私たちを生きやすくする言葉に出合う。みたらし加奈×甲斐まりか×yoi編集部 トークイベントレポート_1

国際女性デー前夜の3月7日(月)、yoiは本屋B&Bとの無料配信イベント「Our Place -私たちの場所-で出合うセルフエンパワメント」を行いました。「Empowerment(エンパワメント)」や「Body Positive(ボディポジティブ)・Body Hair Positive(ボディヘアポジティブ)」などのキーワードをもとに、ゲストのみたらし加奈さんと甲斐まりかさんと語り合った約2時間。臨床心理士・公認心理師であるみたらし加奈さんから教わる自身の体や心との向き合い方から、甲斐さんが経験してきたグローバルな視点でのウェルネスについてまで、大充実の内容に。今回はそのイベントの一部をご紹介します。

みたらし加奈 (みたらし・かな)

臨床心理士/公認心理師

みたらし加奈 (みたらし・かな)

1993年生まれ。総合病院の精神科で勤務したのち、ハワイへ留学。帰国後は、フリーランスとしての活動をメインに行いつつ、SNSを通してメンタルヘルスの情報を発信。現在は一般社団法人国際心理支援協会所属。NPO法人『mimosas(ミモザ)』の代表副理事も務める。著書に『マインドトーク あなたと私の心の話』、『テイラー 声をさがす物語』(ともにHagazussa Books)がある。

甲斐まりか(かい・まりか)

モデル・タレント

甲斐まりか(かい・まりか)

1995年生まれ。タイ人の母と日本人の父をルーツに持ち、日本語・英語・ドイツ語のほか、フランス語、タイ語にも堪能なマルチリンガル。ドイツの中学・高校を卒業後、イギリス エジンバラ大学へ進学。モデルとしての活躍に留まらず、映画出演や、ラジオ番組J-WAVE 『BLUE IN GREEN』(毎週土曜日12:00~16:00)にてパーソナリティも務めている。

私たちにとって「国際女性デー」はどんな意味を持つ?

日本では少しずつ認知が広がってきている国際女性デーですが、私たちはどんな気持ちで3月8日を迎えたらいい? まずは、そんな質問をお二人に投げかけてみると、みたらしさん、甲斐さん、それぞれの国際女性デーへの思いを聞くことができました。

「社会的なことで言うと、私たちが今生きている世界は、いろんな人たちが参政権や労働条件について声をあげてきた、その礎の上に成り立っているということをしっかりと考える日。不安定な国際情勢において、特に戦争では、子どもや女性もそうですし、その中でも性的マイノリティなどを含む社会的弱者といわれる人々がさらに苦境を強いられている。そういった現在や、この先の未来についても考えることが大切だと思います。個人として言えば、私が大学生のときに初めて出合ったフェミニズムと、今のフェミニズムの印象って全然違っていて。そういった変化のなかで“私はこういうふうに考えて生きてきた”、という振り返りができる日でもあると思います」(みたらしさん)

「私はこれまでいろんな国に住んでさまざまな文化や環境に身を置くことで、国によって女性の見られ方やポジションに違いがあるのを感じてきました。大人になるまで国際女性デーを強く意識することはなかったんですが、社会に出て、国際情勢をはじめとするいろんなことを知っていくなかで、考えたり発信しなくちゃいけないことがたくさんあると感じています。改めてこの国際女性デーをきっかけに、みんなでいろんなことを話したり、考えたりしていけたらと思います」(甲斐さん)

お二人のおすすめの「エンパワメント」作品は?

今回、最初にピックアップしたキーワードは「エンパワメント」。最近、特にウェルネスの分野でよく使われる言葉です。今回は、yoiで毎週月曜日に更新しているエンパワメントカルチャーコーナーにちなみ、お二人が実際にこれまでエンパワメントを感じたカルチャー作品をいくつか紹介していただきました。

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甲斐さんのおすすめ作品:『総理の夫』

原田マハ ¥880/実業之日本社

「直接フェミニズムについて書かれているわけではなく、少しミステリー要素もある小説です。日本初の女性総理大臣の、夫の目線から見た日記という設定も面白くて新鮮。この夫がパートナーとしてとても協力的な人なので、読んでいる自分も応援されている気分になってエンパワメントされた一冊です」(甲斐さん)



みたらしさんのおすすめ作品:『モキシー〜私たちのムーブメント〜』

Netflixにて独占配信中

「あるできごとをきっかけに、校内で『モキシー』というZINEを配ることになる女子高校生の物語。主人公が、フェミニズムの活動家だった母親から受け継いだ知識をZINEに詰め込み、それを校内で配ることでいろんなことが巻き起こっていきます。女子生徒たちがZINEを手に取りはじめたときの反応の広がり方や、力を合わせたりハグをしながら前に進んでくシスターフッドに、観ていてすごくエンパワメントされました。気軽にさくっと観やすいのもいいですね」(みたらしさん)

心地いい状態は自分で決める。「ボディ&ボディヘアポジティブ」

「ボディポジティブ」(誰かに決められた美的基準や価値観、固定概念にとらわれず、ありのままの自分の体を受け入れること)はよく聞くようになったけれど、「ボディヘアポジティブ」という言葉は知っていますか?
#BodyHairPositive というシェービングブランドが謳ったハッシュタグがSNSを中心に盛り上がりをみせ、最近はより大きなムーブメントになっているこのキーワードについてもトーク。肌を出すファッションが楽しくなるこれからの季節。まるで女性の肌に体毛はないかのような“つるつる信仰”に抑圧されることなく、自分の体毛をどうするかは自分で決める。そんなマインドについて話が広がりました。

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▲かみそりやシェービングケアアイテムを販売している『Schick(シック)』の広告ビジュアル。体毛が生えた写真をシェービングブランドが広告に起用するという画期的な企画が話題に。毛がない肌=美しい、という基準ではなく、自分の意思で「なくしたい毛と残したい毛」、「ケアしたいときと、そのままにしておきたいとき」を決めることを#BodyHairPositiveのハッシュタグとともに謳っている。

「ボディヘアについていちばん敏感になるのって思春期。私が過ごしたドイツの中学や高校では、普段は自分の体毛を気にすることはなくて、みんなで海に行くみたいなイベントのときにそるくらいでした。でも、私の場合、日本に夏休みなどで一時帰国したときに“脱毛したほうがいいのかな”というプレッシャーを勝手に感じてしまって…。両親に脱毛の施術を受ける同意書にサインをお願いするのがすごく恥ずかしかったことが印象に残っています。今思えば、したいこと、したくないことを自分で決められる大人になってから考えてもよかったのかなと思います」(甲斐さん)

「もちろん、脱毛や毛をそること自体は悪いことではなくて、選択肢のひとつ。ただ、プレッシャーを感じたからとか、人の目線が気になるという理由だけで選択を促されるのは違うかなと思います。『毛がボーボーだからフラれるんだよ!』みたいなことではなく、毛をそることや脱毛の、もっと違うよさってあるはず」(みたらしさん)

「ポジティブ」とは、ありのままを受け入れること

たっぷり話したイベントの最後は、「ポジティブ」という言葉の解釈について話が盛り上がりました。

「ポジティブってカタカナで書かれると『自分のこと愛してる!』って声高らかに叫ぶイメージを受けます。でも、人にはコンディションがあるから、自分の“ここが好き”って思っていた部分が“大嫌い”になることもありますよね。そんな大嫌いな自分もハグしてあげる。“これが私の体なんだな”ってことを、善悪つけず、テンションのアップダウンの色をつけることなく受け入れるってことが、ボディポジティブやポジティブという言葉なのかなと思います」(みたらしさん)

「私にとって、ポジティブの意味は“自由でいい”とか“そのままを受け入れる、受け止める”ということ。ネガティブとポジティブという極端な二択ではなく、ただ前向きに受け入れるという意味でのポジティブのほうが自然だなと思います」(甲斐さん)

私たちが生きやすくなる言葉に出合い、そして、その言葉たちをどう自分の中に心地よく取り入れるか。そんなことを、楽しいトークのなかで改めて考えることができた時間になりました。ぜひ皆さんも、身近な人や自分自身と「話す」ことから、体・心・性に向き合ってみませんか?

国際女性デーとは?
国連により定められた国際デーのひとつで、毎年3月8日には、世界中で女性の権利や政治的・経済的参加の成果を認識する記念行事が開催されています。1908年3月8日にニューヨークで縫製労働者によるストライキが起きた際、女性労働者が労働条件の改善を訴えたことを由来として始まったといわれています。日本でもさまざまなイベントやプロジェクトを通して、ジェンダー平等や女性のエンパワメントを提唱する日として、年々盛り上がりを見せています。

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