yoiエディターのK&Tと、ライターRの3人が、個人的に「yoi!」と思うアイテムやエンタメを紹介する連載「yoiチョイス!」。第17回は、「友情マンガ」をテーマにトークをくり広げます。
♡メンバープロフィール♡
エディターT:1993年生まれ。長編大作系よりはライトに読める漫画が好み。好きなものが近い人に勧められたものを手に取ることが多い。
エディターK:1992年生まれ。小学生の頃に1970〜1980年代の少女マンガにどハマり。現在は、ジャンルも年代も問わず気になったものはなんでも読む。
ライターR:1991年生まれ。エッセイ漫画と学習漫画が好き。子どものときは、世界各国の偉人をピックアップした伝記シリーズをよく読んでいた。
70代の漫画家が描く、独居老人たちのシスターフッド
ライターR:以前、yoiチョイスvol.4で胸を打つ漫画についてトークしたときに、Tさんがおすすめしていた泥ノ田犬彦さんの『君と宇宙を歩くために』を読みましたが、たしかに1話から涙なしには読めない作品だった。
エディターT:でしょ!? “普通”ができない高校生の二人の友情譚に胸がギュッとなるよね。もうすぐ単行本の2巻が出るから楽しみ。
私が今回紹介したい作品は、現在78歳の漫画家・齋藤なずなさんの『ぼっち死の館』です。古い団地を舞台に、それぞれ一人で暮らしながらゆるいつながりを持っているおばあさんたちの物語で、新しく団地に入居する人もいれば、ある日突然孤独死してしまう人もいたり……日々の小さな喜びとか、登場人物たちの人生が細かく描かれていて、しみじみと心があたたかくなる作品です。
エディターK:(単行本をパラパラとチェック)新鮮! 老人しか出てこない。
ライターR:本当だ。高齢化が進む現代のリアルを描いた作品だね。
エディターT:そうそう。おばあさん同士のシスターフッドに、ボロボロと泣けるので読んでみてほしい。
『ぼっち死の館』齋藤なずな著/小学館
エディターK:私は、篠原健太さんの『SKET DANCE』という漫画がめちゃくちゃ好きで。学園の問題や生徒の悩みを解決してれる、通称「スケット団」の物語で、高校生の友情が素晴らしい。不登校の子を助けるために頑張る姿や、部室で話している様子に青春を感じられます。あと、この漫画はギャグも最高で、「もうお腹痛い! 無理!」となるくらい笑った(笑)。
エディターT:そんなに!?(笑)
エディターK:うん、篠原さん作品はツボ!
『SKET DANCE』篠原健太著/集英社
エディターK:もうひとつ、“笑える”友情漫画といえば、清水コウセイさんの『大森サティスファクション』もおすすめ。高校のクラスメイトである大森と澤井ちゃんのゆるゆるトークがたまらないんだよね〜。この二人みたいな心地よい関係が、友人関係の理想かも!
ライターR:表紙に漂うシュールさ! めちゃくちゃ気になる(笑)。
エディターT:可愛い〜♡
『大森サティスファクション』清水コウセイ著/集英社
エディターT:高校生二人の物語といえば、大橋裕之さんの『太郎は水になりたかった』も最高ですよ! ガイコツのような見た目の太郎と、親友のヤスシのニュートラルな関係が良い。近づきすぎないけれど、そばにいてくれる。二人のような距離感を保てたら、友人関係って長続きするんじゃないかな?と思ったり。トーチのサイト上で、何話か無料公開しているので、ぜひ読んでみてください〜。
登場人物の真っ直ぐさに胸を打たれる友情漫画
エディターK:私は友情・努力・勝利を描いたアツい漫画が好きで、個人的に『バクマン。』(原作・大場つぐみ、作画・小畑健)は、そういった作品の代表格! 高い画力を持つ真城最高と、文才に長ける高木秋人がコンビを組み、プロの漫画家を目指す作品です。
ライターR:たしかに主人公の二人が同じ夢に向かって、ひたむきに努力する姿は胸がアツくなる。一緒に同じ方向に向かって走る仲間がいるってすごく幸せなことだよね。
『バクマン』小畑健 漫画、大場つぐみ 原作/集英社
ライターR:私たちが小さいときに流行った友情マンガといえば、『GALS!』(藤井みほな著)じゃない? 渋谷最強のカリスマギャル・寿蘭と、その友達の美由、綾の友情がアツい。ちゃんとぶつかり合う3人のような関係性に憧れたな〜。
エディターT:懐かしい〜! 私たち世代は、みんなが通ってると言っても過言じゃないくらい当時人気でしたよね。
エディターK:うん、高校時代を描いた『GALS!』が2002年、大学時代を描いた『GALS!!』が2022年に終了したんだけど、その続きを描いた『GALS!!アンソロジー』を藤井みほな先生がクリエイターズマーケットの「BOOTH」で販売されていて。毎回発売されるたびに買って読んでる!
ライターR:続編の存在は知らなかった! チェックしなきゃ。
『GALS!』藤井みほな著/集英社
リアルな心理描写で支持される漫画家が描く“友情”
ライターR:私が最近、知人におすすめされて読んだおかざき真里さんの『かしましめし』は、独身アラサーの私にグサリと刺さる一冊だった。物語の主人公は、同級生の自死をきっかけに再会した、人生につまずいたアラサー男女3人。彼らが同じ食卓を囲み、ままならない日々を生きていく様子を描いています。3人がほどよい距離感を保ちつつ、お互いを支え合う姿が理想的で! 私も大切な仲間とこういった関係を築いていきたいなと思いました。ちなみに、作中に出てくる食べ物がすべておいしそうで、レシピも載っているので、今度友達と一緒に作ろうかな〜なんて(笑)。
エディターT:やっぱりいい友人関係には、ほどよい距離感って大切ですよね。
ライターR:ほんとにそう。今になって振り返ると、10代〜20代前半の時は、そこを見誤って、友人関係が破綻したこともあったし、そのたびに、「一体、友情って何だろう?」と悩んでいたかも。
『かしましめし』おかざき真里著/祥伝社
エディターK:そんなRさんみたいに、「友達って何だろう? 友情って?」とモヤモヤしたことがある/している人には、6つの友情のあり方が描かれた、谷口菜津子さんの『うちらきっとズッ友―谷口菜津子短編集―』を読んでほしいかも。
ライターR:(しばらく熟読)おもしろいし、友情の形って多様なんだと改めて気付かされた。特に、違和感を感じる相手とは、無理に付き合う必要ないということを描いたエピソードが刺さりました。
『うちらきっとズッ友―谷口菜津子短編集―』谷口菜津子著/双葉社
エディターK:あと、友情漫画といえば、よしながふみさんの「フラワー・オブ・ライフ」も。白血病治療のため、1年1ヶ月遅れで高1になった主人公が、個性豊かなクラスメイトや先生と共に過ごすスクールライフを描いています。思春期の心のすれ違いが、すごくていねいに描かれていて胸がキュッとなります。
エディターT:よしながさんの作品は、どれも心理描写が素晴らしいですよね。
ライターR:たしかに。この作品は読んだことがないので、読んでみるね!
『フラワー・オブ・ライフ』よしながふみ著/白泉社
エディターK:今日も積読が増えた(笑)。では、今回はここまでにしましょう。
全員:それでは、また次回〜!
文/海渡理恵 企画・編集・イラスト/木村美紀(yoi)