日本人女性の7割近くが体やメンタルに何らかの症状を経験し*1、治療を受けていない中等症以上の人は推定180万人とのデータ*2もあるPMS(月経前症候群)。その症状は、乳房の張りや痛み、頭痛、腰痛など身体的なものから、食欲が増えて甘いものを食べたくなる、過食するなどの行動変化、そして、怒りっぽくなる、不安を感じるなどの精神的なものまで実にさまざま。症状の出方や重症度も人によって異なります。

連載【知ることから始めよう! PMSのホント】の第4回は、こうしたPMSの諸症状が、現在の日本人女性の生活や仕事にどんな影響を与えているのかにフォーカス!

*1  大塚製薬が実施したアンケート調査結果より。調査期間:2021年6月29日~7月1日 調査方法:インターネットを用いたアンケート調査 調査対象:全国の30~44歳の日本人女性1,000人
*2 Arch Womens Ment Health; 9(4): 209-212, 2006

第1回 自分の症状が「PMS」かどうかを見極めるポイントは?
第2回 知っておきたい! 女性ホルモンとPMSの関係
第3回 PMSの重さや症状が人によって違うのはどうして?

イライラが止まらない…精神症状が主体の「PMDD」とは?

日常生活への影響を示すグラフ

大塚製薬のインターネット調査(*1)から。症状を自覚する739人の同居家族は、配偶者・パートナー67%、子ども54%、親(義理の親を含む)21%。勤労形態は正規労働者28%、非正規労働者32%、無職40%。以下、仕事関連の項目は正規労働者(28%)と非正規労働者(32%)の合計443人について解析。

大塚製薬が2021年9月に実施したアンケート*1によれば、PMSの症状を自覚している女性の多くが「周囲に迷惑がかかるほど影響が大きい」と感じているのは、おもに「感情をコントロールできない」「イライラする/怒りっぽくなる」などの精神症状でした。また、精神的・身体的症状ともに、「自分で対策、ガマンする範囲で済むけれど、自分への影響は大きい」と感じている人が多いこともわかりました。

ちなみに、PMSの諸症状のうち、「イライラ」や「気分の落ち込み」「不安」「怒りっぽくなる」といった精神症状が主体で強い場合は、重症のPMSに潜むPMDD「月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder)」の可能性も。「もしかして私、PMDDかも…」と思ったら、下記の大塚製薬のサイト「PMSラボ」内の自己診断表でチェックしてみてセルフチェックの結果、PMDDが疑われる人は、ぜひ早めに婦人科を受診しましょう。

「効率が落ちる」「退職を考えたことがある」など仕事に大きな影響が

では、イライラや落ち込み、頭痛など、PMSのさまざまなつらい症状にみんなはどう対処しているのでしょう? 同調査では、普段の生活でも職場でも「とにかく我慢している」と回答した人が4割前後。特に職場では「気づかれないように気をつけている」という人が3割以上でした。一方で薬やサプリメントを利用する人は少なく、特に対処せずにひたすらガマン…という傾向が明らかに。

また、PMSの症状による仕事への影響を尋ねた質問では、「仕事が手につかない・嫌になる」「仕事の効率が落ちる」「ミスが多くなる」「判断を誤ることがある」などの仕事のパフォーマンスにかかわる項目について、いずれも「よくある」「ときどきある」の合計が約3割を占めています。

さてここで、PMSと女性のキャリアに関するクエスチョン。日常生活に支障をきたすほどのPMS症状を感じている女性285人を対象とした調査*3で、「PMSのために仕事を辞めようと悩んだことがある」または「仕事を辞めたことがある」と回答した人の合計は、全体の何%だったと思いますか?

PMSクイズ

*3 大塚製薬が実施したアンケート調査。調査時期:2021年9月 調査対象:20~44歳女性 正規雇用の会社員でこれまでに管理職(課長相当職以上)に登用される機会があった285人

A. 正解は、なんと58%!!

調査の結果では、下のグラフのように「仕事を辞めようと悩んだことがある」「仕事を辞めたことがある」人の合計は58%、「昇進を辞退するか悩んだことがある」「昇進を辞退したことがある」人の合計は55%と、どちらも過半数に上りました。

PMS重傷者の半数は退職を意識(グラフ)

2021年9月 大塚製薬調べ

このように、PMSが仕事に影響を与えていると感じ、場合によってはせっかくの昇進もあきらめたり、辞退しようかと迷うようなケースも少なくありません。なかには、PMSによる身体的・精神的症状のために仕事がうまくいかないと、自分を責めることでさらに症状を悪化させてしまう場合もあるといいます。でも、PMSは月経のある女性なら誰にでも起こりうるもの。自分を責めず、どんな症状がいつ出やすくなるのかを把握し、体調や気持ちを落ち着かせることで、仕事への影響をできるだけ減らしていきましょう。

もし今、月経前に現れる精神的・身体的な症状に悩まされているなら、早く解決するためにも以下のPMSセルフチェックであなたの状態を確認してみて!

育児が手につかず、子どもに申し訳ない気持ちに…

一方、PMSのピークは20代後半から30代にあるという報告も多いようですが*4、この世代では家庭を持つ人も多く、PMSによる体調不良や精神的なイライラがパートナーや子どもとの関係にまで影響を及ぼすこともあるようです。

*4  最新女性心身医学; 本庄英雄監修, 日本女性心身学会編, ぱーそん書房; 158-169, 2015

家族への影響を聞いたアンケート結果グラフ

大塚製薬のインターネット調査(*1)から。

上記はPMSの症状による家庭への影響に関する回答のグラフ。子どもへの申し訳なさを感じている人が、「よくある」「ときどきある」を合わせると半数以上に上りました。小学生以下の子どもがいる人(343人)では「育児が手につかない・嫌になる」と回答した人も多く、そのことも"子どもに申し訳ない"という気持ちの要因のひとつになっていそうです。

そのほか、家事が嫌になったり、パートナーや子どもとのケンカが増えると回答している人も家事に対する意欲減退は、「やらなければならないこと」ができない自分に対するイライラもつのらせます。またそのことが、家族とのケンカを増やす原因になっているのかも…。

家事や仕事が手につかない女性のイラスト

こんなふうに、PMSは生活をともにする家族にも少なからず影響を及ぼします。自分の症状や症状が出やすい時期を把握すると同時に、家族にそれを理解してもらうよう働きかけることも有効です。家族が家事を手伝ったり体調を気遣ってくれたりすることで身体的・精神的な負担が軽減し、家庭内でのトラブルも減らせるかもしれません。

PMSの具体的症状やその誘因、さらには専門家がすすめる予防法や改善策を知ることは、今、つらい症状に悩んでいるあなたの生活の質を上げるのにきっと役立ちます。PMSについての正しい情報がわかりやすく掲載されている大塚製薬の情報サイト「PMS(月経前症候群)ラボ」や、
「女性の健康推進プロジェクト」サイトもぜひチェックしてみて!

構成・文/浅香淳子(yoi) イラスト/YUKORANGEL 資料提供/大塚製薬