Prime Videoにて配信中のドラマ『1122 いいふうふ』で夫婦役を演じた高畑充希さんと岡田将生さんが、作品を通して感じた「結婚」や「パートナーシップ」にとって大切なこととは? 原作者の渡辺ペコさんとともに、他者と向き合い、言葉を重ねることの大切さについて考えます。

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岡田将生

俳優

岡田将生

1989年生まれ、東京都出身。2006年にデビュー。近年の主な出演作はドラマ『ゆとりですがなにか』(2016)、「連続テレビ小説『なつぞら』」(2019)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021)、『ザ・トラベルナース』(2022)、映画『ドライブ・マイ・カー』(2021)、『1秒先の彼』(2023)、『ゆとりですがなにか インターナショナル』(2023)、『ゴールド・ボーイ』(2024)など。現在放映中の「連続テレビ小説『虎に翼』」に出演予定。2024年8月23日には『ラストマイル』、11月には『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』が公開予定。

高畑充希

俳優

高畑充希

1991年生まれ、大阪府出身。13歳で俳優デビュー。映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018)で第43回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。主な出演作は「連続テレビ小説『とと姉ちゃん』」(2016)、『過保護のカホコ』(2017)、『ムチャブリ!わたしが社長になるなんて』(2022)、『unknow』(2023)、映画『ヲタクに恋は難しい』(2020)、『怪物』(2023)、『ゴールデンカムイ』(2024)、舞台『ミス・サイゴン』(2022)、『宝飾時計』(2023)など。現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』に藤原定子役として出演中。

渡辺ペコ

漫画家

渡辺ペコ

2004年に「透明少女」でデビュー。2009年に『ラウンダバウト』(集英社)が第13回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。代表作に『1122』『にこたま』(ともに講談社)『おふろどうぞ』(太田出版)などがある。現在は「モーニング・ツーWEB」(講談社)にて、創作と性加害をテーマにした『恋じゃねえから』を連載中。

『1122 いいふうふ』STORY
フリーランスのウェブデザイナーとして働く一子(高畑充希)と、文具メーカーで働く二也(岡田将生)は、結婚して7年目を迎えた気の合う夫婦。何でも話せる親友でもあり、側から見れば羨ましいほど理想的なパートナーだが、実は性生活は2年もストップしている。彼らの結婚生活は“婚外恋愛許可制”の公認という、秘密の協定によって支えられていた…。Prime Videoにて世界独占配信。

人と向き合うって面倒くさいこともあるけど、私は結構好き(高畑さん)

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──皆さんは、この作品を通じて「結婚」や「パートナーとの関係」に対するイメージが変化した部分はありますか

高畑さん 私は結婚願望はありますが、輪郭がふわふわ〜っとしていたんです。でも撮影を通してプレ結婚体験ができたというか。結婚についてこんなに考え続けた3カ月はなかったし、自分の人生においてもいい経験になったと思います。人と向き合うって面倒くさいこともあるけど私は結構好きで、飲みにいくときも1対1のサシがいいです。今までの人生でも、人と向き合うことで自分を知ったり、自分が変わるきっかけを得たりすることが多かったです。

正直、一人でも楽しいし、身軽だし、楽なこともいっぱいあるけれど、二人でいることも楽しいなって再認識できた撮影でした。「自分はこれでいいのかな」「こうしたら相手はどう思うだろう」とか考えながら生きていくのも、なんだか素敵ですよね。結婚っていいなって思いました。

岡田さん 誰かと気持ちを共有できるって、すごくいいですよね。例えば仕事で落ち込むことがあったとしても、家に帰ってパートナーに話を聞いてもらえたら、気持ちが少し楽になるかもしれない。もちろんうれしいことも一緒に喜び合えますし。

ケンカしたらつらさが倍になっちゃうこともあるけど、それもまた面白い。人を好きになることって、やっぱりいいなと思いました。

いちばん感じたのは、会話を重ねることの大切さ(岡田さん)

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──yoiの読者には、まさに「結婚の先にあるもの」についていろいろな不安を抱えている方もいます。そういった方々に、『1122 いいふうふ』でぜひ見てほしい、感じてほしいところはありますか?

岡田さん 僕がいちばん感じたのは、会話を重ねることの大切さ。会話って相手とも自分自身とも向き合わなければいけない、ある意味、怖い作業ではあると思うんです。

でも、同じ空間で会話を重ねて、お互いの価値観やあり方を探し続けていくことが、パートナーシップを築いていくうえで大切なんだなと思いました。そのことが、観ている方に少しでも伝わればいいなと思います。

──決定的な別れにつながる出来事に見えるような場面でも、一子(いちこ)と二也(おとや)はしっかりと向き合って、簡単に別れを選択しない姿が印象的ですよね。

渡辺さん もちろん、別れを選択することも全然ありだと思うんです。でも、『1122』では、そこの頑張りをしぶとく描いたつもりです。ちなみに、二也はクズだって言われがちで、作中でも彼自身にそう言わせちゃったのですが、私はそう思ったことはまったくないです(笑)。

向き合うことに重点を置いて描いた作品ではありますが、お二人が演じている姿を観たら、会話することの大切さと同時に、大変さもすごく感じて。あまり突き詰めすぎると疲れ果ててしまうので、抜きどころも大事かもしれません。

時には「言わない」ことも大事だと思います(渡辺さん)

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──高畑さんと岡田さんは、この作品を通してどんな学びを得ましたか?

岡田さん それはもう、ひとつです。パートナーのスマホは見ちゃダメ!

渡辺さん 一子も二也も、お互いに見てますからね(笑)。

高畑さん 私は、絶対に「外で(セックスを)してきていいよ」と言わないこと。やっぱりつき合いが長くなると、人として好きでも、異性として見られなくなってしまう瞬間がくるかもしれない。でも、決定的な一言を言ってしまったら、後で絶対に後悔してしまうことを学びました。

渡辺さん 確かに、言葉にした事実は戻せないし、お互いの記憶に残りますもんね。言葉にすることで関係性が持ち直すことや、気づきを得ることもあると思いますが、時には「言わない」ことも大事だと思います。

ドラマをご覧になった方の中には、はっきり意見を言う一子ちゃんが怖くて、優しい二也がかわいそうと思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、個人的には世の中の多くの結婚におけるパワーバランスは、まだ男性のほうが強い印象があります。それで、私は作品の中で女性を強く描きがちなのですが。

もし結婚生活やパートナーとの関係で我慢していることが多い方がいたら、一子のように、感情や言葉をちょっと表に出すことをやってみてもいいのかなと思いますね。もし立場や経済力、発言力などが相手よりも強いことを自覚している場合は、二也のように、相手の意見を聞く姿勢を持ったり、労わることを心がけたりしてほしい。そんなふうに、それぞれのパワーバランスを調整していけるといいのかなと。

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撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/小林麗子(岡田さん)、小澤麻衣(モッズ・ヘア/高畑さん)、寺沢ルミ(渡辺さん) スタイリスト/大石裕介(岡田さん)、岩田真希(高畑さん) 取材・文/松山梢 企画・構成/国分美由紀
衣装協力/美晴ドレス