2024年10月から、「yoi」と集英社の7つのファッション・ビューティマガジンのコラボコンテンツ「集英社yououriプロジェクト」がスタート。ここでは「yoi」と「MEN’S NON-NO」コラボによる、「男性のモヤモヤ座談会」をお届けしていきます。第2回のテーマは、男性が多く抱えるお悩み「薄毛」の治療、AGAについて。yoi編集部員木村とMEN'S NON-NO編集部員の山口が、3人の薄毛治療中の男性を迎えてトークします。
「集英社yououriプロジェクト」とは?
2024年10月から、「yoi」と集英社の7つのファッション・ビューティマガジンのコラボコンテンツ「集英社yououriプロジェクト」がスタート。「yoi」の理念である「you(あなた)とi(わたし)でour(わたしたちの)社会を創る」のもと、yoi編集部と各媒体の編集者がエンターテインメント性と社会的意義やウェルネスを両立するコンテンツを創出します。「Seventeen」「non-no」とのコラボは今どきの高校生と大学生のインサイト、「MORE」「BAILA」とは働く女性のウェルネス、「MAQUIA」「SPUR」とはフェムテック、「MEN’S NON-NO」とは男性のモヤモヤをテーマにお届けします。
yoi編集部
入社11年目のエディター。入社9年目までは、「MEN'S NON-NO」編集部で勤務していた。「yoi」に異動してからの2年半で、ジェンダーや社会問題への関心がますます高まっている。
メンズノンノ編集部
入社10年目のエディター。入社以来在籍していた広告部から、昨年「MEN'S NON-NO」編集部に異動。20代前半のモデルと読者に囲まれながら、ファッションだけでなく彼らのジェンダー観も勉強中。
座談会の参加者はこちらの3名!
Aさん
93年生まれ。東京都在住。仕事はIT関係。人材系の会社に勤務。AGAの薬は「抜けるのを遅らせる・止める薬(フィナステリド)」と「毛を生やす薬(ミノキシジル)」の2種類を服用。
Bさん
92年生まれ。東京都在住。大学卒業後に国家公務員として働いたのちに転職し、現職はコンサルタント。AGAの薬は「抜けるのを遅らせる・止める薬(フィナステリド)」のみ服用。
Cさん
93年生まれ。東京都在住。長年勤務した会社を辞め、ベンチャー系の会社を立ち上げた。AGAの薬は「抜けるのを遅らせる・止める薬(フィナステリド)」と「毛を生やす薬(ミノキシジル)」の合剤を服用。結婚し、子どもが1人いる。
周囲の人との情報共有が、治療や対策に役立った
木村 男性によくある悩みとして認識されている「薄毛」ですが、最近はyoi読者の女性からも悩んでいるという声を聞きます。まずは最初に薄毛が気になり出したのはいつ頃からか、教えてください。
Aさん 学生時代から、仲のいい友達には髪の薄さをいじられるくらいではあったので、気になり出したのはずいぶん前です。軽いジョークのひとつとして受け止めていたので、悲観したり暗い気持ちになることはありませんでしたが、本格的に気にするようになったのは、28歳の頃。職場の30代前半の男性が“シャワーを浴びているときに髪がすごく抜ける”とか、“枕に髪の毛がたくさんついてる”なんて話をしていたので、そろそろ気にしないといけないタイミングなのかなと。
Bさん 自分はもう少し早くて、社会人になって3年目くらいでした。頭頂部は大丈夫だったけど、前頭部が昔に比べると薄くなってきたかなと思ったのが最初です。
Cさん 僕もBさんと同じくらいで26〜27歳頃です。なんとなく抜け毛が増えてきたかなと思って頭頂部を確認したら少し薄くなっている気がして。当時の職場の同僚がAGAの治療をしていたこともあり、AGAに興味を持ったのも同時期です。
木村 職場の方々と、薄毛についての悩みや対策法を気軽に共有できる環境があるのですね! まわりの人から体験談を聞けると、知識が増えそうです。皆さんは、最初はどのような対策をとられたのですか?
Aさん 市販の育毛剤を使ってみました。
Bさん 自分はシャンプーとコンディショナーを育毛効果のあるものに変えました。市販の育毛剤も並行して使ったのですが、面倒くさくなって2カ月くらいでやめてしまいました。
Cさん 僕はセルフケアはせず、最初からAGAのクリニックに行きました。
Aさん AGAの治療は早めに始めたほうが効果が出ると言われているので、Cさんが正解だったと思います。私は結局、市販の育毛剤では効果を感じられず1カ月くらいでやめて、そのあとしばらく何もしませんでした。友人であるCさんが治療を始めたという話を聞いて、薄毛治療を始めました。
木村 皆さん、周囲の人との情報共有が、治療へとつながっているんですね。“AGA治療”と聞くとハードルが少し上がる気がするのですが、抵抗はありましたか?
Aさん それはありませんでした。年齢を重ねることで生まれる生理現象のひとつくらいの感覚だったので。対策するのも自然なことでした。
Bさん 薄毛対策が“病気治療”という感覚は特にありませんでした。遺伝でいつかなるもの、と思っていました。
Cさん 僕も同じくです。病院に行くことに対しても抵抗はありませんでしたね。
Aさん Bさんの言うように、薄毛が遺伝することはやっぱりありますよね。うちの母方の祖父が薄毛だったので、薄毛は隔世遺伝するとも言うし、以前から気にしてた部分はあるかもしれません。
Bさん 自分の場合は母方の祖父も父方の祖父も両方薄毛だったんです。それからもうひとつ、父親の若い頃の写真を見ていたとき、30代はフサフサだったのに40代になったらかなり薄くなっていたので、同じ運命をたどるのかなって不安になったことをよく覚えています。
Cさん うちの場合、父親はそこまで気にならないけれど、父方の祖父が薄毛でしたね。
木村 遺伝以外にも薄毛の原因として、生活環境の乱れも大きく影響すると言われていますが、そう感じることはありますか?
Aさん あります。僕は脂っこい食べ物が好きで夜遅くに食べることがあるので、少なからず影響しているんじゃないかなと思います。あとは睡眠の質が落ちてきていて快眠できないのもよくない気がしています。
Cさん やっぱり仕事が忙しくなると体力的な面だけでなく、ストレスがたまって熟睡できなくなるからね。
Aさん Cさんは会社員だった頃より独立した今のほうがストレスは感じなくなりましたか?
Cさん そうですね。会社員だった頃は、週に2回、東京から大阪まで新幹線で移動していたので、その頃に比べればストレスは格段に減りました。
Bさん 自分はAさんと同じく、食生活の乱れが気になります。自分は今のところ、栄養のバランスを考えた食事はできていません。数年後にどう影響が出るかが心配なので、早めに整えたいとは思っているのですが、なかなかできないのが現状です。
山口 僕は今のところ薄毛を自覚することはなかったのですが、快眠できることが少なかったり、脂っこい食事を摂ってしまいがちだったりと「生活環境の乱れ」については思い当たることしかないので、体調という観点はもちろん薄毛の原因になるという観点でも気を付けたいなと思いました。
オンライン診察で人の目を気にせず治療ができる!
木村 AGA治療のクリニックは、どのような基準で選んだのですか?
Cさん WEBの比較サイトの中からよさそうな病院を選びました。最初は対面で診察してくれる病院を選んだのですが、オンラインで治療をしている病院があるということを知って切り替えました。
Aさん 私も最初はテレビCMで見た対面診察の病院を選びました。その後、Cさんからオンライン診察をしてくれる病院があるということを聞いて、オンラインに切り替えました。
Bさん 自分もオンライン診療です。最初の診察だけ受ければ、決まった薬を飲み続けるだけなので、わざわざ病院に行かなくても薬を定期配送でもらえる手軽さがいいんですよね。もちろん診察してほしいと要望を出せば、オンラインで診察をしてもらうこともできるので安心感もあります。
山口 確かに、オンラインなら格段に手軽ですよね。病院に入っているところを知り合いに見られたら…なんていう心配もない。皆さん、最初の診察では、どんなことを伝えたのですか?
Aさん こちらの悩みに応じた薬を処方してくれるので、私は抜けるのを予防しつつ、今後のことを考えて増毛もしたいと伝えました。
Bさん 自分も最初は両方ともお願いしようかと考えたのですが、診察のときに増毛の薬は体毛が濃くなる可能性があると聞いたので、予防の薬だけにしました。
山口 普段メンズノンノの仕事で接している若い男子は脱毛意識がすごく高いので、彼らが今後AGA治療をするとなったときには悩ましい副作用になりそうです。Aさんはその副作用の話も知ったうえで飲んでいるのですか?
Aさん そうですね。実は私、脱毛もしているので、体毛が増えたり濃くなったりすると聞いて、正直迷いました。でも数パーセントしか起こらないとのことだったので、それなら大丈夫かなと思い踏み切りました。
山口 実際に体毛が濃くなった感覚はありますか?
Aさん 腕の毛がなくなりにくくなった気はしています。濃さや長さは変わらないです。
木村 脱毛とAGA治療…相反する治療を並行して行っているのですね!
Aさん よく言われます(笑)。ないものねだりなのはわかっているのですが、両方諦めたくないので続けています!
Cさん 僕も予防と増毛、両方したいと伝えて飲み始めました。Aさんと同じく、脱毛をしていた経験があるのですが、体毛が濃くなってきたので僕は脱毛するのをいったんストップしました。
山口 それ以外の副作用はありましたか? 増毛の薬を飲むと「初期脱毛」が起こるという話を聞いたことがあるのですが。
Aさん 初期脱毛、ありました! シャンプーをしているとき指の間に髪の毛がごっそり絡まって、抜ける薬を飲んでいるのか!? って思ったくらいです。でも1カ月くらいでおさまりましたよ。
山口 そんなに!? 髪の毛が減っている感覚はあるのですか?
Aさん それが意外とないんですよね。髪に触れると普通にあるので、洗っているときだけ抜けている感覚があるんです。
Bさん 自分は予防だけだから初期脱毛はなかったけれど、増毛の薬は毛が生える周期を整えるために毛が抜けるのかな?
Cさん きっとそうですね。僕も初期脱毛はAさんと同じ感じでした。
手軽だけれど終わりがない治療だという認識を持って始めるべき
木村 AGAの治療は終わりがないとも言われていますが、皆さんは薬を飲み始めてからずっと続けているのでしょうか?
Bさん 欠かさず続けています。
Aさん 私は最初の頃は毎日飲んでいたのですが、今は自己判断で2日に1回に減らしています。この年齢だったら回数を減らしても維持できるのでは?と思って。
Bさん それって効果はどうなんですか?
Aさん 3年くらい減らし続けているから、効果は薄れてきている気はするけれど、飲んでいないよりはマシかな(笑)。
Cさん 実は僕も薬を飲むのをやめたら本当に生えなくなるのかと疑問を持って、1年くらいやめた時期があるんですよ。
Bさん え! どうだったんですか?
Cさん 元の状態に戻りました(笑)。もう永遠に飲み続けるしかないのかと諦めて再開しましたよ。
Aさん 再開してどれくらいで生え始めましたか?
Cさん 結局、半年くらいかかりました。しかも1回目より生えるまでに時間がかかったので、早めに始めること、続けることは大切なのだと身をもって実感しました。ちなみに初期脱毛は2回目でも起こりました。
Aさん それを聞くと治療をやめるという選択肢は絶対にないですよね。
木村 薬代はどれくらいかかるのですか?
Aさん 私は3カ月分を処方してもらって3万円ちょっとです。
Bさん 自分は予防の薬を1種類、1カ月ごとに処方してもらって、4000円くらいです。これくらいの金額だと負担にもならないですし、続けやすいですよね。
Cさん 僕は3カ月単位で購入していて、直近だと27,850円でした。予防と増毛の合剤なので少し高めなのかもしれないけれど、もう少し安いとありがたいです。
木村 保健適用外の薬だと思うのですが、クリニックによって金額の差はあるのでしょうか?
Bさん あまり差があるとは聞いたことがありません。
木村 AGA治療を続けて、髪が増える以外のメリットは感じますか?
Cさん 鏡を見たときに以前よりは気にならなくなったことで、自信とまではいかないけれど、やってよかったなとは思います。
Aさん 髪の毛を維持することができるから、安心してパーマをかけられることでしょうか(笑)。
Bさん 確かに! 抜け毛が減ったことで、髪に負担がかかることを多少しても大丈夫っていう気持ちにはなれますね。定期的に白髪染めをしても安心です(笑)。
Aさん 髪が増えるだけでなく、立ち上がりもよくなるので、AGAの治療に興味がある人は試してみる価値はあると思いますよ。
Bさん 薬を使うとそれなりに効果は感じられるし、気になったら診察だけでも受けてみるのもいいかもしれません。
Cさん 二人の言うように気軽に始めることに異論を唱えるわけではないけれど、やめられなくなるリスクがあることを認識したうえで始めたほうがいいと思います。
木村 確かに、お金も時間もかかる治療ですしね…! でも、心理面でもよい効果があり、「やってよかった」と思えたという言葉は、薄毛問題で悩んでいるかたの励みになりそうです。
イラスト/喜田なつみ・MIDORI KOMATS(木村と山口の似顔絵) 取材・文/菊池美里 企画・構成/木村美紀(yoi)・山口 朗(MEN'S NON-NO)