むくみやくすみ、肩こりや、イライラ、眠りたいのに眠れない……そんな“プチ不調”が気になるとき、どう対処していますか? 実は、全身のトラブルが耳を“モミモミ”と刺激するだけで解決できるのだとか。そんな“耳ヨガ”ともいわれるイヤービューティセラピーとは。
イヤービューティセラピー 耳ツボ マッサージ

岡田 真樹

イヤービューティセラピスト協会マスターセラピスト

岡田 真樹
イヤービューティセラピスト協会マスターセラピストであり、認定講師。鍼灸師の国家資格を有し、上海中医大学の短期鍼灸課程では、現地の病院で鍼灸のほか、耳鍼も学ぶ。耳から全身の美と健康をコントロールするスペシャリスト。

耳ツボと反射区の考えをいいとこどり!イヤービューティセラピーとは?

岡田さん耳には220以上のツボと、神経を通して全身にアプローチすることができる反射区があります。よくテレビなどで“足ツボ”を刺激して痛がる人に『これは内臓の〇〇が悪い証拠です』などと施術者が伝えているシーンがありますが、それと同じことが耳にもいえます。

耳を揉みほぐし、指圧するなど刺激することで、全身の各部位と自律神経に働きかけることができます。例えば、お腹が痛いときに胃腸の反射区を刺激すれば落ち着く、寝付けないときに耳を揉んで自律神経を整えるだけで深い眠りにつける……というように、一見すると耳と関係ない全身の不調を耳の反射区を刺激することでケアしていきます。

イヤービューティセラピーは、東洋医学の耳ツボと西洋医学の反射区理論の“いいとこどり”であり、より専門性の高い施術です。

頭から足先、内臓までリンクする反射区MAP

耳ツボ 反射区 マッサージ

岡田さん耳の下は頭部、上は足、中央は内臓……と、耳のどの位置が全身のどこに効くのかは、お腹の中にいるときの胎児の形と当てはまるといわれています。

耳を指先や綿棒で刺激すると、不調の箇所(反射区)を見極めることができ、痛いと感じた箇所に対応する部位に不調がある、そんな自己診断としても役立ちます。

“足ツボ”よりずっと早く効果が期待できる!

岡田さん耳にある反射区を刺激して、微弱電流という“信号”のようなものをピンポイントに流すことで、そこに該当する臓器や部位の機能を活性化することができます。

自律神経をつかさどる脳神経にもアプローチでき、自律神経を整えられるというのもメリットのひとつ。リラックスモードになることで、体がゆるむと血流がよくなり、代謝がアップします。さらに、交感神経が優位な“戦闘モード”をオフにできないことで起こる、肌あれや肩こり、頭痛、頭痛睡眠不足、PMSなど、現代人を悩ませるプチ不調を回避することができます。

イヤービューティセラピーは、移動中や入浴中、テレビを見ながらでもできるため、ケアに時間を割けない忙しい現代人にも取り入れやすいというのも魅力です。

耳を“モミモミ”するだけで、全身の体温が上昇

イヤービューティセラピストによる施術(約50分)を行ったときに施術中から体温が上がり、施術後20分で全身の体温が上昇しているのが見て取れます。
耳マッサージ 温度変化 耳ツボ

出展元:イヤービューティセラピスト協会

写真の例では、平均温度が0.4度アップ! 体温が高くなると、免疫力アップにつながるだけでなく、エイジングケアやダイエット目的で体温を上げる美容医療マシンがあることを思えば、耳を刺激することで美容的なメリットが大きいことは言うまでもありません。

ストレスが多い現代人をリラックスモードに! イヤービューティセラピーの実力を10秒で体感

岡田さんデジタルガジェットに囲まれ、下向きの姿勢によって首や肩、背中のコリが激しく、なにかとストレスも多い現代人は、呼吸が浅くなりがち。そうなると酸素が体内に取り込めなくなり、代謝が下がるだけでなく、血液から栄養を全身に届けにくくなるため、肌の状態が乱れ、体調も崩れやすくなります。

耳を引っ張るだけで呼吸が深くたっぷり吸えるようになるので、ぜひ試してみてください。深呼吸のときの吐くという動作で自律神経を整えることができるため、リラックスしたいときやストレスを感じたあと、気分を切り替えたいときなどに取り入れて。
イヤービューティセラピー 深呼吸 耳ツボ マッサージ

① まずは、そのまま深呼吸して、現在の呼吸の深さを感じる。

② 耳を指で持ち、イタ気持ちいい程度に引っ張って、深呼吸をする。

このときに息を吐ききることを意識することが大切。最初より深く呼吸できることを感じられれば効果アリ!
全身をくまなくマッサージするのは大変だけれど、耳という狭いエリアを揉むだけなら隙間時間にできそう。そんなちょっとしたお手入れで、内臓も含めて全身の不調をリセットできるなら、史上最強の“タイパケア”であることは間違いなし。どこかが調子悪いときにレスキューワザとして身につけてみては?

取材・文/金子優子 イラスト/ささきめぐみ 画像デザイン/前原悠花 構成/渋谷香菜子