最近、なんだか疲れやすい、ちょっとしたことでイライラしてしまう、眠りが浅い…なんて不調に悩んでいませんか? それはもしかしたら、更年期症状の始まりかもしれません。「え? まだ早すぎるでしょ…」と不安になった人もいるでしょう。実は、30代前半から40代前半は閉経に向けての準備期間に突入する“プレ更年期”ともいえる時期なのだそう。

30代なのに更年期症状? 女性ホルモンのゆらぎ対策に知っておきたいキーワード「フェムレジ」とは_1

疲れやすい、イライラ、眠りが浅い…もしかして、プレ更年期?

今回、この“プレ更年期”に関して、オンライン問診による漢方サービスの「+kampo(プラス漢方)」が30代女性400人を対象にアンケート調査を実施。

「日常的に感じる症状はありますか?」という問いに対し、最も多かった回答は「疲れやすい」。続いて「イライラしがち」「眠りが浅い」という結果に。そのほか、「腰や手足が冷えやすい」「やる気が出ない」など、多くの女性たちが「あるある!」と、うなずきそうな、日常的な不調が並びます。ですが、これらをプレ更年期の症状だと自覚している人は少ないようです。

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「+kampo」のアドバイザリー医師であり、乳がんや不妊治療専門クリニックで外来も担当する新見正則先生は、「30代では、汗が出るなどの更年期症状は少ないものの、PMS症状と重なるものも多く、全体としてホルモンバランスのゆらぎに翻弄されやすい体質の方に症状が出ていると感じます」とコメント。

さらに、「不調症状を改善する対策を取っていますか?」の問いに対しては、「何もしていない」が圧倒的多数。「規則正しい生活」や「定期的な運動」を取り入れている人もいるものの、対策を行ったことによって症状が根本的に改善した人は6.8%にとどまるという結果に。

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更年期の不調はなぜ起こる? どんな人がなりやすい?

そもそも「更年期」とは、一般的に閉経前後の5年間を合わせた10年間を指します。日本人の平均閉経年齢は50歳といわれているので、おおむね45〜55歳が更年期にあたります。この時期には、女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら急激に減少するため、人によっては、めまいや動悸、のぼせ、肩こりなどさまざまな心身の不調に悩まされることがあります。これが「更年期症状」です。

対して、医学的な用語ではありませんが、いわゆる「プレ更年期」にあたる30代後半〜40代前半は、まだ閉経には時間があっても体は徐々に準備が始まっている状態。女性ホルモンがゆらぎやすくなり、更年期のような症状を感じ始める人も出てきます。

こうした「更年期」や「プレ更年期」の不調の出方は、人によってさまざま。症状の程度にも大きな個人差があります。症状が軽い人と重い人、いったい何が違うのでしょうか?

「『レジリエンス』が高いか低いかがポイントになります。レジリエンスとは、復活力や再現力などさまざまな訳がありますが、何かストレスが起こってもサラッとかわしたり、少しなえたとしてもまた戻る能力ですね。しなやかさというイメージかもしれません。

女性ホルモンの波が起こったときにも、レジリエンスが高ければうまく対応できるんです。ぼくはそれを、フィーメール(Female)のレジリエンス(Resilience)、『フェムレジ』と呼んでいます。フェムレジを高めれば、自分の力でホルモンバランスのゆらぎを整えられるようになり、女性ホルモンにも耐えられるようになります」(新見先生)

先ほどのアンケート結果にうなずいていた人は、もしかしたらホルモンバランスのゆらぎに翻弄されやすい体質、つまり「フェムレジ」が低い状態かもしれませんね。

女性ホルモンのゆらぎ対策に知っておきたい、「フェムレジ」を高める方法

では、「フェムレジ」を高めるためにはどうすればいいのでしょうか? 新見先生によると、「短期的にゆらぎを整えられる体づくりをするのは難しく、日々の努力が大事」とのこと。

まずは、規則的な生活(ヨガなど定期的な運動、バランスの良い食事、適切な栄養管理)を心がけること、また、サプリや漢方薬を取り入れることもホルモンバランスのゆらぎを整えられる体づくりに有効だと言います。なかでも、漢方薬は、多成分の生薬(しょうやく)から構成されているため、複数の症状に対応するのにはおすすめだとか。

「ただし、誰にでも効くという決定的なものはありません。人によって症状が異なるように、ヨガが合う人もいれば、漢方が合う人もいます。体の声を聞きながら最適な方法を続けることが大切です」

こうした生活改善、体質改善に長期的に取り組むことが、「フェムレジ」を高めることにつながり、結果、更年期を迎えてもうまく乗り切ることができると新見先生は話します。

「更年期はホルモンの乱高下に耐えられなくなって症状が出るので、先回りして体調を整えやすい体づくりを心がけることがよいですね。また、更年期症状が始まっても、深刻に考えすぎずに、症状を和らげる手段を取り入れながら、ポジティブに過ごして迎えてみてください」

「+kampo」では、「漢方薬×更年期コーチング」サービスも提供。薬剤師によるオンライン問診後、一人一人に合わせた漢方薬で体質改善を行いながら、更年期症状をはじめ、プレ更年期の症状や、女性ホルモンのゆらぎが原因とされるPMSについても、相談やライフスタイルのアドバイスをしてくれるそう。いま不調に悩んでいる人や、漢方に興味がある人はチェックしてみて!

<調査概要>
調査概要:プレ更年期に関する調査
調査方法:WEB定量アンケート(クロス・マーケティング QiQUMOを利用した調査)
調査期間:2022年4月13日~4月14日
調査人数:400名

新見正則先生

医師・漢方医

新見正則先生

慶應義塾大学医学部卒業。英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。「漢方.jp」主宰。新見正則医院院長。

構成・文/秦レンナ Photo by Adobe Stock/ WindyNight-– stock.adobe.com