださいね。

八田先生　代表的なのは、猛烈な痒みと、白くポロポロとしたカッテージチーズや酒粕のようなおりものです。その他症状はさまざまですが、ヒリヒリと熱をもったように感じたり、排尿時・SEX時に痛みがあることもあります。

八田先生　通常のおりものは、乳白色または透明をしているので、カンジダに罹患したときのおりものはすぐに分かるでしょう。

白くてポロポロとしたカッテージチーズや酒粕、ヨーグルトのようなおりものが出ている、さらに痒みを伴う場合にはカンジダに罹患している可能性がかなり高いです。

八田先生　カンジダはSEXがある、なしにもかかわらず、腟内のカンジダ菌の増殖による自己感染が多いため、クラミジアや淋病などのSTI（性感染症）とは違います。

八田先生　カンジダ菌は腟内はもちろん、口腔内や手指にも常在しています。通常腟内は、善玉菌である乳酸桿菌によって、病原菌から防御する“自浄作用”の役目を果たしますが、免疫力が低下していると乳酸桿菌の働きが弱まり、カンジダに感染することがあります。

また、咽頭カンジダ症などは通常は感染したところでも自己免疫によって増殖していくことはほぼありませんが、免疫不全やHIVなどに罹患していて免疫力が著しく低下している場合は、発症する可能性も高くなります。

八田先生　カンジダは喉や指にも常在しているので、コンドームをつけても、パートナーの喉や指のカンジダ菌が腟内に入ってしまうこともあります。

HIVやクラミジアなどのSTI（性感染症）では、コンドームでの予防が効果的ですが、カンジダはSTDではないため、コンドームをつけたからといって100％防げるわけではありません。

八田先生　カンジダ菌は、温かく湿り気のあるところで増殖します。

トイレットペッパーやタオル、デスクの上などどこにでもいる菌なので、無菌室ではない限り避けられません。人間は菌と共存していますから、免疫力が維持できているときは感染しなくても、免疫力が低下している場合には、うつる可能性もあります。

八田先生　カンジダに限らずヘルペスウイルスなど、どこにでも常在する菌には感染する可能性があります。とはいえ、普通の生活をしているときには自己免疫によってうつる可能性は低いものの、免疫力が低下しているときや傷口がある場合にはうつる可能性も高くなります。

公衆浴場では、入浴前にお湯で外陰部を洗う、床に直接座らないなどマナーを守ることも大切です。

八田先生　カンジダは女性特有のものではなく、男性も罹患することがあります。

八田先生　体力が落ちていたり、抗生物質などを服用して免疫力が低下しているところに、蒸れた下着などをはいてしまうとカンジダ菌が増殖してしまう原因となります。

八田先生　亀頭や陰茎の赤みや白いカスがみられたり、痒みを伴うことが多いです。

八田先生　軽度の場合には、生理時の経血によってカンジダ菌が一緒に排出され、自然治癒することもあります。しかし、いつまでたっても痒みやおりものがなくならない場合には、病院を受診することをおすすめします。

八田先生　腟の分泌物を採取して、培養検査に出し、1週間ほどで検査結果が出ます。

八田先生　症状を診れば、産婦人科医であればその場で判断がつくと思うので、腟錠を入れます。痒みが強い場合には、腟錠と同じ成分のクリームを併用します。

また、おりものシートやナプキンなどはつけずに通気性をよくすること、免疫力を上げることも大切です。

八田先生　痒みはお薬を使えば2～3日ほどで治まり、おりものは1週間ほどでよくなります。

八田先生　SEXによって痛みや痒みが酷くなる場合があること、相手へうつしてしまうこともあるので、治療中のSEXは避けましょう。患部を清潔に保つことも治療のひとつです。

八田先生　痒みがなくなったとき、白いポロポロとしたおりものが出なくなれば、完治したとみていいでしょう。

八田先生　まず患部を冷たいシャワーなどで冷やすことが効果的です。また、痛みと痒みを感じる神経は同じなので、痒みがどうしても酷いときには鎮痛剤を飲むのも効果的です。

八田先生　カンジダに直接効く食べ物はありませんが、免疫力を上げることは大切です。卵や肉類などのタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養のある食事をバランスよく摂りましょう。

八田先生　カンジダ菌は腟内に常在しているため、一度治療したからといって、いなくなることはありません。免疫力が低下したときや、腟内フローラのバランスが崩れたときに増殖して、カンジダ腟炎が再発する可能性があります。

八田先生　生理不順がある人の場合は、腟内フローラが乱れている可能性があるため、まずは生理不順を整えて、腟内フローラのバランスをよくしていくことが大前提です。腟内フローラを整えるためには、蒸れるような下着やおりものシートは避けて、乳酸桿菌であるビフィズス菌を増やしていきましょう。

また、タバコや電子タバコを吸っている場合には腟内フローラが崩れるので、まずは禁煙を。SEXの前後はもちろんのこと、日頃からデリケートゾーンの洗い方を意識して、外陰部のヒダの部分まで優しく指の腹で洗い上げ、汚れを落とすことも重要です。

八田先生　過去に医師の診断・治療を受けた方を対象とするカンジダ腟炎の再発治療薬が、ドラッグストアや薬局などで購入できるようになりました。購入時にはセルフチェックシートにて必要事項の確認が必要となりますが、病院に行かずに治療できるのは助かるという声も多いです。ぜひ活用してみてくださいね。

従来品（「メンソレータムフレディCC膣錠」）は1日1錠（イソコナゾール硝酸塩100mg）を6日間続けて使用する治療薬でしたが、発売時から、1回の使用で治療できる商品開発を検討。毎日連続して使用することに負担を感じるという女性たちの声を受け、約10年かけて「メンソレータムフレディCC１」シリーズが発売。

1錠に有効成分・イソコナゾール硝酸塩600mg配合。1回の使用で効くので、忙しい・時間のない女性におすすめです。（1回の投与により治療が終了しますが、1日で治癒するものではありません。使用後6日間は、生活上の注意を守ってお過ごしください。）挿入が不安な人へ向けて、錠剤をしっかり奥まで正しい位置に挿入できて、清潔・簡単に使えるアプリケータ付きも発売。

ミコナゾール硝酸塩を主成分としたカンジダ腟炎の再発治療薬。患部を清潔にし、1日1回、1個を6日連続で就寝前に腟深部に挿入して使用します。3日間使用しても症状の改善がみられないか、6日間使用しても症状が消失しない場合は、医師の診療を受ける必要あり。

ベビー用品から介護用品まで、肌に直接触れる製品をリリースしてきた持田ヘルスケアは、デリケートゾーンの皮膚に悩みを抱える女性たちが多いことに着目。専門医を訪れる女性の悩みにこたえたいという想いから、2015年“ニオイ”ケア製品コラージュフルフル泡石鹸ピンクを誕生させました。

蒸れやすく、雑菌が繁殖しやすいデリケートゾーンのために抗真菌（抗カビ）成分「ミコナゾール硝酸塩」と殺菌成分を配合した薬用抗菌石鹸。デリケートゾーンを優しく洗い上げながら、肌トラブルの原因にもなる真菌や細菌をダブルで抗菌、清潔なお肌を保ちます。

構成・取材・文／木土さや