2024年12月にICL手術を受けた筆者。ググりつくして決めたクリニック選びの過程や、開眼手術の詳細、実際にかかった費用の総額などをまとめました。ICLを検討している方、クリニック選びに迷っている方のご参考になれば幸いです!

月島華子

ライター

月島華子

1993年生。週刊誌記者、文芸編集者を経てフリーランスに。
遺伝的な強度近視で、小学校低学年で眼鏡デビュー。中学1年生からコンタクトレンズを使い始め、これまでにソフトoneday、2week、ハードを兼用してきた。二度の妊娠・出産を機にICL手術を決意。

31歳でICLを受けようと思った理由

もとの裸眼視力は0.05。子育てをするようになって不便さが増幅

中学1年生から約20年、ほぼ毎日朝から晩までコンタクトレンズを愛用してきた筆者ですが、子どもが生まれてからは、お風呂や夜泣きの対応時など、視力の悪さに不便を覚える場面がグンと増えました。
就寝時には「もしいま地震が起きたら、眼鏡で子どもを抱えて避難できるのか(眼鏡が割れてたらどうしよう)......」という災害への不安も抱くように。

レーシックには「角膜を削ること」「元に戻せないこと」の2点が不安で踏み出せずにいたところ、「角膜を削らない視力矯正術」であるICLを知りました。

すでにICLを受けた友人たちに感想を聞くと、皆が口をそろえて「ICL最高だよ!」と絶賛。
経験者の声に背中を押してもらい、「次の自分の誕生日祝いはICLにしよう!」と決めました。 

ICLを受けるクリニック選び

ICLは保険の効かない自由診療のため、クリニックによって価格が大きく異なります。
目を皿のようにしてネット上の口コミを読み漁りましたが、どのクリニックにも賛否あり、どこがベストかわからない......。
スマホ内だけでは決めかねたので、大手のAクリニックと自宅から近い開業医のBクリニック(冨田実アイクリニック銀座)、2カ所でそれぞれ適応検査を受けてみることにしました。

クリニックの決め手は「レンズの種類」!

検査結果はどちらも同じ「裸眼視力0.05、乱視なし」。 費用の見積もりも45万円前後で、大きな差はありませんでした。

そこでクリニック決めのポイントとなったのはレンズの種類です。
大手のAクリニックでは「EVO+ICL」、Bクリニックではより新しい「プレミアムICL」と、それぞれ種類の異なるレンズを採用していました。
スペックを比較すると、プレミアムICLの方がサイズの選択肢の多さや、白内障・緑内障の予防機能などが魅力的である一方、まだ厚労省から薬事承認されていない新しい商品なので、「本当に安全?」という懸念がありました。

しかし、以前別の取材で、日本にいる患者が、薬事承認を待つ間、より高い効果を期待できる海外の治療薬を使用できない「ドラッグロス」の問題について聞いたことがあったので、あえてプレミアムICLを先行導入しているBクリニックで直接質問してみることにしました。

  • ICL プレミアムICL レンズ

    プレミアムICL(イギリス)

  • ICL EVO+ICL レンズ

    EVO+ICL(アメリカ)

レンズ素材の安全性は実証済み

診察時、率直に「プレミアムICLは“未承認”のレンズですが、どうして安全だと言えるんですか?」と訊いてみました。
答えていただいたのは、これまでに10万件以上の屈折矯正手術のオペ経験がある冨田実院長。 

①サイズ展開が豊富なオーダーメイドレンズ(自分の目のサイズに最適なレンズを作ってもらえる)
②目の中の水の流れを確保するホールが多い(白内障&緑内障の予防効果が高い)
③眼の中でレンズを固定する支持部の数が多い(よりズレにくい)

といった特徴に加え、
「日本は特に調査が厳しく、薬事承認までに10年以上かかることもあります。眼の病気で代表的な白内障の手術で使われる承認済みのレンズもハイブリッドアクリル製ですから、“眼に入れても大丈夫か”という素材の安全面はすでに十分クリアされていますよ」
と教えてもらえたことが安心感につながり、私はBの冨田実アイクリニック銀座で手術をお願いすることにしました。

申し込み〜手術前日

プレミアムICLレンズはオーダーメイドのため、手術日は適応検査から約2カ月先と決まりました。
適応検査の日に手術とレンズの申し込みを済ませ、手術日の一週間前に再度度数・視力・眼圧の検査と診察を受けました(オーダーメイドレンズの最終確認)。

手術3日前からはコンタクトレンズの使用を中止し、2種類の目薬を1日6回点眼。
このときはまだ「数日後には本当にはっきり見えるようになってるのかなあ」と、半信半疑でした。

ICL 点眼薬 目薬

術前の目薬は、手術に備えて眼の中の細菌を減らすためのもの。

ICL手術当日の流れ

消毒・麻酔の連続目薬

手術に向けて、まずは瞳孔を開く薬の点眼をします。
手術着を着たら、いざ手術台へ。 麻酔も点眼薬で行うので痛みはまったくありませんでした。これまでに歯科や産科で経験してきた局所麻酔のような「じわっと効いてくる」感覚すらないので、「本当に効いてる......?」と、直前まで心配になったほど。 

手術は右目から。まず右目以外の顔が布で覆われて、開眼状態で固定されます。
目全体の消毒ののち、再び瞳孔を開く薬や麻酔薬がバシャバシャと目に流し込まれて行きます。 

つらさの最難関は「まぶしさ」

開始直後、手術用のライトのまぶしさに、思わず「うっ......!」と声が漏れてしまいました。痛くはないものの、ツライ! まばたきも、目を細めることもできないことがこんなにも苦しいとは......。

このときとても助けられたのが、手のひらサイズのゴムボール。手術の直前、看護師さんが「これを握っておくとリラックスしやすいですよ」と手渡してくれていたのです。実は、その時は使い方がよくわかっておらず「じゃあ、一応」と受け取っただけだったのですが、これがまさに救世主! ボールをきつく握りしめることで、強烈なまぶしさをなんとか我慢することができました。

目を切る瞬間は痛みなし

手術の中でいちばん恐れていた「切開」はほんの一瞬で、メスも血も見えませんでした。「いま切ったのかな?」という感じで、痛みもゼロ。 しばらくは眼球を触られたり、グイっと押される圧迫感がありつつも、視界は暗くなったり明るくなったりを繰り返すのみで何も見えず、「またまぶしくなったらやだな」とばかり考えていました。

トータル30分で手術は終了

左眼も同様の手順で進み、両眼トータル約30分で終了。緊張もあり、終わるとあっという間だったように感じました。 すぐに痛み止めを飲み、手術室前のソファで60分間、目を閉じて休憩します。

手術直後は、固定されていた上下の瞼がつっぱる感じがするのと、眼球全体がジンジン熱くてしびれるような感じ。うっすら目を開いてみても視界はまだかなりぼんやりしていて、目の中に水がたくさんあるような感じもありました。

術後の診察で問題はありませんでしたが、まだ目がおぼれているような感覚だったので、保護眼鏡をかけ、恐る恐る歩いて帰宅。
その日は処方された点眼と服薬を済ませて早々にベッドに入りました。

手術当日を含めて3日間は抗生物質の服薬があったので、0歳の息子への授乳はミルクへ置き換え(1日2回)。服薬中は搾乳をして、4日目以降に授乳を再開しました。

ICL手術を受けた翌日〜1カ月後

明け方に目が覚めてふと壁掛け時計に目をやると、なんと文字盤が読める!!
目の中に残っていた水分もほとんど抜けて、視界がとてもクリアになっていて驚きました。

鏡を見ると、白目の部分に充血したときのような出血を発見。 最初はギョッとしましたが、これは「結膜下出血」といって、1週間〜1カ月程度で自然と治るそう。  

ICL 結膜下出血 白目 術後

見た目は痛々しいですが、痛みはまったくなし。

翌日検診を受けると、視力検査の結果は両目1.5
コンタクト入れてたときより見えるようになってるー!と感動しきりです。

ICL手術後に我慢すること

手術時の傷が塞がるまでの術後1週間は、感染症予防のため目を清潔に保つことが何よりも大切。 日常生活でいろいろな我慢が必要になります。

特筆すべきは、
・24時間保護眼鏡を着用
・1日8〜10回の点眼(3〜4種類)
・洗顔、シャンプー、入浴禁止

  • ICL 保護眼鏡 ゴーグル

    保護眼鏡。目を包むゴーグルのような見た目で、ばったり会った知人からは「花粉症対策ですか?」と訊かれました。

  • ICL 目薬 点眼 服薬

    目薬と飲み薬全種。挿し忘れないようにスマホでアラームを設定して、外出時は小さめのポーチにまとめて持ち歩きました。

  • ICL 洗顔禁止 コットン 消毒

    顔に水をかけるのはNGですが、専用のコットンで目元を拭くのはOKでした。

甘く見ていたのがシャンプー禁止。
経験者の友人から「シャンプーできないから夏場は避けたほうがいいよ」とアドバイスを受けていたので、手術をしたのは12月上旬。 とはいえ「顔はタオルで拭けるし、肩から下のシャワーもできるし、そんなに困らないのでは?」と思い、あらかじめ術後4日目に当たる日の朝にヘアサロンを予約して、それまではドライシャンプーでやり過ごせるものとたかをくくってたのですが......、術後3日目朝、どうしても頭皮の不快感に耐えきれなくなり、急遽、当日予約で近所のサロンへシャンプーをしてもらいに駆け込みました。
髪の長さにもよると思いますが、夏に手術を予定している方は特に、シャンプーしてくれる家族やサロンの確保は必須です!

術後1週間
検診で異常なく、ついに保護眼鏡を手放すときが来ました。 
眼鏡をとっても、コンタクトを入れていなくても、目を開けば何もかもがはっきり見える。毎朝「見えるってスゴイ!」の感動が継続中です。

ICL 1カ月 出血

術後1カ月が経過し、結膜下出血もきれいに治りました。

【まとめ】ICL検討中の方に伝えたい個人的おすすめポイント

・クリニックによって異なる費用とレンズは、比較して納得できるものを選ぶ
・手術中になにか握るものを用意or借りる 
・1週間は洗顔・洗髪ができなくなるので、手術を受けるなら夏より冬(シャンプーしてもらえる家族orサロンは多めに確保)
・授乳初期〜中期は断乳や搾乳の手間が増えるので、母乳育児中なら後期以降
術後1カ月以内にイベントの予定がないか確認(結膜下出血が多いと写真に映るときに気になるかもしれません)

【参考】今回かかった費用の総額・内訳

交通費などの雑費を含めない費用の総額は約47万円でした!

【内訳】
・手術+レンズ代=437800円(218900円+218900円 2回に分けての支払いでした)
・術後に使う専用コットン代=2200円
・術後の目薬代=1400円(手術当日)+18100円(術後1週間)
・術後の診察で追加になった角膜保護用の目薬代=11000円 
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合計 470500円

お話を伺ったのは......
冨田 実(とみた・みのる)

冨田実アイクリニック銀座院長

冨田 実(とみた・みのる)

愛知医科大学医学部卒業。関西医科大学大学院終了後、米国ハーバード大学眼科を経て、2005年より品川近視クリニックに入職。2007年には最高診療責任者に就任し、100名を超える屈折矯正専門チームを率いながら、自ら10万件以上のレーシック手術を執刀。2014年に冨田実アイクリニック銀座を開院。海外での講演や論文発表など多数。 

医学博士
日本眼科学会認定眼科専門医
アメリカ眼科学会役員
温州医科大学眼科 眼科客員教授
河北省医科大学 眼科客員教授

構成・取材・文/月島華子