(写真右から)薬剤師の小佐野美紀さんと、店頭事務スタッフの並木わかなさん。
2019年11月に誕生した、アイセイ薬局のヘルスデザインブランド『KuSu(クス)』。入浴剤やハンドクリームは、yoiのスタッフも実際に使ってみてたちまち大ファンに。そのルーツとなったのは、調剤薬局を訪れる患者さんと交わした年間860万件*2もの対話でした。日々たくさんの悩みに耳を傾ける薬剤師やスタッフ、そしてブランド開発者。それぞれの胸のうちにある『KuSu』への思いについてお話を伺いました。
*アイセイ薬局グループ:20年2月29日時点 *2 アイセイ薬局グループ処方箋受付数 19年3月1日~20年2月29日
現場で見えてきた、患者さんのリアルな悩み
小佐野さん:私たちが在籍する店舗は同じフロアに小児科や美容皮膚科などがあり、患者さまは20〜40代の女性が中心です。新型コロナウイルス感染症によって生活スタイルが変化してからは、肌トラブルのなかでも「マスクかぶれが治りづらい」といったご相談を受けることが増えました。
並木さん:マスク生活にまつわる悩みは本当に増えましたよね。50〜60代の方からは、顔がほとんど隠れる状態とはいえ「ノーメイクではちょっと不安。でも、マスクの内側が汚れてしまうのも気になる」というお悩みを伺うことも多いです。
小佐野さん:肌トラブル以外にも、家での時間が増えた分、体を動かす機会が減ったことで「めぐりが悪くなっているのを感じる」というご相談も多い気がしますね。
並木さん:そうですね。今までとは違う不調に戸惑っている方も多いと思うので、「KuSu」の商品の前でしばらく立ち止まっている方がいると「何かお悩みがあるのかもしれない」と思ってお声がけするようにしています。
一人一人と向き合い、具体的な提案を
小佐野さん:並木さんは「メイクしたいけどマスクの汚れが気になる」という方にどんなご提案をしているの?
並木さん:肌のくすみを気にされている方が多いので、ほんのり肌をトーンアップしつつマスクにつきにくい「KuSu 日焼け止めクリームPP Pro トーンアップベース」をおすすめしています。「これまで、日焼け止め特有の香りや肌の乾燥が気になって使いつづけられなかった」という方には、サンプルを手にのせてつけ心地を体感していただいたり。1回あたりの量や使える部位、塗る頻度やクレンジングの必要性などについてもお伝えするようにしています。
小佐野さん:体感していただくのはすごく大切ですよね。私も、めぐりの低下を気にされている方に「KuSu 薬用入浴剤 生活の木 フレッシュフローラルの香り」をご紹介するときは、冷え性に効果的な有効成分の説明だけでなく、「香りがとてもいいので、ストレスケアやリラックスにもつながりますよ」とお話しします。1回量がたっぷり入っているので、使うことで自分をいたわっている実感も得られやすいですし。
並木さん:「KuSu CICAリペアクリームPro」も、ラベンダーとベルガモットの香りがすごくいいですよね。私自身、心地よい気分で使えるだけでなく、成分にも納得して使えることやベタつかない使用感など、リアルな感想も患者さまにお伝えするように心がけています。
小佐野さん:香りといえば先日、日帰り手術を控えた女性が「手術前に気分を上げたいから、いい香りのするハンドクリームや入浴剤を使いたい!」とおっしゃって。店頭でのこういった対話にはたくさんのヒントがあると思うので、開発者と共有したり、社内掲示板のコメント欄に書き込んで他店の社員とシェアしたりしています。『KuSu』というブランドをきっかけに、患者さまと心身の悩みやライフスタイルといった薬以外のお話をする機会が増えたことで、関係をより深められている気がしますね。
実際に『KuSu』に触れたユーザーからの声
並木さん:2種類ある日焼け止めクリームはどちらもリピート率が高いアイテム。「ほかの日焼け止めとは違うね」「また買いに来たよ」とお声がけいただくと、本当に気に入ってくださったんだなとうれしくなります。
小佐野さん:「入浴剤を入れたらすごく温まりました」「ハンドクリームはベタつかないから使いやすい」といった感想もよくいただきます。実は『KuSu』のアイテムは、試作段階から使い心地や香りについて私たち現場スタッフにアンケートをとりながら製品化しているんです。そのせいか、香りのあるアイテムをご紹介すると第一声で「いい香りがしますね!」と喜んでくださる方が多いですね。
並木さん:自分たちでしっかり試したうえで自信を持っておすすめできるのは、自社ブランドならではの強みですよね。患者さまに『KuSu』をご紹介すると「アイセイさんが作っているなら安心」というお言葉をいただけるのも本当にうれしくて。
小佐野さん:私たちを信頼してくださっているからこそ、本当にいいものをご提案したいと思います。スタッフとも「患者さまが買いやすいもの、手に取りやすいものってなんだろう」と話すようになりました。アンケートに記入するときも、香りや使い心地の感想を伝え合ったり。そこからスタッフ同士のコミュニケーションにもつながっています。
知ればもっと好きになる。製品へのこだわり
KuSu ハンドクリーム プロ 40g 1,280円(税込)/アイセイ薬局
ーー現場スタッフの思いが形になったブランド『KuSu』。では、そもそもどんな思いで立ち上げたのか、製品にはどのようなこだわりが詰まっているのか、発足から開発に携わってきた、ブランドマネージャーの鈴木直哉さんにお話を伺いました。
鈴木さん:『KuSu』は立ち上げから「暮らしをすこやかにする薬(くす)師のような存在でありたい。使う人に、くすっと笑みがこぼれるような日常を過ごしてほしい」という思いで製品を作ってきました。日々、患者さまから寄せられるお悩みに向き合うなかで見えてきたのは、多くの女性が40代になると心や体の不調が顕在化しやすい傾向にあるということ。誰かのため、何かのために力を尽くすあまり、自分のケアが怠りがちになってしまう…そんな人の暮らしに寄り添い、助けになるような提案をしたくてこのブランドを立ち上げました。
ーー商品開発のこだわりは、患者さんに寄り添う現場スタッフが「本当にいい」と思えるものを商品化すること。第1弾で発売された『KuSu ハンドクリーム Pro』も、頻繁な消毒や手洗いで手荒れに悩む現場スタッフの声から生まれたそう。
鈴木さん:改良を重ねて完成した3種類の試作品を2500人のスタッフに配布してアンケートを実施し、選ばれたものを製品化しています。お湯も弾く撥水性となめらかさを兼ね備えたウォーターインオイル(W/O)処方で、患者さまはもちろんスタッフにもリピーターが多いアイテムになりました。
ーー昨年12月に発売された『KuSu 薬用入浴剤 生活の木 フレッシュフローラルの香り』は、コロナ禍によるおうち時間の増加に伴い「手軽にリラックスタイムを充実させるアイテムを」という声から開発がスタート。パウダー状の入浴剤ですが、当初はタブレット型で開発を進めていたのだそう。
鈴木さん:香りは、アロマのプロフェッショナルである『生活の木』に、オリジナルブレンドで3パターン調香してもらいました。100人ほどのスタッフにサンプルを送り、その中からゼラニウムベースの香りに決まったのですが、「香りの持続力が弱くて、自分のあとに入った家族は香りを楽しめなかった」という声が上がったんです。すでに開発は最終段階へ向けて進んでいたものの、スタッフが胸を張ってすすめられないものはリリースできません。勇気がいりましたが、形状を変えて作り直す決断をしました。
ーー誕生から3年目を迎えた「KuSu」を支えるのは、こうした現場の真摯な姿勢。妥協せず、工夫を重ね、今では9アイテムがラインアップ。
鈴木さん:「くらし、すこやか」というキャッチフレーズの通り、一人一人の暮らしに寄り添い、体の悩みや心のケアをそっと支える存在になれたらうれしいですね。これからも、現場の声を生かしながら商品開発を続けていきたいと思います。
Information
●お問い合わせ/アイセイ薬局グループ
TEL:0120-542-747 HP:https://kusu.aisei.co.jp/
撮影/藤澤由加 取材・文/国分美由紀 企画・編集/種谷美波(yoi)