タレント、モデル、身体美容家、2児の母……マルチに活躍する優木まおみさん。現在43歳を迎えた優木さんが心身の変化を通じて得たものや、生理に伴うPMS、出産後の体の変化など、女性特有の悩みに寄り添うフェムケアエクササイズを教えていただきました。
身体美容家®︎・タレント・モデル
1980年3月2日生まれ、佐賀県出身。大学在学中に芸能界デビューし、グラビア、キャスター、レポーター、ファッションモデル、コメンテーターなど、マルチに活躍。第2子出産を機にピラティスインストラクターの資格を取得。ピラティスを元に発展させたオリジナルメソッド「マオビクス」を創始。オンラインボディサロンや全国のセミナー、レッスンで指導を行なっている。著書に『マオビクス 背骨から身体を変えるおうちピラティス』(リブレ)など。
正しい姿勢から、骨盤底筋やインナーマッスルを鍛えることが大切
優木さん「37歳での第2子出産後、不調に悩まされました。体が疲れ果て、心も落ち込むように。そんなときにピラティスに出合いました。ピラティスのメソッドには、体を芯——骨格の部分から整えるということがあります。そのためにまず行うのは、背骨をストレッチとマッサージでほぐすこと。だからハードな運動ができない状態でも始められて、そこから少し頑張ってトレーニングをしてみよう、と続けることができたのです」
——2019年にピラティスインストラクターの資格を取得し、気軽に取り入れられる背骨のストレッチをメインにした独自のメソッド「マオビクス」を確立した優木さん。現在は、自ら全国を回ってセミナーやレッスンを行なっています。
優木さん「PMSなど女性ならではのお悩みを抱える方々の体を見ると、普段の姿勢が良くないことが多いです。実は骨盤が正しい位置にないと、子宮を支える骨盤底筋をはじめとしたインナーマッスルが使えていない状態になります。まずは姿勢を自然に整えるセルフケアから、そして、骨盤底筋が機能して、鍛えられるトレーニングをご紹介したいと思います」
膣のゆるみにも効く! 骨盤底筋を自然に鍛える「正しい立ち方」
子宮、膀胱、膣、直腸など、女性にとって重要な臓器を支える「骨盤底筋」は、加齢によって衰えやすいもの。ここが使えていないと、膣のゆるみや尿漏れなどの原因にもつながっていきます。今回は日常的に意識することで骨盤底筋が自然と鍛えられる、正しい立ち方をレクチャーしていただきました。
骨盤底筋が鍛えられる正しい立ち姿勢とは?
立っている姿勢で両手で逆三角形をつくり、お腹の下のほうに当てます。人差し指の先が恥骨に、手首が腰骨にくるような位置に。この三角形の面が、地面に対して垂直になるようにして立つと、骨盤底筋が正しく働くと言われています。
骨盤がニュートラルな状態にある姿勢を保つためには、かかとの上に骨盤が来るイメージで立つと良いでしょう。体の重心は、足裏の長さのかかとから3分の1の位置に来ます。1枚目の写真が正しい姿勢です。
骨盤底筋が使えていないNG姿勢
背中が丸まり、恥骨が前に出るような姿勢を「骨盤後傾」と言います。骨盤が後ろに倒れるようなこの姿勢を続けていると、お尻が垂れてきたり、ハムストリングスが硬くなります。
恥骨が後ろに下がり、腰骨が前に出てくる、いわゆる「反り腰」。この姿勢が癖になると、肋骨が圧迫され、呼吸が浅くなります。腰を痛める方も多いです。
骨盤まわりを整え、インナーマッスルを鍛えるエクササイズ「ダイナソー」
普段の姿勢を正しく意識できるようになったら、インナーマッスルを効果的に鍛えるエクササイズにトライ。
優木さん「骨盤底筋は、横隔膜、多裂筋、腹横筋とカルテットのように働きあって、骨盤の位置を正しく保ちます。ご紹介する『ダイナソー』は、股関節を柔らかくするストレッチと、インナーマッスルの腸腰筋を使う強化トレーニングの2段階のエクササイズです。気軽に短時間で行えるので、ぜひ、日常の隙間時間に取り入れてみてください」
①股関節とインナーマッスルのストレッチ
【1】片足を前に出し、もう片方は足の甲を地面につけて後方に下げ、片膝立ちになります。
前の足は、かかとの垂直上に膝が位置する角度が目安です。体側に鋭角に曲がらないよう注意してください。立てた膝の上に軽く両手を乗せ、前を見て背筋を伸ばします。
【2】そのまま、腰を反りすぎないよう意識しながら、前方に力を加えてストレッチをしてゆきましょう。鼠蹊部が伸びるような感覚です。上体は、頭頂部が天井へと引っ張られるように、上にまっすぐ伸ばします。伸ばしながら何度か呼吸をします。
②腸腰筋の強化につながるエクササイズ
【3】呼吸を繰り返して、股関節がほぐれてきたら、後ろの足のつま先を立てます。つま先で地面を押すように、また、かかとを後ろに押し出すように力を加えましょう。
前の脚は足裏全体で地面を押し、体がぐらつかないように支えます。すると、後ろの脚の膝がぐっと伸びて地面から浮き、腰から上体が引き上げられます。
上半身はまっすぐに保ち、腰に負担がかからないように気をつけましょう。おへそを後方に下げて、恥骨を前に出すようなイメージで姿勢をキープ。足の付け根の筋肉が伸びていて、腸腰筋が体を支える形になります。
【4】数秒深呼吸をして、ちょっとしんどくなってきたな、というタイミングで膝をゆっくり下ろします。両側1回ずつでもいいので、ゆっくり呼吸をして繰り返してください。
優木さん「まずは普段から姿勢を意識するところから始めましょう。今すぐできるちょっとした習慣が、未来の自分を、ヘルシーに変えてくれるかもしれません」
撮影/角田航(TRIVAL) 取材・文/久保田梓美 企画・構成/渋谷香菜子