ドラマや映画での俳優業に加え、プロデューサーとしてもマルチに活躍するMEGUMIさん。40代を迎えるまで、さまざまな苦しみや葛藤を経験してきたそう。インタビュー前編では、傷つきながらも今の自分にたどり着いた道のりをお伺いしました。
俳優やタレントとして活躍するほか、映画などのプロデュースにも進出。さまざまなアーティストとコラボレーションをしているウェブサイト『+COLLABORATE』も話題。最近は自身が実践している美容法も注目を集めている。新刊は『心に効く美容』(講談社)。
自分はどんな人間なのか。悩んだらノートに書いてビジュアル化
——MEGUMIさんは、ぶれない芯の強さをお持ちのイメージですが、その世間が持つ「MEGUMI」のイメージでいなければいけないと悩んだことはありますか?
MEGUMIさん:はい。私に対して強いイメージを持たれている方も多いと思います。なので自分自身そのイメージに縛られてしまい、バラエティ番組に出演する際は、世間が思う「MEGUMI」の姿でいなければと「悩みなんてない強い女性」を演じたり、サバサバしているように見せたり、もがいていました。
私、強くなんてないんです。新刊『心に効く美容』でも書きましたが、先のことを気にしすぎてくよくよしたり、自分の感情の波に溺れそうになったりしたことなんて、何度もありますし、負の感情に振り回されてどん底まで落ち込むこともあります。皆さんと同じように、悩んだり、葛藤したりを繰り返しています。
世間が思う「MEGUMI」を演じているうちに気づいたのは、「自分らしさ」が欠落してしまうと、本当にしんどいということ。自分が何を言いたいのかわからなくなるし、相手にも自分を誤解されてしまいます。
さらに今は、SNSがあるからなのか、自分がまわりからどう思われているのか考えなければいけない時代ですよね。まわりの人と比べたり、比べられたりすることも増えて、「私はあの人より劣っている」みたいな思考に陥りやすく、ますます自分らしくいることが難しくなり、結果さらにしんどくなる。
そんな負のループを断ち切るために、自分はどんな人間なのかをきちんと理解するために、ノートに気持ちを書いて「ビジュアル化」するようにしたんです。「あのときあんなこと言われて嫌だったな」とか、「褒められてうれしかった」とか。そうしていたら、自分らしくいることがいちばんパフォーマンスがいいと気づいたんです。
また、自分を褒める時間も設けています。「よしよし、あんなことできてすごかったね。かわいいね」「よくできてるよ!」って自分を認めてあげるんです。この作業って他人に頼めないことだから、自分でやるしかありません。忙しくしていると、自分と向き合う時間って持てないので、あらかじめスケジュールに組み込んでおくといいですよ。
“マイヒーロー”はモニカ・べルッチと安藤忠雄先生
——新刊『心に効く美容』の中で、悩んだら「マイヒーロー」を見つけようとおっしゃってますね。
MEGUMIさん:「マイヒーロー」を持つと、こうなりたい!というビジョンが明確になって、ラクですよ。真似している間に、自分の個性も合わさってきて、自分なりの歳の重ね方が見えてきます。
私のマイヒーローはイタリア出身の俳優であるモニカ・ベルッチさん、中身は建築家の安藤忠雄先生です。悲しいときには安藤忠雄先生のドキュメンタリー番組を繰り返し観て、気持ちを鼓舞してもらっています。
20代、30代、40代。大事なのは、その変化をどう楽しむか
——年齢を意識して戸惑った経験はありますか? 例えば、30歳をすぎると急に“姉”扱いされる、など。
MEGUMIさん:ありますよ。40代になると「おばさん」なんて呼ばれて、母になると「お母さん」らしい振る舞いを求められる。私の立ち位置を勝手に決めないでよって思うけれど、そこに抗おうとしてもこちらが疲れるだけ。「しょうがないか」と受け入れるのがいいのかもしれません。大事なのはその変化を自分だったらどう楽しむか、という意識を持つことかな。
20代、30代は、ライフスタイルにいちばん変化が訪れるとき。結婚や出産など、人生の大事な決断を自らしていかなければいけないプレッシャーもありますよね。私もそうだったからわかります。「結婚したいのか、したくないのか」「結婚しながら仕事をしたいのか、それとも辞めたいのか」など、自分の気持ちにきちんと向き合わないといけない。
でも、悩んだり、戸惑ったりした経験がある人こそ、40代を晴れやかに過ごせるはず。さまざまな変化に気づき、きちんと立ち止まりながら自分を変えていく経験はきっと糧になりますよ。
30代の自分に「役者になりたいって悩んでくれてありがとう」と伝えたい
——40代を迎えた今のMEGUMIさんが、30代になりたての当時の自分に会えるとしたらどんな声掛けをしますか?
MEGUMIさん:「ちゃんと役者になりたいって悩んでくれてありがとう」って伝えるかな。当時は結婚、出産、育児があって環境がガラリと変わり、本当に苦しかったですし、今と比べると仕事がなかったんです。
そんな中、試行錯誤しながらも、演技の先生をつけて本の読み方、セリフの言い方、感情の表し方などを学びました。10年かかりましたけど、その経験があったからこそ、今、演技の仕事ができているので、まず感謝の気持ちを伝えますね。
あとは、「もっと運動したほうがいいよ」ってアドバイスをします。心と体はつながっているから、運動をすると前向きな気持ちになれるんです。体を動かすことで、どこが痛くて硬くなってしまっているのかを知れて、ちょっとした不調にも気づけるようになります。結果、どんなことにイライラしているのか、モヤモヤしているかがわかるように。体を動かすことは、自分らしくいることにもつながりますから。
『心に効く美容』MEGUMI/著 講談社 ¥1650
アクセサリー/blanciris シューズ/GIABORGHINI
撮影/森川英里 ヘア&メイク/KIKKU スタイリスト/斉藤くみ 取材・文/高田茉莉絵