「私、燃え尽き症候群かも……？」と思ったら。セルフチェックリストと改善策【精神科医Q＆A】

竹内先生：下記8項目は、どれも燃え尽き症候群の方の特徴として挙げられる傾向です。
まずは、いくつ思い当たるものがあるかチェックしてみてください。

⬜︎ 朝起きた瞬間から疲労感がある 
⬜︎ 人と話すことが面倒に感じる
⬜︎ 自分の仕事に意味を見出せない
⬜︎ 体が思うように動かせない
⬜︎ これまで好きだったことに興味がわかない
⬜︎ わけもなくイライラする／涙が出る
⬜︎ 休日にまったく外出できない
⬜︎ お風呂に入ることが面倒で何日も入浴できない

竹内先生：もともとの性格的に、チェックリストの項目にある「朝起きることやお風呂が苦手」という方もいますよね。
従って、どのくらいの期間それができていないか、ということではなく、当てはまる数の多さを受診の目安にしていただくのがいいかと思います。
3つ以上当てはまるなら要注意の「黄色信号」、5つ以上なら燃え尽き症候群の可能性が非常に高い「赤信号」といえます。

心療内科や精神科の受診に抵抗感がある人も少なくないと思いますが、無理に薬を服用させられたり、入院させられたりすることはありません。
私のクリニックでは、初診で、問診のほかにSDS検査といううつ症状の検査もします。ご希望があればお薬も取り入れつつ、数週間から1カ月後に再受診していただいて診断確定、という流れになります。  

今のしんどさを話してみるだけ、でも大丈夫。上記のセルフチェックなどで思い当たることがあれば、遠慮なく相談してください。 

竹内先生：燃え尽き症候群は、頑張りすぎてしまう人ほどなりやすいので、まずは意識して「休む」ことが大切です。
先にカレンダーに「休む」と書き込むなどして、絶対に何もしない時間を確保し、その日は自分がリラックスできることだけをしましょう。
次に、誰かと会話をすること。誰かと「話す」ことは、自分の感情を「放す」ことです。「しんどい」「つらい」といった気持ちを言葉に出すだけでも、脳の神経回路がやわらいでストレスを解消しやすくなります。
しっかり休んで、まわりの人を頼る。簡単そうで意外と難しいのですが、とても重要です。 

竹内先生：元気がない姿を見て、つい「頑張ろう」「頑張って」と声をかけたくなる気持ちはとてもよくわかりますが、燃え尽き症候群のように心にダメージを負っている人は、頑張りたくても頑張れない状態です。
そこへの「頑張って」という言葉は、励ましではなく脅威と感じられてしまいます。
また、相手の様子が心配で「きっと病気だよ」「すぐ病院に行った方がいいよ」などと忠告するのも、余計に相手の否定的な感情を強めてしまうのでNGです。

まずは「最近何かあった？」「よかったら話してね」など、ごく普通の声かけで十分です。
関係性によって「ちょっと働きすぎなんじゃない？」「今から映画でも行かない？」など、もう少し踏み込んでもよいかもしれません。

受診を勧めたい場合は、「友達の友達が、あんまり疲れが抜けないから心療内科に行ったらよくなったらしいよ」など、ほかの誰かの話として遠回しに話してみるのも、ひとつの方法だと思います。
多くの方は「ほかの人もやっている」と知ると、心のハードルが下がりやすくなります。

構成・取材・文／月島華子　イラスト／大内郁美