ヨガやマインドフルネス、瞑想など、今、ウェルネスの世界で話題の「サウンドバス(直訳すると“音浴”)」をご存じですか? その言葉どおり、まるでお風呂に入っているかのように音に身をゆだねるリラックス方法のこと。シンギングボウルやクリスタルボウル、音叉などといった楽器の音や音波振動を浴びて、心身を安らぎの状態へと導くものです。
サウンドバスができる道具の種類はさまざまありますが、今回は「シンギングボウル」をピックアップ! yoi編集部のエディター木村とライター海渡が、東京・西麻布の住宅街にあるシンギングボウルブランド「アマナマナ(amanamana)」の店舗にて、実際に体験してきました。
「シンギングボウル」とは?
シンギングボウルとは、「シンギング(歌う)」、「ボウル(器)」のこと。専用のスティックで、金属製のボウルの縁を叩いたり、こすったりすることで、心地よい音色を奏でることができます。しかし、もともとは音を鳴らすための道具ではなくて、仏教の祭壇でお供物を入れるための鉢でした。それを、1960〜1970年代にインドやネパールなどを旅したヒッピーが、癒しの道具として使い始めたことが始まりと言われています。
シンギングボウルは2種類あり、ひとつは素材を型に流し込んで作る「鋳造(ちゅうぞう)製」。もうひとつは、熟練の職人が何千回も叩いてボウル型に成形する「鍛造(たんぞう)製」です。「アマナマナ」がメインで取り扱っているのは、手間ひまがかかる後者の鍛造製です。
「アマナマナ」で取り扱っているシンギングボウルは、神聖な金属として古来から神器に用いられており、高い浄化力を持つとされる「青銅(銅とすずの合金)」をメインとした複数の合金を使用している。
「シンギングボウル」の効果
鍛造製のシンギングボウルは、表面が凸凹しているため叩くと、「倍音(基本となっている音の複数倍になっている振動のこと)」と呼ばれる複雑な音が生まれます。それは水のせせらぎや木の葉が揺れる音といった自然の中にある音に似た性質を持っており、その音や振動を浴びることで、以下のような効果が期待できます。
✔︎深いリラックスを得られる。
✔︎雑念が消えて、集中力が高まる。
✔︎セルフコントロール力が上がる。思考の切り替えが上手に。
✔︎頭がクリアになり、直感力がアップ。
そのため、「集中力が低下してイライラする」「緊張して、リラックスできない」、「自分に向き合う余裕がない」「他人の嫌な部分ばかりが目につく」「モヤモヤ思考から抜け出したい」といった悩みを抱える方におすすめです。
「シンギングボウル」の選び方
まずは、シンギングボウルのサイズを選択しましょう。手のひらサイズの極小から直径35cm以上の特大までさまざま。初心者は、倍音を鳴らしやすい約20cm前後の中、小中サイズがおすすめです。
サイズが決まったら、実際に音を鳴らしてみてください。アマナマナで取り扱っている鍛造製のシンギングボウルは、ひとつひとつ音色がまったく異なります。叩いてみて、自分が心地よいと感じる音を奏でる一品を迎えましょう。
シンギングボウルの音色を聴き比べ。「低音から高音まで、同じ音がひとつとしてない。直感を頼りに音探しをしていると、時間を忘れてしまいます」(エディター木村)
お気に入りの音を奏でるボウルを見つけたら、それぞれに意味があるデザインをチェック。マンダラ柄やマントラ、閻魔大王が彫られたものなど、その種類は多様です。
(左上)チベットの閻魔大王ヤマ、外側にチベットを見守る観音菩薩のマントラを施している。これを使えば、今ここにいる意味を再認識し、善きカルマを積むことができる。(上中央、下右)愛、魅力、発展、情熱、つながり、希望、共感を意味するマンダラ模様の中央に、アマナマナのロゴをデザイン。(右上)アマナマナの模様。(左下)“心の在り方”を意味する、真言フーム(Hum)を中心にマントラが、内外に彫られている。
シンギングボウルを叩くためのスティックも数種類ある。初心者は、下から2つ目、3つ目のオーソドックスな細いタイプがおすすめ。ある程度サイズのあるシンギングボウルを歌わせる場合は、一番上の持ち手が太めのスティックがベターです。また、こすらずに叩いて音を出すだけの場合は、マレット(一番下と下から4番目)を使用しても。ヘッドが柔らかいと深い音がして、硬いタイプはハッキリとした音が出ます。
「シンギングボウル」の使い方
手のひらに乗るサイズの場合、利き手を軽く開いて、その上にシンギングボウルを置きます。続いて、スティックの中央部分を親指とそれ以外の4本指で挟むように持ち、空中に円を描くようにして、ボウルの縁から2cmくらいの部分を優しく叩きます。この叩く方法を、ヒッティングと言います。
シンギングボウルは軽く開いた手のひらの上に置き、スティックは親指と4本の指で挟むように持つ。
ヒッティングをしたら、スティックを縁に押し付けて、時計回りの方向にやや強めに回します。数周すると、ブーンという音が出始めて“倍音”が鳴り出します。自分の納得するまで、音を鳴らして楽しんでください。人によっては、音波振動を浴びすぎると、酔ってしまう場合もあるそうで、アマナマナでは、食事の前後30分は避けるようにおすすめしているとのことです。
ボウルの縁から2cmくらいをスティックでこすりつけて、ぐるぐる回す。
「シンギングボウル」の鳴らし方を動画でチェック!
シンギングボウルの使い方・鳴らし方 極小〜特大サイズ シンギングボウル講座/ヒーリング・浄化・瞑想・ヨガ用|amanamana アマナマナ
実際に「シンギングボウル」を体験してみた!
エディター木村:シンギングボウルは、今回が初体験! 最初はうまく鳴らせなかったけど、2回ほど練習してコツを掴んだら鳴らせるようになった。
ライター海渡:鳴らせるようになるまでに、結構な時間がかかると思っていたから、こんなに簡単に鳴らせるようになるとは!
エディター木村:誰でも始めやすいよね。最初、音を鳴らしたときに伝わってくる、ブオオオオ〜ンといった振動にすごく驚いた(笑)。
ライター海渡:私も。音波を全身で体感したのは初めてかも。
エディター木村:ボウルをこすって音波振動を浴び続けていると、心なしか腕がポカポカしてこなかった?
ライター海渡:波動で筋肉が刺激されたんだろうね。
スティックを縁にこすりつけて、倍音を奏でる二人。「1度目は、力加減が難しくて上手に鳴らせなかったけれど、3度目くらいで倍音を奏でられて感激!」(ライター海渡)
「まるでマッサージ機のよう! ヒッティングしたあとにボウルを触ると、繊細な音波振動を直に感じることができます」(エディター木村)
ライター海渡:ひとつひとつ音色が違うシンギングボウルを叩いて、自分にピンとくる音探しをしていると、鈍っていた直感が研ぎ澄まされていく気がした。
エディター木村:わかるかも。
ライター海渡:個人的に、低音は“外界を遮断して、自分だけに集中する”というサポートをしてくれる感じがしたから、リラックスしたいときとかにいいなと。高音は覚醒する感じで、1日の始まりに浴びたいなと思いました。
エディター木村:私は、気分やその場の空気を切り替えたいときに、すごくいいなと感じた。在宅ワークをしていて、プライベートモードに切り替えたいときに鳴らすことで、「ここからは違う時間!」というメリハリがつきそう。その逆もしかり。
ライター海渡:たしかに。瞑想やマインドフルネスって、自分でやろうと思っても結構難しいじゃん? 私も何度かトライしたことがあるけれど、なかなか雑念を消すことができなくて。でも、シンギングボウルを使って、音に集中するマインドフルネスならできるなと。
エディター木村:スティックで1ヒッティングして鳴らした音を、消えるまで聞いて終わりでもいいし、10分でも20分でも、自分の気持ちが落ち着くまで鳴らし続けてもいい、というのもいいよね。
ライター海渡:そうだね、私も日々の生活に取り入れてみようかな。
エディター木村:今度、自分に合うシンギングボウルを改めて探しに来たい!
【動画で体験】「シンギングボウル」の音が鳴り終わるまで聴いてみよう!
取材にご協力していただいた店舗はこちら
amanamana シンギングボウル・サロン&スクール
住所/東京都港区西麻布4-14-17
電話/03-4455-4005
HP/http://www.amanamana.com
ビギナー講座(2時間) ¥5500〜
倍音呼吸法レッスン(1時間) ¥4400〜
撮影/伊藤奈穂実 取材・文/海渡理恵 企画・構成/木村美紀(yoi)