体と心の健康に高い関心を持つ人気お笑いコンビ、空気階段の水川かたまりさん。以前yoiで“瞑想”の魅力を語っていただきましたが(記事はこちら)、実は高校生の頃から睡眠にも強いこだわりを持ち、試行錯誤を重ねてきたそう。2025年3月14日の「世界睡眠デー」に合わせて、かたまりさんが約15年以上にわたりトライ&エラーを繰り返してきた睡眠遍歴について教えてもらいました。
しっかりとした睡眠を取ることでネタの完成度がアップ

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——かたまりさんが睡眠にこだわるようになったのは高校生のときだと伺いました。
かたまりさん:そうですね、高校生のときに不眠症気味になったことがあったんです。改善策をネットで調べると、寝る前のストレッチがよいと書かれていて。試しに部活のウォーミングアップと同じストレッチを寝る前にも15分程度やるようにしたら、少しずつ眠れるようになったんです。それ以来、睡眠を意識するようになって、ストレッチは今もずっと続けてます。
——高校生のときに睡眠の大切さに気づいてから、どのように睡眠に対する意識や習慣は変化していったのでしょうか?
かたまりさん:紆余曲折ありましたね。まず、大学に入って一人暮らしを始めたら、家、ベッド…生活環境が変わったことでまた不眠症気味になったんです。
それで、ネットで「部屋を暗くすると寝られる」という情報を見つけたので、遮光カーテンに切り替えたり、光の出るものは部屋にあまり置かないようにしたり。あと、お風呂のあとは豆電球の明かりで過ごすようにしたら、ある程度睡眠が改善されて。
でも、NSCに入学する直前、大学に行かなくなったタイミングで、「眠くなったら寝ればいいや」って感じになり、かなり適当な生活を送るようになりまして…。それこそ、テレビをつけっぱなしにして寝たり、体内時計が狂って眠れないから、お酒が弱いことを逆手にとって、近所のスーパーでワインを買ってきて、とりあえず飲んでウトウトして寝る、みたいなことをしていました。
今の僕からしたら、はっ倒してやりたくなるようなめちゃくちゃな睡眠習慣でしたね。

——そこからまた睡眠を大切にするようになったきっかけはなんだったのでしょうか。
かたまりさん:僕がもともと何事も細かく決めるのが好きな性格というのもあるんですけど、芸人になったばかりの頃に、ふと「規則正しい生活を送って、毎日ちゃんとネタを考えないと売れないんじゃないか」と考えるようになったんです。
それで、芸人は夜ふかしをする人が多いけど、僕は早めに風呂に入って、部屋を暗くしてストレッチをして、0時くらいには寝るという生活をすることに決めたんです。
だけど、若手のときって、お笑いライブの2週間前くらいになると毎日深夜稽古があるんですよ。夜中12時に集まって始発までやる、みたいな。それがもう超イヤで。僕からしたら超眠い時間帯なんで、「こんな眠い思いをするんだったら、吉本辞めようかな……」と思ったこともありましたね。
やっぱり寝ずに深夜に作ったネタって、不用意に人が死ぬ展開になってしまうんですよね。「ここ、別に人死ななくてもいいのにな....」みたいな展開になってしまう。
でも、ちゃんと朝起きて太陽を浴びて、散歩して喫茶店で考えたネタだったら、人が死ぬ展開にならないんですよ。僕はこっちのほうがいいなって。だから今もよっぽどのことがないかぎり、夜中にネタ作りはやんないですね。
——そのどうしても避けられない深夜練習の時期は、どのように睡眠をとっていたんですか?
かたまりさん:朝帰宅して寝ることになるので、家の窓を段ボールでふさぎましたね。外から見たら怖い家なんですけど、電気を消したら真っ暗になる環境を作りたくて。光が入らないように、ガムテープで段ボールを窓に貼り付けて遮光していました。

——かたまりさんにとって徹底した遮光は、良質な睡眠を取るために欠かせないんですね。ほかに快眠のために取り組んでいたことはありますか?
かたまりさん:“全裸睡眠”もよく眠れると聞いて試したことがありましたね。確か、海外セレブが実践している睡眠法を紹介した記事に書かれていて、しかも睡眠学者もおすすめしていたので、「これならまちがいないだろう」と思ったんです。でも、冷え性の僕には合わなかった。どうしても寒かったですね。
あと、寝る前にハーブティーを飲んだり、自分に合ったお風呂の温度を一人で研究していた時期もありました。例えば、外の気温と自分の体温がこのときは、何度のお湯に何分つかるといいか、みたいな感じで。
ただ、追求しすぎたせいで、その環境やルーティンを守らないと寝れなくなったこともありました。それこそ、窓に段ボールを貼っていた芸人になりたての頃。今振り返ると、「いい睡眠のためには、絶対にコレをしないと」、といちばん自分を締め付けていた時期かもしれないです。 睡眠時間も90分の睡眠サイクルに合わせて、7時間半寝ると決めていたし。
でも、27〜28歳のときに、住むところがなくなって、友達の家を転々としていた時期があって、そうなると「部屋を真っ暗にしてくれ」とか、「テレビの赤いランプが気になるから主電源から消してくれ」なんてもちろん言えない。与えられた環境で寝るしかない状況が続いてからは、ある程度環境が整ってさえいれば眠れるようになりました。
睡眠時間が短くても、“質”を高めれば十分に休息は取れる

———現在、かたまりさんはご結婚されていますが、一人暮らしのときのような睡眠とはかなり違うのではないでしょうか。
かたまりさん:そうですね。うちは犬を飼っていて一緒に寝ているんですが、最初は寝るときだけ寝室にペットシーツを置いてドアを閉めていたんです。そのほうが僕はよく眠れるので。
でも、犬はいつもの場所にトイレがないと我慢しちゃうということがわかって。今は犬が夜中でもトイレに行けるようにドアを開けっぱなしにしています。最初はドアが開いてるのが気になってきつかったんですけど、今はもう慣れました。犬も大事な家族なんで。
あと、子どもがもうすぐ1歳になるんですが、産まれる前までは夜中や朝方に騒ぎ出す人間がいなかったので、そこも違いますね。
今朝も、子どもに6時半ぐらいに起こされて、しばらくしたら眠そうな顔をしていたのでベッドに戻してこちらもウトウトとしていたら、顔をいきなりバーンってたたかれて。でも、まぁ睡眠より大事なものもありますからね(笑)。
今は、睡眠の時間よりも入眠ルーティンや快眠アイテムを頼って質を意識してるので、睡眠時間が多少減ってもフラフラになることはなくて。むしろ、眠りとのつき合い方がわかってきて、これまででいちばんいい睡眠がと取れていると思います。
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撮影/芹澤信次 ヘア&メイク/山口春菜 スタイリスト/辻村真理 取材・文/海渡理恵 企画・構成/福井小夜子(yoi)