東京にも、こんなに静かで癒される場所があったなんて——。今回は、“時間・場所・過ごし方”をほんの少し“ずらす”ことで、自分だけの心地よい時間が見つかる、「ひとリート」にぴったりのカフェ&レストランを4つご紹介。自然の中にたたずむサステナブルなレストランや、古民家を生かした和菓子カフェなど、TRさんが実際に足を運んで見つけた、とっておきのスポットをお届けします。
「ひとリート」とは…半日~日帰り・1泊2日程度の「一人で楽しむリトリート体験や旅」を表す造語。yoi発の、心と体のセルフケアに役立つ時間の使い方です。
1. 【外苑前駅】薪火のぬくもりと緑の風を感じる「natuRe tokyo」
外苑前駅から徒歩9分。都心にありながらも喧騒から離れられる、都立明治公園の中にひっそりとたたずむ一軒家レストラン。ハワイ発の“サステナブル・アイランド・フレンチ”をコンセプトに、薪火で仕上げるライブ感あふれる料理や、石や木など自然素材に囲まれたあたたかな雰囲気が魅力。カウンター席でじっくり火のぬくもりを感じたり、公園の緑を眺めながらテラスで風に揺れる木々に癒されたり──気分に合わせて過ごし方を選べるのもうれしいポイント。

2階席からは都立明治公園の豊かな緑を見渡せて、都会の真ん中にいることを忘れてしまいそう。テラスには海洋性プラスチックをアップサイクルした椅子が置かれ、テーブには色彩豊かなロスフラワーが飾られている。

TRさん的おすすめポイント
TR オープン時間の11時、特に平日の昼間は比較的ゆったり過ごせるので、“ずらし”ひとリートにぴったり。のんびりと自分のペースで過ごしたい方にこそおすすめしたい時間帯です。
都立明治公園の中にあるお店なんですが、都心とは思えないほど静かで、落ち着いた雰囲気が本当に心地よくて。外の緑を眺めながら、一人でゆったり過ごせる時間が、なんとも贅沢なんです。
個人的にはテラス席がいちばんのおすすめ。ただ、夏の暑さや雨の日はちょっと厳しいことも。でもそんな日はカウンター席で、薪が燃える音や香りに包まれながら静かに過ごすのも、また違った心地よさがあります。気候によって座る場所を変えることで、その日その日の表情を楽しめるのも魅力。
そして驚いたのが、ワインのラインナップ。スタッフの方がこちらの好みを丁寧にヒアリングして、「こんなの好きかもしれませんよ」とぴったりの一杯を提案してくれるんです。昼ワインの非日常感も、ここならではの楽しみ方です。
natuRe tokyo
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町5-7 E棟
営業時間:平日 ランチ11:00~15:00(LO.14:00)、ディナー17:00~23:00(LO.22:00)、土日祝 11:00〜23:00(LO.22:00)
定休日:不定休
電話番号:03-5860-5288
公式サイト
2. 【恵比寿駅】都会で見つけた、和菓子が楽しめる古民家カフェ「SISIRI」
恵比寿駅から徒歩10分ほど。閑静な住宅街にひっそりとお店をかまえる、北海道産の素材を生かした“北和菓子”が楽しめる甘味処。古民家の暖簾をくぐると、そこには都会の喧騒を忘れさせてくれる静かな癒しの空間が広がる。丁寧にリノベーションされた店内には、暖炉のぬくもりと落ち着いた和のインテリア、小さな庭園があり、時の流れがゆっくりとほどけていくような心地よさ。

喫茶で提供されるのは、北海道の恵みを感じる「雪もち」「おはぎ」「季節のおもち」「餡蜜」などの北和菓子。それぞれ、北海道天草の甜菜糖蜜寒天と焼羅臼昆布、飲み物がセットになっていて、素材の滋味をじっくりと味わえるのが魅力。繊細で美しい菓子の姿には、“引きの美学”が息づき、目でも心でも楽しませてくれる。

TRさん的おすすめポイント
TR オープン時間の10時頃に行くのが“ずらし”ひとリート。駅からは少し歩くんですけど、その分、都会の喧騒からふっと離れられる場所なんです。歩いた先にこんなに静かで心がゆるむ場所があるなんて……ちょっと感動します。
こぢんまりとしたお庭を眺めながら、ゆっくり和菓子をいただけるんですが、これが本当に美しくて。そして、見た目だけじゃなくて、ちゃんとおいしいんですよ。いろんな種類の和菓子があるんですけど、なかでも「おはぎ」と「雪もち」はぜひ一度、味わっていただきたいです。本当に、一口で虜になります。
こうした繊細で豊かな美しさを感じられる時間も、日常からほんの少し離れる感覚を味わわせてくれる。それこそが、ひとリートの醍醐味だと思います。
SISIRI
住所:東京都渋谷区恵比寿3-38-25 1F
営業時間:10:00〜17:00(LO.16:30)
定休日:平日(土日祝 営業)
公式サイト
3. 【目黒駅】都会の森で深呼吸、美術館の余韻に浸る「TEIEN Restaurant comodo」
目黒駅から徒歩7分。東京都庭園美術館に併設されたガーデンレストランは、美術鑑賞の余韻にそっと寄り添う一軒。東京の真ん中にいながら、まるで森の中に迷い込んだかのよう。店内は全面ガラス張り。席に座ると、窓の外いっぱいに広がる木々の緑が目に飛び込んできて、思わず深呼吸したくなる心地よさ。インテリアはシンプルでモダン。自然の景色が主役になるようにデザインされた空間が、静かで豊かな時間を演出。

平日限定のパスタランチは、季節のサラダに選べるパスタ、デザート盛り合わせ、コーヒー又は紅茶が付いた満足感たっぷりの内容。美術館と合わせて訪れれば、アートと自然の両方に癒される、贅沢なひとときを楽しめる。

TRさん的おすすめポイント
TR 美術館の中にある、まさに隠れ家的なレストラン。お店の扉を開けて中に入ると、外の喧騒はすっと消えて、その代わりにジャズがふんわりと流れてきます。まるで別世界に迷い込んだような、不思議な静けさ。
私が訪れた日はちょうど雨上がりで、雲の合間から差し込む光が店内を優しく照らしていて……もう、それだけで癒されるというか、まさに“ひとリート”な時間を過ごせたんです。
平日に訪れるならランチがおすすめですが、土日なら15時から16時半までのカフェタイムがおすすめ。軽く立ち寄りたいときにもぴったりなんです。
ただぼーっとしたり、考え事をしたり、非日常な空間で自分と向き合う時間を過ごせる。東京の真ん中にいながら、日常から離れたいなっていうときに、そっと背中を押してくれるような、そんな場所です。
TEIEN Restaurant comodo
住所:東京都港区白金台5-21-9
営業時間:ランチ 11:00〜15:00(LO.14:00)、カフェ 15:00〜16:30(LO.16:00)、ディナー 17:30〜21:00(LO.20:00)
定休日:月曜日(祝日の場合はその翌日)
電話番号:03-6450-3089
公式サイト
4. 【鳩ノ巣駅】本と珈琲と、渓谷の絶景「KIKORI CAFE TOKYO」
鳩ノ巣駅から徒歩2分。奥多摩の渓谷を見下ろす高台に、静かにたたずむ一軒のカフェ。川のせせらぎと鳥のさえずりが心地よく響くその場所は、自然とともに過ごす贅沢な時間を届けてくれる。
店内には、木工作家だったオーナーの父による無垢材の床や照明がそのまま残され、ぬくもりを感じる穏やかな空間に。窓際に設置された鳥用の餌台には、ときおり野鳥が訪れ、間近でその姿を眺めることができるのもうれしい癒しのひととき。

本棚には、ブックカフェ「おくたま文庫」の古本がずらり。小説やエッセイ、ノンフィクション、絵本、実用書など幅広いジャンルがそろい、気になる一冊を手にとって、読書の時間を楽しむこともできる。

TRさん的おすすめポイント
TR 鳩ノ巣駅へは、このカフェを目的に足を運びました。少し“秘境”感のある場所で、人通りの落ち着きも含めて、まさに“ずらし”ひとリートにぴったりのスポット。
目の前には渓谷が広がっていて、本当に息をのむようなロケーションなんです。カフェでコーヒーを飲みながらぼんやりしていたら、ふと耳に入ってきたのが、鳥のさえずりと風の音。それがまるで自然が奏でるBGMみたいで……なんとも言えない心地よさに、じんわり癒されました。
この日は、BLTサンドとコーヒー、そしてレアチーズケーキをいただいたんですが、このチーズケーキがまたとてもおいしくて。甘さは控えめで、でもちゃんとコクがあって、上品な味わい。なんだか、景色とぴったり合うような優しさがあって、また食べたくなる味なんですよね。
特別なことをしているわけじゃないのに、ただそこにいるだけで心が満たされる、そんなひとリートな時間でした。都内からほんの少し足をのばすだけで、こんなにも豊かな自然に出合えるんだと、改めて感じさせてくれる場所です。
KIKORI CAFE TOKYO
住所:東京都西多摩郡奥多摩町棚澤403
営業時間:10:00〜17:00(LO.16:30)
定休日:不定休
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構成・取材・文/高浦彩加