話題の健康法を試すのが趣味だという人気お笑いコンビ、空気階段の水川かたまりさんが今最もハマっているのが、瞑想。瞑想をするようになり「日々の暮らしの中に幸せを見つけやすくなった」というかたまりさんに、瞑想をはじめたきっかけや、瞑想を習慣にするコツを教えてもらいました。
空気階段
1990年生まれ、岡山県出身。2012年に空気階段を結成。「キングオブコント」2021王者。2017年から放送しているTBSラジオ「空気階段の踊り場」が人気。第7回単独公演「ひかり」が5月8日から開催。詳細はHPをチェック。
テレビを見ていても瞑想はできる!?
——瞑想をはじめたきっかけはなんだったのでしょうか?
かたまりさん:僕の好きなアーリング・ハーランドというサッカーのノルウェー代表選手がゴールを決めたときに、瞑想のパフォーマンスをするんです。インタビューで「僕がゴールを決める秘訣は瞑想さ」という発言もしていて。世界的に大活躍している人が瞑想をしているということは、瞑想はいいものに違いないと思い、調べて、はじめてみたのが最初のきっかけです。好きな選手が実践していることはなんでも真似したくなるんです。
YouTubeで瞑想を調べて、動画で流れる音声に従ってまず「呼吸瞑想」というものを試してみたら、ちょっと気分が上向いてきたのを感じました。
——ラジオ「空気階段の踊り場」では、お笑い芸人の上田航平さん(元ゾフィ)も瞑想をしているとおっしゃっていましたね。
かたまりさん:そうなんです。上田さんとは考えが近いと感じているので、飲みの席で「上田さん、瞑想ってやってますか?」って聞いたら、「当たり前じゃん」って言われました(笑)。
上田さんは知識が豊富で、歩いているときはもちろん、テレビを見ていても瞑想はできる、ということを教えてくれました。そこから一気に瞑想が日常に根付いていきましたね。
習慣化したことで得られた一番の効果は、集中力の向上です。今まではネタを考えているときに、お腹すいたな、あとで何食べようかなとか、意識が行ったり来たりしていたのですが、そういう余計な考えが浮かぶ回数が減ってきました。ネタを書くのも速くなった気がします。
——芸人さんにとって、瞑想は役立ちそうですね。
かたまりさん:お笑い芸人こそ、瞑想をしたほうがいいと思います! お笑いって一発勝負の場面が多いので、瞬発力を求められるじゃないですか。意識がとっ散らかっていたり、心に引っかかっていることがあったりすると、その場ですぐにいい反応ってできないんですよね。でも瞑想をすることで目の前のことにより集中できるようになると、相手の言葉を聞き逃すことがなくなるので、ネタだけでなく、トークの性能も上がる気がします。
今まで奥さんの話も適当に聞き流しちゃうことがあって、「え?さっき言ったじゃん」って怒られることも多かったんですが、最近はそれが減ってきて家庭が平和です(笑)。プライベートにも効果があらわれています。
瞑想効果で怒っている自分を俯瞰して見られるように
——集中力の高まり以外に、瞑想することで効果を感じていることはありますか? 怒りなど負の感情と向き合えるようになるのでしょうか。
かたまりさん:相方(鈴木もぐらさん)にむかつくことは減っていると思います。普通の相方だったら、もう怒りの感情は手放しているかもしれないんですが、なにせ相手が強大なので、負の感情ときちんと向き合えるようになるには、もうちょっと鍛錬が必要かな(笑)。
——ラジオ「空気階段の踊り場」で相方の鈴木もぐらさんの遅刻と言い訳が原因で大ゲンカに発展しましたよね。
かたまりさん:あのときは、僕の修行が足りなくて久しぶりにブチギレてしまいました(笑)。相方の度重なる遅刻に心を乱されないようにするためにも、瞑想は続けていきたいですね。
でも、少しずつですが「今の自分は怒っている状況なんだ」ということが俯瞰で見えるようになってきたとは思います。ラジオのリスナーの中には、僕らのケンカを楽しみにしている人もいるかもしれませんが(※ラジオ本番中に二人がケンカするのが一種の名物になっている)、今後僕たちがケンカをしなくなる可能性は大いにありますよ。
——仕事のパートナーでもあるもぐらさんにも瞑想をはじめてほしいですか?
かたまりさん:あいつは絶対にやらないでしょうね。他人だから、強制するつもりはまったくないんですが、風呂に入らず床でそのまま寝ちゃうみたいなことはやめてほしいです。僕の睡眠メソッドを少しでも実践していれば、遅刻も減ると思うんですけどね……。でもこればっかりはずっと言い続けても変わらないので望みは薄いかもしれないです。
もぐらのことはいったん置いておいて、瞑想に少しでも興味がある方は、今すぐにでもはじめたほうがいいですよ。最初、僕も瞑想ってとっつきにくいイメージがあったんですが、まったくそんなことない。忙しくてもどんな場所でもできますから。
何より、日々の暮らしの中に幸せを見つけやすくなる気がします。天気がいいだけでうれしいですし、ごはんのおいしさにもより気づけるようになりました。楽しい、うれしい、おいしいみたいなプラスの感情の総量が増えたのを実感しています。「なんかちょっと幸せ」って気持ちが続くっていいですよね。
撮影/馬場わかな 取材・文/高田真莉絵 構成/渋谷香菜子