すり傷や切り傷ができたらまずは消毒。
鼻血が出たらティッシュを詰めて上を向き、首の後ろをトントン。
捻挫をしたら包帯やテーピングでしっかり固定。

切り傷や鼻血、捻挫、やけど、突き指…ふだんの生活の中で起こるちょとしたケガに、なんとなく昔からしてきた、こんな(↑)応急処置をしていませんか? 実は最新の医療においては、上記の手当は全部NGなんだとか! え、ちょっと待って…じゃあどんな手当なら正解なんでしょう?

子どもの指に絆創膏を貼るイメージ写真

5月5日の「キズケアの日」に向けて、絆創膏ブランドの『バンドエイド® キズパワーパッドTM』などを販売する「ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニー」が、現在最も適切といえる“傷ケアの正しい知識”を伝えようと、傷ケアに関する意識調査*を実施。その調査結果に基づいて、専門家の監修で正しい知識をまとめた一覧表を公開しました。

どれどれ…と見てみると、自分の知っている応急処置は、どれもアップデートが必要なものばかり。そのなかでも、ぜひ知っておきたい「応急処置の最新知識」をピックアップして以下にご紹介します!

*「傷の手当てに関する意識調査」調査日:2022年4月11日 調査対象:全国に住む20~70代の男女各30名ずつ、合計180名 調査実施会社:アイブリッジ株式会社 調査方法:インターネット調査


あなたはどれだけ正解できる? 応急処置の最新知識

●切り傷、すり傷ができたら?
昔は…:オキシドールでまずは消毒
今は…:ほとんどの場合は消毒不要。水道水で洗って
以前は、オキシドールなどの消毒液で傷口を消毒し、さらにヨードチンキなどを塗ってカーゼで傷口を覆ったりしていましたが、現在は、消毒はせず、水道水で傷口を洗い流すのが正解。消毒液による消毒は、一定時間しか
持続せず、逆に体液の働きを弱めて治りを遅くしてしまうのだとか。また、傷口を乾燥させてかさぶたをつくると、感染や化膿を引き起こす原因になる場合もあるので、傷を乾かさず、自然治癒力を活用する「湿潤療法(モイストヒーリング)」が期待できる絆創膏を使うのがおすすめ。痛みをやわらげ、早くきれいに治すことができます。

ちなみに、今回の意識調査では、「傷ができたら消毒すべき」だと考えている人がなんと82%。さらに、一般的によく見る「肌色タイプの絆創膏は傷口を保護するためのもので、治癒する効果はない」ことを知らなかった人は42%と、半数近くにのぼりました。みんな知識のアップデートが必要みたい!

●鼻血が出たら?
昔は…:ティッシュを鼻に詰めて上を向く
今は…:小鼻をつまみ、座って下を向く
調査によれば、「鼻血が出たら鼻をつまんで上を向く」と回答した人が61%! でも、上を向くと、血を飲み込んで気持ち悪くなったり、血が流れ込んで気道をふさいでしまうこともあるので、「小鼻をつまみ、座って下を向き、目と目の間の額を冷やす」のが正しい対処法です。横になるときも顔は下向きに。この方法で、5分ほどで鼻血は止まるのだそう。

●やけどをしたら?
昔は…:耳たぶを触る。アロエを塗る
今は…:すぐに流水で20分ほど冷やす
耳たぶ程度の冷たさでは冷却効果なし。すぐに流水で冷やすのが鉄則です。顔や頭にやけどを負った場合は、濡れたタオルや、タオルで巻いた保冷剤、氷などを当てて。20分ほどしっかり冷やすのが目安ですが、子どは体表面積が小さく、冷やしすぎると体温低下を引き起こしやすいので、クーリングは15分以内に。また、アロエの皮の成分(シュウ酸カルシウム)は、やけどした皮膚を刺激して治りが悪くなることもあるので注意が必要です。

●捻挫したら?
昔は…:湿布を貼って、包帯やテーピングで固定
今は…:氷でアイシングをして添え木で固定
捻挫をしたら氷でしっかりアイシングを。調査では「湿布を貼る」という対応を選んだ人が55%以上と大多数でしたが、湿布では冷却不足の場合もあるので氷がベスト。また、テーピングした患部は膨張してくる場合があり、きつく固定してしまうと循環障害のおそれがあるので、添え木で固定して安静に。

●突き指をしたら?
昔は…:指を引っ張る
今は…:触らず、氷水に指を入れて冷やす
整形外科医が、診断のうえで骨折や脱臼を整復するため指を引っ張ることがありますが、正確な診断を行わないまま一般の人が指を引っ張るのは、新たな損傷を加えるおそれもあるのでとても危険。突き指した指は、洗面器やビニール袋などに入れた氷水に直接つけてしっかり冷やしましょう。

家族のために保存しておきたい「応急処置の新常識」一覧表

応急処置の新常識1

応急処置の新常識2

今回、「ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニー」が作成した「応急処置の新常識」一覧表がこちら。ピックアップしてご紹介したもののほかに、あかぎれや虫刺され、靴擦れ、打撲、熱中症などの対処法も掲載されているので、ぜひ全部をチェックしておきたいもの。

同社と共同でこの一覧表の監修、解説にあたった小児救急看護認定看護師の野村さちいさんによれば、ここ数年はクリニックを訪れる子どもの受診理由も変化してきているそう。「コロナ禍によるステイホームの環境の中で、子どもの生活や遊びも 変化し、家庭での事故・ケガの種類も多様化しています。新たないいものは 積極的に取り入れ、情報のアップデートが必要です。 今と昔の治療法を比較することで、正しい治療法を家族全体で理解し、もしもの事故・ケガの際に正しい対処をできるようにしていただきたいと思います」(野村さん)

気温が上がり、アウトドアで過ごす機会も増えるこれからの季節、最新常識を身につけて適確な傷ケアを!

野村さちいさん

小児救急看護認定看護師

野村さちいさん

「つながる ひろがる 子どもの救急」代表、「竜美ケ丘小児科」勤務

構成・文/浅香淳子(yoi) Photo by Hakase_ / iStock / Getty Images Plus