圧倒的なビジュアル力で二つの”かわいい”を表現したメイクアップアーティストのTamayo Yamanotoさん。熟した果実を思わせる大人な表情と、春の芽吹きを連想させるピュアな顔、それぞれのメイクに隠されたテクニックやアプローチを徹底解説します。

Tamayo Yamamoto

メイクアップアーティスト

Tamayo Yamamoto

美容専門学校を卒業後2015年に渡英し、世界的なメイクアップアーティストNami Yoshida氏に師事。各国のコレクション現場を数多く経験し、独立。ロンドンにてあらゆるエディトリアルや広告を担当する。2022年に帰国。現在は国内外の数々のクリエイティブに携わり、ファッションとビューティの第一線で活躍を続ける。俳優、モデル、セレブリティからも信頼を獲得。繊細なテクニックと気品あるムードに裏打ちされたインパクトのあるビジュアル作りに定評がある。

LOOK1:あえてまだらに作ったダークローズの目元でグラマラスなムードを放つ

メイクアップ、THREE、アディクション、BYREDO、ディオール、シャネル


1 肌になじませるとクリーミィな質感からパウダリーに変化。スパイシーなイエロー。グラムトーンカラーカスタード 031 ¥3300/THREE 2 目元はもちろん、頬や唇にも使えるマルチカラー。深みのあるダークローズ。アイシャドウ ティント 002T ¥2530/アディクションビューティ 3 ヴィーガンブレンドのオイルを採用したフォーミュラ。ビニールのようなツヤ感をあらゆるパーツで楽しめる。リキッドリップスティック ヴァイナル ファントム ¥7620/バイレードジャパン 4 見たままの発色とみずみずしいツヤを両立。豊富な美容液成分がふっくらボリューミィな口元を叶える。ディオール アディクトリップマキシマイザー 020 ¥4730/パルファン・クリスチャン・ディオール 5 上質な輝きと美しい色づきを両立したルミナスサテンの仕上がり。スキントーンとなじむピーチベージュ。シャネル ルージュ ココ 102、6 温度感を感じるウォームベージュ。同 106 各¥6270(発売日未定)/シャネル 

Tamayo Yamamoto、メイクアップ1

ベスト¥39600/ サカス ピーアール(mukcyen)03-6447-2762 ピアス/スタイリスト私物

▼LOOK1 Make-up Tips

柘榴や桃など熟れた果実のもつはかなくもセンシュアルなムードを、目元を中心に表現したメイクアップ。左右対称に作り込もうとせず、それぞれの角度によって生まれる個性の違いを生かしながらメイクを仕上げている。

まずは主役となる目元から。最初にイエローの(1)をアイホール広めに入れたら、今度はダークローズの(2)を二重幅の5ミリ程度上まで広げる。最後にクリアなグロス(3)をランダムにのせ、色をあえてぼかす。

「(1)(2)は共にマルチカラーなのでブラシではなく指先で。(2)のダークローズはしっかり色が際立つように、目を開けた状態で二重幅より気持ち広い範囲に色をのせました。その後、ダークローズのエッジを何もついていないブラシを使ってアーチを描くように左右に動かしてぼかし、一度まぶたの上を均一に。そのうえで、今度は同じブラシに再び(2)を取り、まぶたにランダムに置いて、あえてまだらな感じを演出しました。それをヴィニールのような質感の(3)を使ってぼかすことで、天然の果実から漂う妖艶なムードをよりリアルに表現しています」(Tamayoさん、以下同)

チークは(1)を頬の中央から耳元に向かって斜めに入れ、少しだけシャープな印象に。口元は、(5)と(6)でベースを作り、最後に(4)でジューシーに仕上げる。

「ここではまずローズのニュアンスがある(6)で唇に血色感を仕込み、そこに目元に入れた(1)と色がリンクする(5)を重ねています。さらに(4)を重ねてツヤ感をプラスし、最後にティッシュオフして光を調整しました」

LOOK2:春の訪れを礼賛するようなカラフルな色使いを心地よくまとめて

コスメティックス、エルメス、アディクション、インウイ、ポール&ジョー、セルヴォーク、RMK

1 肌へと溶け込みソフトフォーカスされたような印象に仕上げるリキッドチーク。 イノセントな青みピンク。ザ リキッドブラッシュ フォギー 001 ¥3740/アディクション ビューティ 2 光の反射をコントロールし、うるみのある唇に。透け感のあるピンク。インウイ リップ 14 ¥5060(4月21日限定発売)/資生堂 3 厚みのあるツヤ膜で唇をコート。グロッシー ルージュ 04 ¥3300/ポール & ジョー ボーテ 4 (上から)メイクの可能性が広がるあらゆるニュアンスを秘めたシングルアイシャドウがこの春新たに登場。ゴールドのパールが輝くモスグリーン。インフィニシェイド シングル アイシャドウ 11、多幸感をあふれる目元を演出するコーラルピンク。同 13 各¥3080/RMK Division 5 (上から)やわらかな描き心地でどんなラインも自在。マラカイトに着想を得たグリーン。トレ ドゥ エルメス クレヨン ユー 57、 目元の印象に深みを与えるパープル。同 56、インテンスに色づく爽やかなブルー。同 27 各¥6820/エルメスジャポン 6 見たままの発色が実現するカラーマスカラ。汗、水に強いパワープルーフ処方。アニヴェン カラーリングマスカラ サンドベージュ ¥1760/YSI 7 まなざしに春のニュアンスを宿すアイライナー。シュアネス アイライナーペンシル 17 ¥3080/セルヴォーク 

Tamayo Yamamoto、メイクアップ

トップス¥11900/デシグアル 東京 銀座中央通り(Desigual)03-6264-5431 イヤカフ/スタイリスト私物 

▼LOOK2 Make-up Tips

ふたつ目のルックは、最初とは打って変わってイノセントなムード全開のメイク。かなりの色数や花びらのパーツというギミックを使っていながらも、すべてが心地よく整理され、表現したいことがダイレクトに伝わってくるメイクに仕上げているのが実にTamayoさんらしい。

こちらもまずは目元から。上下とも黒目の中心を境界線に左右でカラフルなラインを。上まぶたは黒目の内側に(5・上)のパープル、外側に(5・中央)のグリーンを。下まぶたは黒目の内側が(5・下)のブルー、外側は(7)のピンクを。さらにまつ毛に(6)のマスカラをたっぷりのせる。

「カラフルなアイラインは幅は出さず、その代わり目元の粘膜にしっかり入れてヴィヴィッドに発色させています。(6)のベージュのマスカラを使ってまつ毛の黒の印象を消し、そこに花びらのパーツを。涙袋やまつ毛の先端にランダムに置いて、可憐なムードに」(Tamayoさん、以下同)

ここでさらにアイシャドウをプラス。アイホールに(4・下)のピンクを、二重幅にカーキの(4・上)をふわりと。

「最初はアイラインだけで仕上げるつもりだったんです。でも実際に作ってみると、アイメイクが表情になじんでなくて。アイシャドウという”面”で色を追加して、春らしさへのアプローチを増やしたって感じです」

チークはリキッドチークの(1)を頬骨の中央 に丸く。口元は(2)を全体に塗った後、(3)でみずみずしさを加えている。

「チークと唇は本来の血色感をふわっと底上げしてあげる程度で。ふわっとフォギーに発色するリキッドチークやジューシーに色づくリップで、アウトラインを感じさせずに内側から湧き上がるような春の高揚感が出せればいいなと思いました」

YSI 03-6452-5491
RMK Division 0120-988-271 
アディクション ビューティ 0120-586-683
エルメスジャポン 03-3569-3300
資生堂 0120-81-4710
シャネル 0120-525-519
セルヴォーク 03-4332-1718
バイレードジャパン 03-6450-5873
ポール & ジョー ボーテ 0120-766-996

Mona Kawasaki

モデル

Mona Kawasaki

TOMORROW TOKYOI所属。国内外のマガジンで数多くのカバーを飾る今最も注目されているモデルの一人。178cmの長身を生かし、ショーでも活躍。クールで大人びた表情が印象的だが、チャーミングで等身大な一面も。

撮影/Kodai Ikemitsu(モデル)、Mai Shinya(製品) メイクアップ/Tamayo Yamamoto ヘア/Waka Adachi スタイリスト/midori モデル/Mona Kawasaki 構成・取材・文/前野 さちこ